本の感想です

京極堂シリーズ 京極夏彦

言わずと知れた京極堂。実は読み始めたの最近なんだけどすっかりはまりました。
一冊目の「姑獲烏の夏」は普通に面白かった。あくまで「普通に」。特に「はまった!!」とは思わなかった。
むしろ京極堂のウンチクが長長としていてイライラさせられた。
でも何となく二冊目の「魍魎のハコ」も読んでみた。ここで見事にはまりました!段々とキャラに愛着が沸いてきた
ところにあの話!キャラとストーリーの両方に見事にやられた。だってハコだよ?人が「みっしり」入っちゃうんだよ?
次は三冊目「狂骨の宴」。これは期待しまくって読んだからかもしれないけれど・・・いまいちだった。何がいけなかった
んだろ?ユングとかフロイトとか出てきたからかな?しかも最後女の人二人、どれがどうなのかわからなかった。昔の夫が殺して
も殺しても訪ねてくるってのもすごく不思議で良かったんだけど、いざネタバレしてみたらなんだか苦しいような気がして一気に
醒めてしまった。
ところが四冊目「鉄鼠の檻」!又来た!!お坊さんの話なんだけどこれが凄い!山奥の旅館とか時間の止まったお寺とか成
長の止まった女の人とか出てくるんです。ぐいぐい引き込まれてあっという間に読み終えてしまいました。
絡新婦の理」面白かったんだけどやはり「魍魎のハコ」や「鉄鼠の檻」には劣る。「4人姉妹」っていうのをもうちょっと
活かして欲しかったと言うか・・・。別にそうでなくてもいいのかも知れないけどさ。葵の殺され方とかもやっぱりちょっと無理が
ある・・・気がする。茜が黒幕だったって言うのも苦しいような。でもまぁそんなに完璧なのを求める筋合いもないですね。
充分立派な面白い作品ですよ。余にも面白い作品を書かれると「次は次は」とどんどん新たな面白さを追求しちゃうからだめだねぇ。
塗仏の宴」。関口・・・ここまで堕ちるとは。序盤まではしっかり面白く読めたんだけど、関口がどうなるのか気になって
しょうがなかったのでバシバシ流し読みしてしまった。しかも色んな宗教紛いの物が出てくるから、流し読みしてた私は最後の憑き物
落としの所でも「あれ?この人誰だっけ?」とかいう感じで・・・。兎に登場人物が多い。それだけなら良いのだが、それが全部主要人物
だからどうしようもない。うーん・・・ちゃんと読めれば面白かったんだと思う。ショックだったのは織作茜が死んじゃった事!___to be continued


百器徒然袋 雨 京極夏彦

これは「京極堂シリーズ」の外伝みたいなもので、いつもは準主役の榎木津が主人公であり、語り手(?)もおなじみ関口ではなく新キャラ
になっている。話自体は下手な「京極堂〜」よりも面白かった。毎回ぶーぶー言いながら引っぱりだされる中善寺が毎回過ぎてやや
不自然ではあったけど。やはり榎木津だけでは事件は解決できないのね(笑)
榎木津は本編で充分破天荒振りを発揮していたと思ったら、これを読んで更に凄いんだなぁという事を実感した。彼が主人公だと破天荒が 多い分笑いどころも増えて、私の中では嬉しい限りである。(実際図書館で一人ニヤニヤする事があった)
なんとなく抵抗を覚えたのが新しい語り手「本島」(あってるかな?)である。私の中で語り手=関口であり、関口のような役回り、性格 の者は彼だけで充分だと思っている。だからどうしても彼に最後までなじめなかった。彼は語り部としてこの本の大半に出てくるのでまぁ 慣れたが。そんなことを言いつつ、実は新参者が彼ら薔薇十字団に加わる事に私が嫉妬しているだけかもしれないのだ。


