ほんの一握りの愛

あの日
もう2度と振りかえらないと誓った
歩いても歩いても
気持ちは離れない 決して枯れないと信じたまま

賑わう街 見知らぬ人ばかりの通りを
踵の擦り切れたハイヒールを履いて

やがて振りかえらないまま時は経ち
私は少しだけ大人に近づいた

歩くことに何の疑いもなく
まっすぐ まっすぐ自分だけを信じて
水を自分にあげる事さえ忘れ
歩くことが全てと思い始めていた

誰かを好きになってもそれはほんのひとときの迷い
誰かに愛をささやかれても私は少し微笑むだけ

あの日までの楽しかった時間に比べたら
もうなんでもわかったような気になって

そしてある日
いつものように歩いていたら
過ぎ行く人達の中に埋もれていたはずのあなたが
突然くっきりと見えてきた

湧き出したばかりの水のように新しい世界に
あなたが私を引っ張ってから
暖かい太陽のようなあなたの言葉と声に包まれて
やがて私の中に水が注がれ 新しいつぼみが生まれていた

それからしばらくして私の元からあなたは
過ぎ行く人達の中に帰っていったけど
あなたがくれた ほんのつかの間の この一握りの愛で
私の中に咲いた花は 繰り返し咲き乱れ

私をしっかりと大人にしている

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