Taste So Sweet
穏やかな風が鮮やかな緑を揺らす休日の午後。
初夏の柔らかな陽射しがあふれる公園の中を、麻衣と滝川は歩いてた。
「やっぱり映画館で見ると、迫力が違うね」
麻衣が楽しそうに今見てきた映画のことを話している。
「やっぱりそうだろ?ビデオで何回も見るのもいいけど、面白い映画は大画面で見ると格別だろう」
ご満悦、といった様子で頷く滝川。
以前から見たいと思っていた映画だっただけに、麻衣は目を輝かせて喋りつづける。
麻衣がその映画を見たいといっていたから。
滝川は麻衣のバイトが休みの日に自分も休みを取ったのだった。
仲間には散々冷やかされたものだったが、こうやって麻衣が楽しそうにしているとやはり嬉しいものである。
「ぼーさん、ありがとうね〜。でもほんとに奢ってもらってよかったの?」
「俺も見たかった映画だったしな。一人よりは二人で見た方が楽しいんだから、いいって」
「定職についてないんだから無理しないでよ」
そう笑う麻衣に、言ったな、と笑顔で返す滝川。
二人の足はゆっくりと、公園の出口を目指していた。
「あ」
麻衣が素っ頓狂な声をあげたのは、公園の出口付近だった。
「どうした?」
滝川が隣に立つ少女に目をやると、彼女はほら、と前をみつめる。
「アイスクリーム屋さんだよ」
麻衣の視線の先には、パラソルを一つさしただけの小さなアイスクリームの出店があった。
「へー、もうそんな季節か」
「もう夏だもんね。ね、ぼーさん。アイスクリーム食べよーよ」
麻衣が笑いながら誘う。
もともと麻衣の誘いを断る気は無いので、滝川は頷いた。
「そうだな」
滝川がそう答えるやいなや。
麻衣が滝川の腕を引っ張って歩き出す。
「お、おい」
「ほらほら、早く」
麻衣は心底嬉しそうにアイスクリームの出店に向かう。
満面の笑顔でアイスクリームを食べる麻衣。
その笑顔に引きずり込まれるように笑うと、麻衣と視線が合った。
「ん、どうしたの?」
不思議そうに首をかしげる麻衣。
「いや、お前さんがあんまり嬉しそうに食べているもんでな」
滝川は自分用のあまり甘くないモカのアイスをかじりながらそう言う。
「だって美味しいんだもん。女の子は甘い物に目が無いものなんだよん」
おどけたように答えて、またアイスを一口口に含む。
「ぼーさん、こっちのアイス味見してみる?」
麻衣が買ったときについてきたプラスチックのスプーンでアイスをすくいながら聞いてきた。
「うん?」
「なんかね、人が食べているのって美味しそうに見えるんだよね。だから、ちょっとだけ交換しない?」
だめ?、とはにかんだように尋ねる麻衣。
滝川は小さく笑って、自分のアイスを麻衣に渡した。
「ほら。でもこっちはあんまり甘くないぞ」
「いいのいいの。どんな味かな、って思っただけだから。ハイ、これ私の」
麻衣が自分のアイスを滝川に差し出す。
ふいに滝川の中で悪戯心がわいた。
アイスを受け取らずにこう言った。
「でもどうせなら、こっちの味見の方がいいな」
そして、アイスで両手がふさがっている麻衣の顎に手をかける。
それは一瞬。
掠めるようなくちづけ。
「ぼ、ぼーさんっっっ」
一瞬遅れて真っ赤になった麻衣が口をパクパクさせる。
そんな麻衣を見て、滝川はいつもと変わらないのんきな笑顔を浮かべた。
そして、
「やっぱり甘いな」
悪びれのない声でそう言った。
「バカ・・・」
麻衣は小さくそう呟くしか出来なかった。
■ あとがき
らぶらぶ?らぶらぶ・・・?
ぼーさんX麻衣は紀野にとっての基本カップリングの一つなんですけどね。文字にするとなんとも。
紀野的にはぼーさんは、人の表も裏も知っていて恋愛経験もあるからこそ麻衣との恋に臆病、というのが理想なんですけどね・・・(かなり趣味が入ってます)。でもこのぼーさんプレイ●ーイ入ってますね(汗)。
05/10/01 written by Youko.K.