秋の夜長の怪談編
ナレーター
「ここはstar-voice、夜の帳が降りるとともに花弁を開く華々の園。
揺らめく青いライトの下で、この店きっての大輪の華々が、互いの四肢を寄せ合うように、戯れ話に笑いさざめく」
オーナー「そう言う訳で、以来その場所には誰も近づかなくなったのさ」
ママ 「なぁんだ。それでお終いなの?相変わらず、つまらないわね」
オーナー「つまらないとは手厳しいね。それなら光、お前が何か1つとっておき
をきかせておくれ」
光 「え!?俺ですか?!そうですね。あ、こんな事がありました。だいぶ
前の事なんですけど、俺がこの店の片付けをしているときに…」
翼 「え?!光さんでも片付けなんかしてたころがあったんスか?!」
光 「何いってんだよ。当たり前だろう、俺もいきなり主任なんてなれるわ
けないだろう。コツコツと先輩やママに教え込まれて…。そうじゃな
くて、何の話だっけ?」
摩夕子 「片付けをしていたころに何があったかよぉ。もう、光」
光 「ああ、そうそう。で、そのころ、客も皆帰ったはずの店内の、一番奥
の暗い椅子に、女性客らしき人影がチラッと見えたんだよ。「あれ?酔
いつぶれてた人がまだいたのかな」って思って、そっちにいったら、
髪の長くて背の高い、紫の服の女だったんだ。それで「どうかしまし
たか?」って声をかけたら、女がいきなりガバッと振返って…」
摩夕子 「やだっ!」
翼 「そっ…それで、どうなったんですか?見ちゃったんですか?」
光 「ああ、俺はびっくりして声をあげそうになったんだ。女の顔は白くて、
目がぎょろりとしてて、「うわっ!」て思ってよくよく見たら、それが
マリーのノーメイク顔だったんだよ」
摩夕子 「なぁんだ」
翼 「脅かさないで下さいよ」
マリ― 「あら、ひどぉい。光ちゃん、わたし、そんなに酷い顔じゃないわよぉ」
光 「ごめん、ごめん、マリー。でも、あれが初めての出会いだったんだよ
な。一発で覚えたよ」
ママ 「ふ。随分と滑稽ね。マリー、あなたも店の中でメイク直しなんてして
んじゃないわよ。間抜けな事」
マリー 「あらいいじゃない。過ぎた事だしね」
オーナー「おいおい、話が逸れていってるぞ。今夜は秋の夜長を怪談話で楽しむ
んだっていってなかったか?」
光 「ああ、済みません。でも、意外とないもんですね、怪談話ってのも」
ママ 「ふふ、仕方ないわねぇ。私がとっておきを話してあげるわ」
一同「おお」「さすが」
ママ 「何時のころからか知らないけれど、店の子たちの何人かが、毎年決ま
って同じ時期に、同じ格好の同じ女の後姿を見たって言うの」
光 「それって、この店ですか?」
ママ 「ええ、そうよ」
摩夕子 「またマリーさんなんじゃないのぉ?」
ママ 「違うわよ。黙っておききなさい。それで、その女の特徴ってゆうのが
ね…」
理沙 「…ヒカル…」
オーナー「ん?今何か聞こえなかったか?ほら、また…」
ママ 「何馬鹿な事いってんの。店の客でしょう。まあ、確かにこの話の時期
ってのはちょうど今ごろだけどね」
理沙 「…ヒカル…」
一同 「聞こえた」「確かに聞こえた」
翼 「ヒカル…っていいましたよね」
摩夕子 「ちょっと、やだぁ」
理沙 「ヒカル。聞こえる?私よ」
光 「!??ね、姉さん??」
理沙 「そう、私。遊びに来ちゃったの」
晴彦 「リサー、リサー!!」
理沙 「あらやだ、余計なのまでついてきちゃった」
晴彦 「理沙、やっと見つけた。なんでこんな所に毎年毎年来てるんだ!?」
理沙 「いいじゃない、別に。ねえ?」
摩夕子 「お…お兄さま??」
晴彦 「おお。摩夕子。久しぶり。聞いてくれよ、理沙の奴が」
理沙 「なによ。偉そうな事言えないでしょ。私のことを殺した分際で」
一同「え?」「殺した?」
翼 「うわ、さらっと、真相暴露」
理沙 「ええ、そうよ。この人ね、かっとなったら収拾つかなくてさ」
