実際、バスは僕を見捨てたわけではなかった。
僕がバスから逃げ出したのだった・・・
友人と僕とその他の乗客を乗せたバスは、次の停留所で停まることになる。
それは僕がそこで降りるからで、僕自身が止まりますボタンを押したからだ。
僕の目的地への行き方は2通りあるらしく、今回乗ったバスは
いつも使っていたルートとは別のルートだったので、
自分の降りる停留所がどこなのか正確にはわからなかった。
突然、見覚えのある景色が見えて、急いでボタンを押した。
あっぶねぇ、通り過ぎるところだった、とただ思っただけで、
運転手さんに少なからず迷惑をかけたことに僕はそのとき少しも意識が回らなかっ
た。
そんな自己中心的な僕はやや急停車的に止まったバスの勢いに乗って
飛び出していった友人を見ながら、自分は停車するまで悠々と椅子に座っていた。
バスの運賃は一律170yen。
バスって小銭をその場で支払うのが面倒で苦手だ、
でも、いや、だからこそ僕は万全の心構えでバスを利用することにしている。
今日はバスに乗ると直ちに1000円札を両替しておいた。
50円玉もあるし、10円玉もある。
どんな運賃だって僕は払うことができる。
一律170円と決まっているから全く慌てることはない。
その停留所で降りる人は僕と友人だけで、
友人は急停車の勢いで即行で降りていた。
僕は普通に歩いていって、ポールスミスの財布から100円玉を取り、20円を取
り、50円玉を探した。
5秒後
あれ?ないなぁー
10秒後
困ったちゃんだなぁ、僕ちんの50円玉は・・・
20秒後
そろそろ出て来い・・・
「まず、100円と20円入れときます。」
30秒後
おい、やべぇーぞ、どこ?50円玉!
朝方の出来事だったので、乗客はこれから学校や仕事へ向かう一刻も時間を無駄には
できない状況の人たちだった。
60秒後
助けてぇぇぇぇぇ、超気まずい・・・
75秒後
もうダメだ!
「100円入れるんで!」
僕は文字通りバスを駆け下りる感じだった。
僕は50円の損をした。
どうして僕の50円玉は見つからなかったのだろうか?
推理してみてください。
thinking time
答え
もしかすると当たり前なのかもしれないが、1000円札を両替したら、500円玉
が出てこなくて、
100円玉が9枚に50円玉1枚、10円玉5枚が出てきた。
少なくとも僕の小銭入れの中には15枚以上の硬貨が入っていたわけである。
もとから入っていた小銭を合わせると、50円玉以外の硬貨の数は結構なものにな
る。
僕は初め、50円玉を持っていなかった。これは確かだ。
小銭入れという小さなスペースに入れられた膨大な数の硬貨の中から
たった1枚の硬貨を見つけることは難しい。
自分のせいで、公共の乗り物が出発できずにいるという
精神的プレッシャーも大きかっただろう。
そんなわけで、僕が50円玉を見つけられなかったことは仕方のないことだ。
バス会社が500円玉で両替しなかったのがいけないんだ。
そう思っていた。
しかし!
もっと単純な解決方法があったのである。
それは100円玉を両替すること。
それに気づいたのはそれから10時間後くらいだったが、
僕はとてもブルーだった。