Soul Mate
あたしはとても不思議な気がした。
ナルとこうやって二人で歩くことが、なんかくすぐったかった。
二人で歩くのはもう何度目になるんだろう?
もう数えられないぐらい、一緒に歩いているというのに。
放っておくとと食事なんか全然しないナル。
だから、まどかさんにもお願いされたことなので、あたしは時々こうやってナルのご飯を作る。
最初は出来合いの物が多かったけど、料理なんてやってると上手くなるモンなんだよね。
綾子ほど手際がいいわけではないけど。
今では大抵、自分で作っている。
ナルは作ったものだったら何でも食べてくれる。
味にこだわるほど繊細じゃない、という事なんだけど。
何でも食べてくれるのが嬉しい反面、それがちょっと寂しいと思ってしまうんだから、乙女心はフクザツだ。
「何か食べたいものある?」
「何でもいい」
あたしが聞くと、ナルがそう答える。
いつものやり取り。
自分から何を食べたいなんて言わないナル。
それでもあたしはいつも聞いてしまう。
これはもう、習慣?
ううん、これは二人の間で必要なコミュニケーション。
言葉が全てじゃないけど、言葉でしか取れない心の通い合い。合図、みたいなモノ。
だからあたしはナルのその言葉を聞くと、決まって笑ってこう言う。
「じゃあ、買い物に付き合ってね」
ナルはいつも買い物に付き合ってくれる。
本当に忙しくしている時には誘わない、というのもあるんだけど。
何も言わずについてきてくれて(ホントに会話もほとんど無いから、ちょっと寂しかったりするけど)、荷物とかは持ってくれる。
さすがに紳士だなぁ、と思ったりするのはこういう時。
そっけない、自然な態度。
なまじ美形だから、そういう事をされるとものすごくどきどきしてしまう。
悔しいから、絶対に口にはしないけどね。
ご近所のスーパーという、色気のカケラもない場所でも。
デートというにはあまりにも現実的でも。
それでもこうやって二人で歩いているのが、あたしはとても好き。
それは多分、仕事中には見られない穏やかな空気をまとったナルが隣にいるから。
買い物に出かけたときは、まだ日は西に傾いただけだった。
それが今はほとんどその姿を隠している。
東の空はもう、綺麗な紺色になりかけている。
その中を二人で並んで帰っていた。
こういう時はあたしが一人で喋りつづけるか、お互いまったくの無言かのどちらかだ。
今日は、無言だった。
二人で少しずつ持った、スーパーの袋のかすかな音だけが聞こえる。
でもそれが不快な沈黙じゃない事をあたしは知っている。
この静かで優しい日常が、今のあたしにとって何よりも大切なもの。
ナルがこの日常をどう思っているかは、あたしには分らない。
でもきっと、私とそんなに変わらないと思っていいよね?
ナルがこうやって穏やかに傍に立っていてくれるだけで、あたしはこんなにも愛しい気持ちになれるのだから。
だから、二人でこのまま時を刻んでいこうね・・・。
■ あとがき
なんというか・・・(沈黙)。
恋人(?)同士の日常生活のひとコマを書きたかったんですけどね。結果は見るまでもないです(トホホ)。書きながらかゆくて仕方なかったのに、甘々とも程遠いような気がしますし。
ほりまゆみ様。これ、お題クリアしていますか??
03/20/01 written by Youko.K.