菜摘子の詩
ナビブ
ナビブ砂漠の稜線は譬えようのない美しさでわたしを魅了する
星明りが醸し出す澄み切った夜の大気は群青色
そのキャンバスに描かれているのは曲線のみ
様々な色合いの黒が作り出す交差と分岐の曲線
高々と押し迫る程せり上がり、頂点を極めた曲線は
一瞬の躊躇いも見せず一気に下降する潔さ
朝、大西洋がもたらす癒しの霧が
これから訪れるであろう灼熱の日差しに焼かれる
砂達へのせめてもの贈り物
黒のシルエットは次第に星明りの衰えと共に消え去り
浮かび上がる砂丘は
混じりっ気のない錆び色を惜しげも無く晒す
間段無く吹き寄せる風は砂の一粒一粒を運び
砂達は風に身を任して迷うことなく斜面を駆け上がり
そして下る
休むことなく続く永遠にも思える風と砂の競演は
人々が如何にその才能を発揮しようとも
描くことの出来ない稜線を描き続け
一時も同じ形を留めることなど無い
ナビブ砂漠の美しさに比べれば
わたしの言葉など死語に等しい