復讐のいろは!
ぎぃ・・・ぎぃ・・・ぎぃ
カチャッ、・・・・・・キィ・・・・・
「あはっ」
また俺の部屋にヤツが忍び込んできた。
今日は何をやらかすつもりなんだか・・・。
「これなら祐一のヤツも・・・」
コト、コト、コト、と何かをテーブルに置く音がする。
ゴトッとなにやら危なげな音もしている。
薄目を開けてみる。
そこには名雪の部屋にあったはずの大量の目覚し時計たちが鎮座していた。
大小さまざまで、大きなものは安眠という言葉を根底から否定するようなものまである。
「よしっ、これで全部っと。あとはセットするだけ」
ヤツがこちらに背を向けて目覚ましをセットし始めた。
気付かれないように起きて、ベッドの上に座る。
そして、ヤツの背後を強襲した。
祐一「真琴ぉぉ――――」
真琴「きゃああああああぁぁぁぁぁーーー」
夜中だというのにとんでもない悲鳴をあげる。
近所迷惑極まりない。(しかし悲鳴をあげさせたのは俺だったと、あとで気付く)
祐一「おい、真琴。その大量の目覚ましをそんな所に置いてどうするんだ?」
勝敗の見えきった尋問を始める。
真琴「え・・・え〜と、あの・・・そ・・そう、祐一が寝坊するといけないから・・・・」
祐一「これで時間通りに起きられるだろう・・・。ということか?」
真琴「う・・うん。」
祐一「じゃあ、真琴は俺のためにやってくれようとしたのか?」
真琴「そ・・・そうなの。」
祐一「じゃあ、一つだけお願いがあるんだが・・・いいか?」
真琴「も、もちろんいいわよ。祐一のためだもの」
祐一「朝に真琴が起こしてくれないか?」
真琴「へ?」
祐一「へ?じゃない。目覚ましに起こされるよりは真琴に起こされた方が目覚めもよさそうだしな」
真琴「な、な〜んだ、そんなことくらい任せて。キッチリ起こしてあげるから」
祐一「そうか、よかった。じゃあ・・・」
俺の黒い部分が顔を出す。
祐一「俺より早く起きるんだからこの目覚まし達を使ってくれ」
真琴「え?」
祐一「これらは俺のためを思って持ってきたんだろ?だったら俺を起こすために真琴が使ってくれ」
真琴「ええええぇぇぇぇーーーーー!」
祐一「なんだ、何か問題でもあるのか?」
真琴「あう〜、なんでもないわよぅ・・・」
祐一「よし、じゃあセットしてやるからお前の部屋に持ってくぞ」
真琴「あうう〜〜〜」
少々時間はかかったが、返り討ちにしてくれた。
これで少しは懲りるはずだ、少しは・・・。
翌朝、大音量の目覚ましの音とともに真琴の部屋から、言葉にならない悲鳴がこだました。
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祐一「まったく、真琴のヤツはまだ懲りてないみたいだ」
名雪「祐一もやりすぎだよ〜」
祐一「正当防衛だ」
名雪「仕返しはいいけど、もうちょっと手加減してあげないと」
まあ、今回はちょっとやりすぎたかもしれない。
まさか、あんなことになるとは思いもしなかった・・・。
祐一「それにしてもだ、直らんものかなあれは?」
名雪「どうなんだろうね〜」
祐一「ま、いいか。そうだ、俺は寄ってくとこがあるから先に帰るぞ」
名雪「うん、じゃあね祐一〜」
そのときちょうど香里が教室に入ってきた。
香里「あら、相沢君もう帰るの?」
祐一「ああ、ちょっと用があってな。じゃあな、香里」
香里「さよなら、相沢君」
名雪「あ、香里おかえり〜」
香里「ああ、名雪。相沢君と何話してたの?」
名雪「うん、真琴のイタズラの話」
香里「真琴って・・・、例の記憶喪失の子だったよね?」
名雪「うん、そうだよ。それでね、その子が毎晩祐一にイタズラをするんだよ〜」
香里「・・・イタズラってどんなの?」
名雪「うんとね、こんにゃくを顔に落としたり。生麺を顔に落としたり・・・・」
香里「とにかく何かを顔に落としたりするのね」
名雪「そうだね〜、他にも結構あるけど」
香里「・・・・・ねえ、これから名雪の家行っていい?」
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祐一「ただいまー。・・・ん?」
玄関に見慣れない靴があった。
秋子「祐一さん、おかえりなさい」
祐一「ただいま、秋子さん。誰か来てるんですか?」
秋子「ええ、美坂さんが来ていますよ」
祐一「へえー。(なんでまた香里が・・・?)」
リビングをのぞくと名雪と香里と真琴が楽しそうに話をしていた。
ここで顔を出しても邪魔になるだろうから黙って自室へ行く。
そして夜の7時を回りそろそろ夕飯だと思い一階へ降りる。
そこにはまだ香里がいた。
祐一「香里は帰らなくていいのか?もうこんな時間だぞ」
香里「あら、相沢君。私、泊まっていくことになったの。いいでしょ?」
泊まっていく?なぜそうなったんだろうか。
祐一「秋子さんがOKなら、俺は別に構わないが・・・」
名雪「お母さんはいいって言ってたよ」
真琴「祐一が嫌だって言っても変わらないけどね〜」
なっ!まあ、べつにいいが。
秋子「さあ、御夕飯にしましょう」
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これといって問題は起こらなかった。
香里は何をしに来たのだろうか?
