「旅立ち」

  これから先
  同じ季節が巡り来るたびに
  同じ木から同じような花が咲くたびに
  私は今日のように泣くのでしょうか

  旅立つあなたをひき止めるだけのものを
  持ち合わせていなくて
  見送るだけの私は ただ
  遠い町を選んだあなたを
  明日への荷物をまとめるあなたを
  黙って見ているしかないの

  建ち並ぶビルだらけの町の中
  あなたはどんな部屋に住むのでしょう
  そこに私の写真は立てかけてもらえるのでしょうか

  眠ることを知らない町の中
  あなたにはどんな友達ができるのでしょう
  その人達に私の名前は知らされるのでしょうか

  テレビでしか見たことの無い
  その大きい町であなたはどれだけ私を思うのでしょうか

  もしも願いが叶うのなら
  あなたが旅立つ前に
  今夜私はあなたの中へ旅立ってゆきたい

  そしてどうか
  明日からあなたの帰りを待ちつづけていく私が
  自分の思いに押しつぶされてしまわないよう
  今夜 もっと強く眠れないほど抱きしめていて

  私のもとに必ず戻ってくるという
  嘘でも信じていたい約束のもとに…


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