少年時代 ロバート=A=マキャモン

あるHPの書評で盛んに薦められていたので試しに読んでみました。スタンドバイミーが大好きなのでこれも面白
そうだなぁと思って。結果・・・面白かったよ!!内容はやはりある中年男性の少年時代の話。ある日主人公は湖に沈んだ
不審な殺人死体を目撃する。そこから彼は町の中の様様な事を知ることになる・・・。個人的には素っ裸の頭のおかしい
男の人に惹かれた。似た人をある映画で見て惚れたからなんだけど(笑)


ムーミンシリーズ トーべ=ヤンソン

最初はただのスナフキン好きだった。童話とかも全然読んでなくて。で、彼をきっかけに本を読み始めた。それでも
ひたすら彼が出てくる話ばかり読んでた。次第に彼と絡むほかのキャラに興味を感じ始め、本格的に読むに至った。
小さなトロールと大きな洪水」〜「ムーミン谷の十一月」まで。全てにおいて本当に面白い!!
アニメのほんわかムードだけでなく、ブラックな部分も随分あってそれが又良いんです。ミムラ(ミィの姉)なんて
原作では歯に衣着せぬ物言いのキャラになってるし、スナフキンだってただのいつも優しいお兄さんなんかじゃない。
私のオススメは「ムーミン谷の十一月」。ムーミン最後の作品。著者が「この作品は大人のための童話です」
と言っているのを後で知って随分納得した記憶がある・・・。実はこの作品、ムーミン一家は登場しないんです。驚きでしょ?
ムーミンに会いに来た人々がムーミンの家で織り成す奇妙な共同生活と言った所かな。私は図書館で借りた後これだけは購入
しました(笑)そのくらい良いんです!


女王の百年密室 森博嗣

装丁に非常に惹かれて読み始めた一冊。見事に当たりだった。映像がバシッと頭の中に入ってきてとても幻想的な作品だと思う。
最後のミチル-アキラ-ロイディの関係も意外性充分だったし、舞台も「社会から隔離されたコミュニティ」と私の中ではツボだ
った。章の始めにある詩もぶっちゃけ訳分からなかったんだけどなんだか気に入ってしまった。これも購入しようと思ったんだけど
お金がなくて未だに実現できないでいる・・・。その代わり図書館で二回も借りてしまった。


スカイクロラ 森博嗣

これも装丁と「森博嗣」に惹かれて読んだ。すごく静か。戦闘機の話なのになんでこんなに静かなんだろ?実際の戦闘の描写もすごく
美しい。戦争の為に生まれたアンドロイド「キルドレ」。自らの正体に気付かずに、いや、気付かない振りをしながら日々を生きる。
悩む人、それ自体の思考を停止する人。このお話の世界は本当に冷たくて、静かで、今思い出してもなんだか少し苦しいです。
森博嗣は普通の推理小説よりも(←実は読んだ事ない)こういう幻想的な話の方があってる気がする。私の個人的な嗜好かも
しれないけど。話が淡々と始まっていって最後までその雰囲気が持続してる。「女王の百年密室」と同じく大好きな作品です。


麦の海に沈む果実 恩田陸

舞台は社会から隔離された非常に閉塞的な学園。これまた私の大好きなタイプ。学園で起きる殺人事件。降霊術。謎の少年。話には常
に暗さが付きまとっているんだけど、嫌な暗さじゃなくて儚い綺麗な暗さ。キャラクターも皆謎めいていて(主人公まで謎)いい味を
出していた。
この本は最初本屋で立ち読みしてたんだけど、余にも面白いから立ち読みで一回読んで、図書館で二回借りて読んで計三回読んだ。
主人公のリセや親友のユウリは「図書館の海」「黒と茶の幻想」にも出てるのでそっちもチェックされたし。リサの過去やユウリの悲しい
その後が垣間見れます。


図書館の海 恩田陸

短編集。けど正直本屋で立ち読みした本なのでそんなにじっくりは読んでない。最初は桜の話。二人の女学生のデジャブのような事。
あまり覚えてない・・・。流し読みだったので把握しきれずに話が終わっちゃった。
■日本人の兵隊の話。これまた最後の意味が理解できなかった。多分頑張って読んでも理解できなかったな、この話は。
■ある会社の同僚の女性の話と、バーで会った不思議な女性の話は星新一を彷彿とさせるようなわかりやすい話だったのでよく
覚えている。
■「麦の海〜」の主人公リサの子供の頃の話。「麦の海〜」を読んだ後だったから、彼女の昔の話を聞けて面白かった。
■最後の話も分かり易い。久しぶりに友達に呼び出されて、行ってみたら実は彼女は随分前に死んでいたというわりと良くある話。
にも関わらず面白く読めた。


