甘い時間はもう過ぎて
湯気たちのぼるバスタブに
少しゆっくり浸かっていた
ハンガーにかけられたコートの雪
もうすっかり乾いているはず
あなたが入れ直した
コーヒーをバスローブのまま受け取る
「ありがとう」
「今まで」とは言えないまま微笑む私
いつも素敵なこと用意してくれる優しさが
いつか途絶える日が怖くて
これ以上一緒にいたら
傷が増えるだけに思えてきて
それなのになぜか
もう一杯飲み終えるまでの間
髪がすっかり乾くまでの間
もう少しそばにいたいと願ってしまう
「明日からもうこの部屋には来ない」と
今日も告げることのできなかった私の中で
新しく冷たい雪が舞う
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