菜摘子の詩
Fの肖像
目に飛び込んで来るのは
「M」のかたち
望みもしないのに
いつもいつも
幾百の夜と幾千の朝に
わたしを写し出すのは
相似形の「Mの肖像」
まぎれもないわたし
じっとみつめるわたしには
荒々しく毛羽立ったその姿の奥に
確かに透けて見える「Fの肖像」
夜の帳と朝靄の中に
判然としない陽炎のように
揺れ動くその姿もまた
まぎれもないわたし
幾百の夜と幾千の朝を重ね
ひとつ一つ
鳥の毛を毟るように
この身を削り
獣の皮を剥ぐように
この身を削り
「Mの肖像」の内側に潜む
「Fの肖像」を掘り出すのも
まぎれもないわたし