ネバーランド 恩田陸

これまた「麦の海〜」と同じ恩田陸の学園モノ。この人自身学園物には思い入れがあるといってましたが、私も大好きですよ!
実は表紙からして期待せずに読んでました。これからは表紙で判断するのはやめます(きっぱり)
恩田陸の学園モノは、まるで自分がその生徒達と一緒に学園生活を送っているような気にさせられます。夜に酒盛りしたりカード
したりとか。本当に読むのが楽しいです。
年末年始を寮に居残って過ごす4人の生徒の話です。それぞれ暗い悩みを抱えている彼らが、生活を共に過ごしていくうちにそれを吐露
し合ってだんだん理解しあっていく・・・と言うような感じ。短いので寝る前に読み始めて読み終えました。
最後の年賀状の場面が良いです。


ドミノ 恩田陸

登場人物が多い!けれどすっごい面白い!「主役」というのはいなくて、いろいろな人々の話が東京駅を舞台に絡み合っていく。どの話も
引き込まれて、あっという間に終わってしまった。やっぱりこの人は凄いと改めて思った。テンポが良く、全ての登場人物が魅力的。
一番最初の絵入りの登場人物紹介も、本編を読み終わった後に読んだんだけど良かった。


黒と茶の幻想 恩田陸

四人の男女が旅行先で、過去を交えて織り成す物語。4人それぞれの視点で順に話が進んでいく。これには過去の回想に「麦の海〜」
のユウリが出ます。悲しい感じに。ユウリはあの学園を出た後こんな風に生きていたんだ・・・。
話が脱線しました。この話はそこまで引き込まれることは無かった。もうちょっと私が大人になったら多分全然違う風に読めると思うけど。
蒔生とその元彼女の悲しいすれ違いが切なかった。というか私はそういう悲しいすれ違いが辛くて好きじゃないので。


三月は深き紅の淵を 恩田陸

  一冊の本を巡る4章形式のお話。あーそんな本があるなら絶対読んでみたいなぁなんて考えながら読んでました。けれど結局あの本の
作者はどの人なんでしょうか?そもそもあの4章はつなげて考えちゃって良いのだろうか?でもそしたらやっぱり辻褄合わないし・・・私
読解力無いからな。
いやぁそれにしても一話一話本当に面白い。恩田陸は「同性の読者にも好感の持てる女の子」を描写するのが上手い。やっぱり女の人
だからなのかな。どうでもいいけど最初は男の人だと思ってた。だって「陸」だし。だから女だって知ったとき一寸がっかりした。
知らない内に「恩田陸」は私の心のアイドルになってた(笑)
2章目の話じゃないけど、やっぱり作者が男か女なのかは無意識に気になっちゃうもんなんだぁ。


月の裏側 恩田陸

恩田陸はリアルじゃないものリアルにするのが上手い。普通じゃない事を上手に日常に織り込んでいる。これはそんな作品。
いつもの「恩田陸」と違うな、と思った。理由はよくわからないけど。話がはっきりといつもより「ありえない」からかな?
出てくる人が「大人」ばかりだから?舞台が「日本」をはっきりと匂わせるような場所だからかな?
兎にも角にも人間を飲み込んで”ひとつ”にしてまたそこから作り出すなんていう荒唐無稽な話をよくもまぁここまでリアルに描写できる
なぁと。全然違和感を感じさせないから凄い。
今思ったけど私がこの作品に感じた「他の恩田陸と違う」はやはりこの「リアル」さだ。「麦の海〜」や「図書館の〜」、「黒と茶の〜」
等は設定自体が割と現実離れしている。(「黒と茶の〜」は設定と言うかむしろ「美しい謎」あたりが)けれどこれは、とある町の中で
起きたごくありふれた失踪事件(変な言い方だけど)が発端であり、人間を盗む「何か」以外は全く私たちの日常である。そこがいつもと
違うとこなのかな。