光 「でっでも、姉さんたち、結婚を反対されて心中したんじゃ?」
摩夕子 「そうよっ!お兄さまが殺したにしても、心中だって警察も言って…」
晴彦 「―っえっ、いやっ、あの…あのな、摩夕子。これには深い事情っても
んが…」
理沙 「違うわよ。何?そっちじゃそんな事になってるの?ちょっとちょっと、
光。詳しく教えてくれる?はい、そこのいて」
翼 「うわわわ。済みません、のけます」
理沙 「あ、このお酒、美味しそう…。私にも、もらえる?」
マリー 「あらぁ、いけるクチぃ?翼ちゃぁん、用意してくれるぅ?」
ママ 「ちょっと、金もない女に何言ってんのよ!いくら光の姉でもねぇ、金
がなけりゃ、ここじゃあ用無しよ」
オーナー「まあまあ、折角出てきてくれたんだし。ちょうど趣向にもぴったりだ
し…。そう堅い事いうなよ」
マリー 「そうよぉ。面白いお客じゃなぁい」
ママ 「利のない事はしない主義なの!」
晴彦 「ほら、こういってるし〜。理沙ぁ。なっ?大人しく帰ろう、なっ?」
理沙 「いや!まだ来たばっかりよ。そんなに言うなら晴彦さんが一人で帰っ
たら?」
晴彦 「そっ…そんなこと言わなくてもいいじゃないかっ!!だいたい君は
…!」
摩夕子 「もー、お兄さま、うるさい!理沙お姉さま、どういうことなんですか?」
光 「そうだよ、姉さん!説明してくれよ!!」
理沙 「そうねぇ、どこから話そうかしら…」
翼 「あの、これ。お酒です…」
理沙 「あ、ありがとーvvええっとねぇ…」
ママ 「無一文に出してんじゃないわよ」
オーナー「まあまあ、珍しい客なんだから」
理沙 「まずねー、晴彦さんは私の事を浮気してるって疑ってたの。で、私は
私で、晴彦さんの行動が怪しいって思っててね。それであるとき、思
いきって問い詰めてみたのよ」
マリー 「あらぁ、いきなり修羅場ねぇ」
理沙 「そうしたら、あれよあれよと、この人ったら怒り半分でべらべら喋っ
てねぇ」
晴彦 「わーっ!わーっ!わーっ!もういいじゃないかっ!!昔の事だろう」
理沙 「昔のコト…?私、あなたに殺されたのよぉ…?そのこと、わかってる
のかしらぁ…?ふふふっ」
翼 「怖っ!さすが幽霊」
オーナー「どこの世界でも、女は強いな…」
光 「でも、そんな単純に姉さん殺されたのか?!」
理沙 「んー。いや、単純ってわけでもないんだけどね」
マリー 「あらぁ、まだ色々とありそうねぇ…」
理沙 「まあ、ね。…ふふっ」
時計の音
一同 「!!時計の音?!」「一体どこから」「こんな時計なんて無いぞ?」
理沙 「あら!もう時間?ごめんねー、光、私もう帰らなくちゃ」
光 「えっ?どーいうことだよ!姉さん!!」
理沙 「たまにはお墓参り、来なさいよ。じゃーねー」
晴彦 「じゃ、摩夕子。俺も行くから」
摩夕子 「あら、お兄さま。まだいらしたの」
晴彦 「なんてこというんだ!お前まで!!だいたいお前は昔っから…」
理沙 「ほら、いくわよっ」
晴彦 「摩夕子〜!いいか、光はやめとけぇ〜。ろくな男じゃ…な…」
マリー 「またいらっしゃぁいvv」
理沙 「はあぃ。…ぅるっさいわねぇ。この人はっ!」
一同 「…消えた!!」
ママ 「ふん。やっと帰ったのねェ。あー、無駄な労力」
翼 「でも、じゃあ、ママが言ってた幽霊って」
オーナー「光の姉ってことになるのかもな」
マリー 「でも、結局肝心な事がいまいち良く判らないままねぇ」
翼 「ひっかきまわしてっただけってカンジっすね」
摩夕子 「それにしてもお兄さま。死んでからも、あんな、なさけなくて…。ね?
光。…光?」
光 「…そうか。忘れてた。今日、もう0時過ぎたから昨日だけど、姉さん
の命日だった…」
摩夕子 「あっ!!」
マリー 「あらぁ、それで出てきたのねェ」
翼 「忘れられた事、恨んでたんスかねェ?」
理沙 「…ヒカル…」
一同 ぞっ!
END