変に警戒して神経をつかったせいか疲れている。
こんなときに真琴のイタズラさえなかったら気持ちよく眠れるのに。
イタズラがないことをねがい、眠りについた。
・
・
ギィ・・・・・・・ギィ・・・・・・・・・ギィ・・・・・・・・
カチャッ、きぃ〜。
ドアが開きヤツが入ってくる。
真琴「あははっ」
性懲りもなくヤツがまた来た。
しかし、今回は様子が違った。
テーブルに何かを置いて、そのまま部屋を出て行った。
祐一「なんだ?妙だな・・・」
俺はテーブルに置かれたものを見た。
メモだった。
祐一(なになに・・・、真琴の部屋に来て・・・お願い・・・)
これで何かを期待しない男がいないわけない。
今までのイタズラは愛情の裏返し?などと、
例に洩れず俺は、妙な期待を抱きつつ廊下へ出た。
のが間違いだった。
真琴「祐一〜、逝け―――――――っ!」
突然後ろから突き飛ばされた。
廊下には何か塗ってあるらしく、ものすごく滑る。
祐一「うおぉおおぉおぉぉ、うおっ!」
何かに足をとられ、見事に転ぶ。
つづけてそこに鍋が落ちてくる。
祐一「がっ!」
もちろんHITする。
そして立ち上がろうと手すりに手をかけたら、
手すりが取れた。
立ち上がろうと腕にこめた力は行き場を失い、垂直へ落ちる。
手の落ちたそこには、接着剤のたっぷりと塗られた鉄アレイ。
祐一「な、なにっ。・・・・・・うぐぐ、取れん」
そして自力で立ち上がるとちょうど立っていた階段の一番上の段が崩れる。
もちろん落ちる。
祐一「ごががががががががががが」
階段にはロウが塗られているらしく、やっぱり滑る。
階段の一番下にはなぜか車輪のついた板切れが。
悟った。
あの粗末な車の行き先はきっと、黄泉の国だ・・・・。
悟ったとおり、そのままの勢いで板切れに乗り、玄関へ一直線。
無論ドアはすこし開いていた。
祐一(かあさん、さようなら・・・)
外に放り出された・・・。
極寒の地へ俺は旅立っていった・・・。
直後、お約束でカギは閉められる。
そのあと中で何か聞こえた。
真琴「すごーい、ホントに成功したよ」
名雪「祐一大丈夫かな〜、痛そうだな〜、さむそうだね〜」
香里「もちろんよ。私が考えたんだから」
真琴「香里すごーい。真琴にも出来るようになるかな?」
香里「なれるわよ。いい真琴、だいじなのはつながりよ」
真琴「は〜い」
自分の情けなさと寒さからくる絶望に苛まれながら死んだ。
30分後無事に秋子さんに救出される。
本気で人間不信になりそうな気がした。
真琴「祐一めっ、見たかっ!真琴を怒らすと怖いんだぞー」
一言:お待ちどうさまでした、第6弾のお届けです。今回は楽でした〜。
ノリで書けちゃいます、こういうのは。前回がとても納得のいくものではなかったので
今回の出来はまあまあです。点数で言うと80〜85点くらい。
お楽しみいただけたでしょうか?では次回作をお楽しみに。