木曜組曲  恩田陸

5人の30代位の女性は、毎年亡くなった時子を偲ぶ為「うぐいす館」に集まっている。そこで彼女達は時子の死んだ謎を追求していくのだが・・・。
 いやぁ良かった!この本は、舞台が殆どうぐいす館での夜の食事風景。気が付くと自分もテーブルについてホウレン草のキッシュ
なんかつまみながら静子の話に聞き入ってるような錯覚を覚えてしまう。5人の女達の駆け引きがまたドキドキさせるのだ。
鈴木京香で映画化されるらしいけど是非見てみたいなぁ。


 
球形の季節 恩田陸

「学園物」って何かの後書きで読んだから「麦の海〜」や「ネバーランド」みたいな閉鎖された学校での話かと思ったら全然違った。
学校じゃなくて地方都市(町?)が舞台。ほんのちょっと「月の裏側」に通じる所があると思う。人がいなくなって、違うものになって
帰ってくる辺り。
 それにしても著者はなんでこんなに若者の機微を理解しているのだろう?色々読んでてそれを良く考える。例えば親友の女の子が
好きな人の話をそれとなくしちゃうところ、それに嫉妬して主人公が思わず彼の悪い噂を話してしまうところ等等。こういうのって
誰でも考え付いちゃうことなのかもしれないけど・・・。丁度今リアルタイムでそんな感じなので思わず感情移入してしまう。
 話は・・・普通に面白かった、って感じ。なんか全体が浅いような気がしてしまって。例えば石から人が出てくる所。はっきり描写された
個所が一つも無い。なんだか物足りなさを感じてしまった。登場人物一人一人についても、もうちょっと奥行きが欲しかった。もちろん全員
というわけではないが。登場人物多いし。孝彦忠彦とか利子とか私の中でかなり印象薄いまま物語が進んで行っちゃったんだよね。
だから読み終わっても手ごたえが他の作品に比べて無かった。


劫尽童女 恩田陸

今までの作品と毛色が違う作品だった。人を実験材料にして巨大な力を得ようとする組織"ZOO"。そこで生まれ、そこから逃げる少女。
彼女は父親から実験により力を与えられたのだった。世界規模で彼女を取り戻そうとする"ZOO"と少女の争いの話。
読んだだけだったら恩田陸の作品とは分からなかった。「謎」のようなものは無く、むしろ科学や銃火器がメインとなっており、私は
あまり熱心には読めなかった。それでもまぁ面白かったことは面白かったから最後まで読めたけど。やはり私が恩田陸に期待するもの
とは毛色が違ったので、読み終わった後の爽快感のようなものは無かった。


光の帝国 常野物語 恩田陸

普通の人間とはちょっと違う能力を持った一族の話。色々な人物視点で描かれており、それぞれの人間が微妙に交錯している。
正直あまり心に残る作品では無かったです。後書きを読んだら、これはどうやらプロローグのようなものであるそう。
確かに説明不足というか、明らかにされていない謎があちこちにあり、それほど入り込めませんでした。
これからこれらの話の続きを書いてくれるんだったら又読みたいけど・・・。


六番目の小夜子 恩田陸

またまた恩田陸の学園もの。毎年毎年ひっそりと引き継がれていく奇妙な伝統「サヨコ」。その不気味で奇妙な謎を解明するべく
4人の学生が動き出した。それぞれがそれぞれ、様々な思惑を抱えて3年生最後の生活が過ぎていく・・・。「サヨコ」とは一体
何者なのか?


juliet 伊島りすと

これは本屋の立ち読みで読破した。面白いし話も分かりやすかった。グロかったけど。読んでて痛かった。物理的な幻痛を感じました。
それ位しか感想がないですね。いや、読んで損はないと思いますけど。


