体温
「ナルって暖かかったんだね」
あたしがしみじみと呟くのを聞いて、ナルはため息をついた。
「なんだ、それは。僕に体温が無いとでも思っていたのか?」
心地よい低さの声で、ナルが呆れたように言う。
その物言いがとてもナルらしくて、あたしはくすくすと笑い出してしまった。
そんなあたしをナルはいつもの無表情で、見つめる。
「そーいう意味じゃないんだよ。ただ、ナルって体温低いじゃない?でもこうやってくっついてるとすごく暖かい」
そういいながら、あたしはナルの腕に擦り寄った。
こういう時に未だにどうしたらいいのかわかってないナルに対する、ちょっとしたイジワル。
しばし硬直して、ナルは溜め息をついた。
あたしはその予想どうりの反応に、また小さく笑った。
ほんとにスキンシップが苦手な奴。
「なに?どうしたの?」
「・・・なんでもない・・・」
不機嫌そうな声だったけど、それが本当は不機嫌じゃないことをあたしは知っていた。
「暖かいのって気持ちいいね。人の体温って気持ちいいから、あたしこうやってるの大好き」
そういうと、ナルは少し驚いたようにあたしを見た。
「何?ナルは気持ちよくないの?」
「・・・いや、そうじゃないんだが」
ナルの答えにあたしはにんまり笑ってみせた。
「でしょ?ナルはあんまり人の体温を肌で感じたことがないからよくわかんないかもしれないけど、特にこんなに寒い時はこうやってるとすごく気持ちがいいんだから」
そう言った瞬間、冷たい風が吹いてきた。
あたしは反射的に身体を小さくして、ナルの腕にしがみついた。
抱きついたそこだけが、暖かかった。
「う〜、でもやっぱり人間湯たんぽだけじゃ寒ーい。早く事務所にいこ」
あたしはナルの腕を引っ張りながら、歩調を速める。
あたしより歩くのが速いナルだけど、あたしが腕を掴んでいるせいか、あたしの歩調に合わせて歩いてくれた。
あたしは心地よい温かさを抱いて、木枯しが吹く中をナルと二人で歩いていった。
あとがき
短い、短すぎるぞ、紀野。
予定ではもうちょっと長くするつもりだったんですけど・・・予定は未定ってやつですね。
麻衣とナルのラブラブのつもりだったんですけど・・・どうもやっぱりムヅカシイです。
修行しなおしてきます〜。
01/01/01 written by Youko.K.