『B-B』
第一、佐藤さんはサイン帳を
読んでくれているかどうかさえ解からないけど、
高橋は僕の電話を待っててくれてるんだ。
僕は高橋の家の電話番号を押した。
トゥルルルル・・・
トゥルルルル・・・
ガチャッ
もし高橋の親だったらどうしよう。
一瞬心配したが、
電話の声は高橋本人だった。
「は、はい、高橋です!
もしかして田中センパイですか!?」
こっちが一言も喋らない内に
かわいらしい声が弾んでる。
やっぱり待っててくれたんだろう。
高橋にかけて良かった。
「ああ、田中です。」
「センパイ、
御卒業おめでとうございます。
あっ!それから、
手紙読んでくれてありがとうございます。
それと、
お電話してくれて本当に、
本当にありがとうございます。」
「あ、ああ、いや、いや、そんな。」
自分なりに
決意を固めて電話したはずなのに、
余りに嬉しそうに話しかけてくれる高橋に
嬉しいやら恥ずかしいやらで、
なかなか話が切り出せない。
「それから、
え〜と、
え〜と・・・」
必死に話題を
出してくれようとする高橋。
もっと僕が
しっかりしなくてはいけない。
彼女の手紙に込められた勇気に
僕が応えなければいけない。
「高橋、今日もらった手紙・・・」
電話の向こうで高橋が
息を呑むのが分かった。
いつも明るくて活発で
ボーイッシュな高橋の、
人並み以上に女の子らしい胸の高鳴りが、
電話を通しても伝わってくるような気がした。
こんな僕の事を、
こんな僕の事を、
こんな僕の事を・・・。
考えれば考えるほど、
言葉に出せなくなってしまう。
プップッ・・・
プップッ・・・
プップッ・・・
長い沈黙を破ったのは、
僕でも高橋でもなく、
キャッチホンだった。
「セ、センパイ、
キャッチ入ってますよ。」
「お、ホントだ。
た、高橋、ちょっと待っててくれるか?
すぐ済ませるから。
絶対切らずに待っててくれよな。約束な。」
重大な告白をするのに
呼び出し音は邪魔だし、
本音を言えば
少し落ち着く時間も欲しかった。
ピッ
「もしもし、
田中さんのお宅ですか?」
電話の声を聞いて
僕の全身は硬直した。
キャッチホンは佐藤さんからだった。
「は、はい、田中です。」
この後の言葉を聞いて、
僕の頭の中身は真っ白になった。
<A>
「サイン帳見て、ずっと電話待ってたけど、待ちきれなくて電話したの。」
<B>
「今、クラスの女子で集まってるんだけど、
山田さんがね、田中君のこと好きなんだって!
今、山田さんに代わるからね。」
<C>
「助けて田中君!!エメラルド星人がぁ!」