夏の滴 桐生祐狩

これも装丁に惹かれた。その装丁とタイトルから察するに「少年時代」「夏休み」「不思議・ノスタルジイ」というのを安直に想像して
いた。・・・結果全く違う!見事に裏切られた!実際はいじめとか近親相姦性描写とかあってびっくり!それも必要以上に生々しい!!
「こんないじめないだろ?」と思っちゃうくらいとにかく生々しく痛々しい。「少年達が主役」というのはあってた。
話の内容は一言で言うと「どんな病気にも効く、人間が材料の薬を巡るある町の話」。スケールが大きい。なんてったって世界規模の
話ですから。私はグロイのとか好きだからむしろ最後まで目が離せないくらい面白く貪り読んだけど、そういうの嫌いな人はすごい
気分悪くなるみたいなので要注意。


インストール  綿矢りさ

これ書いた人若い女の子なんだよな〜。乙一といいこの人といいすごい。内容はアダルトサイトのチャットのさくらのアルバイトを
ひょんな事で出会った女子高生と小学生がすることになってなんたらかんたら。
ページ自体少ないので、内容もまぁいい感じに薄いですがそれでも文章は上手いし退屈させないし、この人はこれからくると思いますよ!


夏と花火と私の死体 乙一

乙一のデビュー作?ですよね。思ったよりも稚拙と言うかなんというか。デビュー作でしかもまだ年少の彼に京極夏彦や森博嗣と同じ
クオリティを求めるのは酷ですね。それでもやっぱりちょっと拍子抜けしました。内容も、死体を隠すまでの経緯が強引。それに小学校
の普通の男の子がなんであんななの?せめて彼が中学生以上だったらまだ納得できたかもしれない。小学生二人が何の罪もない友達
の死体をどうして自分の部屋の押入れ にしまえるのでしょうか?もし兄妹に近親相姦的な感情があるならば別ですが・・・。それはそれで
もっとそこを描写した方が・・・。
それに比べて本の後半に入ってた家政婦さんの短編は断然良かった!本当に怖がれたし、引き込まれました。これのおかげでこれから
の彼に期待できます。「GOTH」楽しみだなぁ。


GOTH 乙一

最初の2話は良かった。でも段々お腹いっぱいになってきた、猟奇殺人で。全話面白いし、ここまで色々な猟奇殺人を思いつくのは
凄い!と思う。それぞれの事件だけで本が一冊出せそうな感じだった。いっそそうした方が良かったようなそうでないような。
誰でも猟奇殺人に下世話な興味は抱くものだと思うけど、ここまで色々あるとお腹いっぱいです、正直。
乙一はどんでん返しが好きなんですね。今まで読んでいて半分以上にそれがあった気がする。でも全部凄く上手。乱歩の「人間椅子」
以上の驚きは無かったけど(私は人間椅子を読んだ時本当に衝撃を受けたのです)。「え?嘘?こういう展開なの?」っつーのが満載
なのです。予想だにしなかった展開が沢山。本当に凄いと思う。よく考えるなぁ。
私はグロとか殺人事件とか人並み以上に好きだけど、GOTHは一気に読むのが辛かった。一日につき一話が丁度良い感じ。
けど他の本も読んでみたい。


天帝妖狐 乙一

短編二話入ってます。
■A MASKED BALL 
中学生の主人公が学校の人気のないトイレのタイルに落書きを見つける。ネットの掲示板のようにタイルにペンでメッセージを
書く事で、顔もわからない4人の交流が始まるのだが・・・。
いっつも乙一の話のどんでん返しに引っかかっているので、今回は必要以上に深読みし、考えながら読んでしまった。タイルに書き込ん
でいる主人公以外は全員昔の生徒で今はもう死んでしまっているんじゃないか?タイルを通じてあの世とこの世が繋がってしまっている
んじゃないか?とか。今考えたらかなり稚拙ですが(笑)実際はそんなことは無く、本当の生徒達でした(一人除いて)。それが又現実に
ありそうな感じで良かった。
今回もまた、謎解きというか犯人探しに軽く罠が仕掛けてありました。ちょっとひっかかりそうでしたが。本当に上手です、乙一。
■天帝妖狐 
昔、まだどの家も瓦で、舗装した道路も無かったような時代(ですよね?)。子供の頃の過ちにより死ぬ事が出来ない男と、心の優しい
少女の切な過ぎる話。主人公の男性が藤原基央に見えて仕方が無かった。彼好きなので余計に感情移入して読めました(笑)理由無く周
りから忌み嫌われ、避けられていた彼が不憫で不憫で・・・。少女との交流を通じてやっと平安が訪れたと思ったのに。
どんどんと人間性が蝕まれ、得体の知れない物に体が侵されていく。その恐ろしさが彼を平安から否応無く追いやってしまう。悲しく
切ないお話でした。けれどとても惹かれました。乙一の中で今のところ心に一番残る作品です。


