デジャブ?…て思う事あるんだな。

教会でおまえに出会った時、遠い記憶の扉が開きかけた。
なのに俺は自分でそれを封印したんだ。

面倒だから?

いや、俺はいつもそうだった。人と必要以上に関わるのをいつも拒んでいた。
おまえが俺の心の扉を開けてくれるまで。

「変わったヤツ」だなと思った。
最初は誰でも話し掛けてくる。
「バイトの話」をきっかけに根掘り葉掘り聞かれるのが面倒で自然と無口になる。
そんな俺にいつまでも話かけてくるヤツなんかいなかった。

おまえ以外は。

最初はどうでも良かった。
おまえが一緒に帰ろうと言って誘ってくれた時もどうでも良かったんだ。
ただ断る気分でもなかったから一緒に帰ったりもした。面倒な時は断りもした。
それでもおまえは俺の姿を見つけると必ず声をかけてくれたな。

バイトの事以外に滅多に鳴らない電話に見慣れない番号。
「おまえ」の声が飛び込んできて正直、びっくりした。
少し緊張気味でデートに誘ってくる様子が「今までの女と違うな」と思った。
おまえに誘われて出たり断ったりを繰り返してた最初。

名前で呼ばれる事にも何とも思わなかった。
おまえと親しくなったなんて感情はまだなかった。好きに呼べばいいとしか思わなかった。

俺はその日の気分でおまえに接していたような気がする。
おまえはいつも俺を追いかけて声をかけてくれたからそれが当たり前だと思ってた。
ある時、おまえが他の男と一緒に下校する場面に遭遇するまで。

何で「そいつ」と帰るんだって思った。
困ったような顔をして…けど押し切られて帰る様子は俺にもわかってた。
俺が「あいつ」より早くおまえの前に現れていればおまえは俺に声をかけてくれたんだろうか。

多分その事がきっかけだった。俺はおまえを名前で呼びたかった。
そうする事でおまえは俺にとって「特別な存在」と印象付けたかった。

」と初めて呼んだ時、おまえの驚いた表情は忘れられない。
俺の事を出会ってすぐに「珪くん」って呼んだくせに。
おまえときたら顔を赤くして口ごもっていたっけ。そんなおまえを見て俺はすごく愛しく思えた。


俺はいつから「おまえ」を好きになったんだろう。


(ずっと前から?)


そしておまえは俺の目に突然、飛び込んできた。

!」

「…珪くん。」

「一緒に帰らないか?」

「うん、帰ろ!」



一緒にいられる時間が今は短く感じて…不満に思ってるのをおまえは気づいてるか?
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