暗黒童話 乙一

乙一の「グロ」「切なさ」両方とも見事に入った長編でした。途中に挿入されている「暗黒童話」も素晴らしかったです。
童話に描かれる残酷さもこの人にかかると全然違和感なく受け入れられます。
出てくる被害者達の様子は、京極夏彦の「魍魎のハコ」や乱歩の「芋虫」を思い出させました。乙一作品の中でも(といってもそんなに
沢山この人の作品読んでない)特に描写がきつかったように思います。痛みを感じるとかじゃなくて、純粋に「グロい」。でもストーリーは
「せつない」。片目を失い記憶喪失になった少女が、移植された目を通して見るもう一つの世界・・・。それは網膜に焼きついた前の持ち主
の記憶だった。その記憶は、家族からも冷たくされる少女の唯一の拠り所となる。その目の持ち主のいた場所へ、彼女は訪れる事
にしたのだが・・・。そういえば似たような話ブラックジャックにあったなぁ。


ダレンシャンシリーズ ダレン=シャン

これは原書で読んでいるのでなかなか進みません。つか一巻400円、二巻以降1300円って・・・詐欺じゃん!
何かとハリポタと比較されがちで、しかも評判は負けてますが、良いですよ、こっちも。サーカスとかフリークとか雰囲気がまず私好み。
内容的にハリポタが陽ならこっちは陰みたいな感じ・・・(?)。ダレンが人の血を飲まないって頑なに拒んで身体を悪くした時は本気で心配
しながら読んだし、友達が狼男に食べられて無残な姿になってしまった時はこっちも本当に辛かった。
この作品では「吸血鬼が血を飲む」という行為が良いものとして描かれてるんだよ。その理由がまた上手い。ので、これを読んだ時は
是非注目して読んでいただきたい。
"tunnel of blood"(三巻)。新キャラ多数出てきました。シルクドフリークの面々があまり出てこなくなるのは淋しいけど
それを補って余りある魅力的なキャラばかり。それと、改めてダレンとエブラの友情を再確認。素晴らしい。デビーはもう出て
こないだろうな。サムみたいに心の中の思い出になって。・・・切ない・・・。そしてマーロフ。残酷なのにやっぱりどこかで憎めない。
二人で地下水道に逆さ吊りにされた時のマーロフ+ダレンのやりとりがドキドキした。やっぱり「ダレンシャン」の最大の魅力は
その「リアル」さにあると思う。時に残酷で不条理な世界がそこここに垣間見えるのだ。だからこそ私は彼らに感情移入でき、その
世界にどっぷり浸っちゃえるんだろう。
"vampire mountain"(四巻)。まず驚いたのはエブラが大人になっちゃってること!!ダレンはあまり年をとらないから、二人の間が、やはり昔のようには
いかないのがちょっと複雑でした。まぁあまり本編には関係ないんですけど。
行きましたよ。バンパイアマウンテン。熊と戦ったり色々したんですが、それでも「これ」という話のメインは無かったように感じました。
次回作に続く序章といった所でしょうか。今までのは一巻一巻でそれぞれしっかりと完結したような感じだったんですが。
いいところで終わりやがるんだ、また。次が早く読みたいです。___to be continued


多重人格探偵サイコ・フェイク 大塚英志

複雑っすねぇ。木島日記の小説版の様にこれも漫画とは違う世界と思って良いのかしらん。微妙に漫画と絡み合いつつでも違う部分も多い・・・。
でもこれはこれで面白かった。漫画読んでないとつまらないんじゃないかな。良かったのは色々漫画では解らなかった事も明らかになった。 どこまでを漫画とダブらせて良いのかが微妙だったけど。言えるのは、雨宮と磨知はくっついて欲しくない。西園はかっこいい。


多重人格探偵サイコ 小林洋介最後の事件 大塚英志

「フェイク」に比べてよりノベライズっぽい。漫画を読んでるみたいだった。表紙の田島昭宇書き下ろし(だよね?)も嬉しい。
最初はコミックが中心的で、ノベライズはそのサブというか補足だと思ってた。けど違った。確かに小説のあれだけの量を漫画化するの
は随分と大変な時間と労力だろう。それにしてもコミックスだけでは全く分かっていない事だらけだった・・・。コミックの「補完」というより
コミックスノベライズ等全てひっくるめて「多重人格探偵サイコ」なんだな。

西園伸司の憂鬱と一緒に一気に読んだので混同してしまった。ので感想はゴッタ煮です。すいません。
・・・書くの難しいなぁ。ホントに一気に駆け抜けたような感じだったから・・・。印象に残ってるのは桃井のいる刑務所と、津葉蔵の精神病
患者達。前者は「最後の事件」。後者は「憂鬱」の方のメイン。それくらいしかない・・・。
どうでもいいのだが(いいのか?)雨宮一彦の人格って「西園伸司」の他にも女の人格とかあったのに。全くでてこないのはどういうわけ?




木島日記シリーズ 大塚英志

漫画「木島日記」のノベライズ。「サイコ」と違い、この本は漫画と同じ話を小説にしている。しかしもちろん全く同じ訳ではなく、色々と
漫画に無い部分も加筆されている。・・・というか加筆されすぎているというかむしろもう別の話というか・・・。一応漫画と同じネタを使い話を
進めて、内容は漫画と全く違うものにしている。コミックスではバッドエンディングだった話がハッピーエンディングになっていたり、
少年の近親相姦の相手が母親から妹になっていたりする。こちらはこちらで漫画と同じくらい楽しめた。「この話は漫画のほうが良い
けど、こっちの話は小説の方が良いなぁ。」なんて感じに色々比較できて又面白い。
木島日記はキャラクターがどれも良い。本当に。これのおかげで民俗学に興味を持った。(この本を読んだ人は大体そうなるらしい 笑)
(もしこれからも出るのだったら)_____to be continued


水に埋もれる墓 小野広嗣

文章が回りくどい・・・。あまりにも回りくどい。最初の数ページだけ意図的にそうしてるのかなぁなんて考えながら読み進めていったが、
全く変る気配が無い。こんなに文章を読んでいて頭に何も浮かんでこないのは初めてだ。まるで評論文のよう・・・。(下手したら評論の方
が読みやすいかも。)頭に情景が浮かばない小説なんて読むのはまっぴらなので止めました。私の読解力が無いだけなのかなぁ。


哀しき玩具 薄井ゆうじ

家族が主なテーマの短編集、視点は殆ど子供。どれもこれもノスタルジイと哀愁を感じさせる話だった。初めてこの人の作品を読んだ
のだけど、違和感無くすらすら読めた。全ての作品に共通しているのは「家族」。単なる家族ではなく、そこには様々な事情が絡み
合って、複雑な様相を呈している。それを子供の視点から描写しているのだ。
個人的には凧の話が一番好きだ。一番哀しくて切ない。身体を許さない婚約者にもどかしさを覚える男。彼女には秘密があった。
それはある病院にいる余命少ない男子高校生。3人の奇妙な関係はどうなっていくのか・・・・・・。
この人のほかの作品も是非読んでみたいなぁ。


西の魔女が死んだ 梨木香歩

魔女を祖母に持つ少女が、不登校の為しばらく魔女と田舎で暮らすことになった。少女はそこで魔女修行をする事になったのだ・・・。
「魔女」や「魔女修行」といっても、いわゆる箒に乗って飛ぶとか不思議な薬を作るとかじゃない。この草はこの花の近くに植えるといい
とか朝は早く寝て早く起きるとか、そういう感じである。少女は毎日朝早く起きて、ニワトリ小屋から卵を取って朝ご飯を食べ、午前は
畑仕事をしたりジャムを作ったり。夜は勉強をして、早く寝る。読んでてとっっっても羨ましかった。家の周りの風景もすごく奇麗で
読みながら気持ちよかった。山道を通ると野イチゴ畑があったり、美しい丘があったり。
夜、蒲団の中で死について考えて大泣きしてしまう少女とそれを優しくなだめるお祖母さん。彼女が死んだ後、ヒメワスレナグサの
近くのガラスにあった文字を見て、私も泣いた。
魔女になる為には、「自分の意志で決める事」。簡単なようで、難しい。私もこれからやってみよう。
読んだ後とても清清しかった。お勧め。



黒祠の島 小野不由美

閉鎖的で特異な環境で起きる事件。屍鬼に通じる部分がありました。この人の書くものって割とラストが論理的科学的でなく、むしろ
情緒的な感じがありますよね(聞くな)。今回も、浅緋のような人間が出てくる辺りがそうでした。生まれながらの殺人狂。
真っ暗な廃屋で、着物を着た少女が男をじわじわ殺していく下りはぞっとします。
ミステリの謎解きに関しては「うーん」って感じです。でもそれは私に読解力がないだけでしょうけど。
どうも人間が入れ替わるトリックは読んでいてこんがらがってしまうのでダメです。
葛木が生きていたのも意外性が無くちょっとがっかりでした。・・・あれは意外性を出したのでしょうか?


李歐 高村薫

以前WOWWOWで映像版を放映していたなぁ。見てないけど。CMが丁度李歐が一彰に口紅をつけるところで、すごい印象に残った。
たまたま図書館で見つけたので読んでみました。
李歐がいちいちかっこいいです。ほんとに。男二人の友情が切なくて美しくて羨ましくてたまりませんでした。二人の関係は、まぁ「友情」
という言葉だけでは表せませんが。なんだろう、・・・お互いがお互いに惚れているのです。愛し合ってる訳ではなく、惚れあってるのですよ。
どんなに離れていても、どんなに時間が経っても、ずっと心でつながっている、信頼している。BUMP OF CHICKENの「EVER
LASTING LIE」みたいなどと思ってみたり。
よく出てくる中国語のリズムも、目で読むだけでも心地いいです。かなり中国語に興味持ちました。今まではそんなに思わなかったけど、
「ああ、中国語って奇麗だなぁ」と。


リアル鬼ごっこ 山田悠介

本屋で題名を見た瞬間「ああ!読みたい!」と思った本。急いで図書館に予約を入れたのだけど、人気あるらしく随分かかった。
・・・のわりに・・・。まだデビュー作ですから。これからどんどん伸びてくる可能性に期待したいです。
まず文章のテンポが悪い。でもまぁ入り込めればそんなに気にならなくなるのだけど。デビュー作ですから。
展開も突拍子無いストーリーが突拍子無く進んでいってしまう。突拍子無いのを違和感無く読ませるのが出来てない。自分日本語
おかしいかしら。
七日間も追いかけっこを繰り広げるわけで、しかも毎日鬼が増えていくだけ、主人公ひたすら逃げるだけ。一応毎回親友との別れや
妹との逃亡劇などあるわけですが、どうにも単調な感じがしました。
ラストの終わり方もなんだか中途半端な感じがする。
でも面白かったと思います。(ここまで言っておいて)発想良かったし。ストーリー進める都合上キャラクター(特に王国側の)の
性格が浅くなりすぎてて、そこは頂けなかったな。王様なんてわがまま言うだけで終わるし、じいもへこへこしてばっかだし。
フォローしたくても何故か批判ばかりしてしまった。


モドル