『B-C』






オーリシャインは強力な洗剤で、
どんなに焦げ付いたフライパンでも
たちどころにピッカピッカになるという代物だ。



オーリを使えば、
僕のくすみきった心も
ピカピカになるだろう。






僕のお気に入りの通信販売番組、
『アメージングディカバリー』。


今まで本気で電話をかけようと
思った事はなかったけど、

いいきっかけだ。
今日こそは注文してみよう。




僕は電話の子機を片手に
テレビをつけた。


さあ用意は万全。





けれど、
『アメージングディスカバリー』が始まるまで、
まだまだ時間がある。



別段、
目当ての番組もないので、
適当にリモコンをいじっていると、

たまたま
別の通販番組で
チャンネルが止まった。









見たこともない番組だ。






まず司会からして冴えない。



恐らく売れないコメディアンであると
思われるその男は、
シルクハットにジャージといういでたちに、
ハリボテの天使の翼を背負い、
先端に作り物のオッパイをあしらったステッキを
振りまわしながら、

ボソボソボソボソ喋っている。



それでもよく聞いてみると

言葉の語尾に「ございまチュル」とか、
「お得でチュルよー」とか、
変なキャラ付けまでしていて気が滅入る。


さらに付け加えれば、
スタジオにセットらしいセットはほとんどなく、
司会者の背後を、
恐らくこの番組のマスコットと思われる、
病気の子猫のようなヌイグルミが
ウロウロしていて気が滅入るし、


商品の乗ったワゴンを押してくる、
明らかに四十を超えた厚化粧のバニーガールが、
画面に映っている事に気付かずに
腹をボリボリかいていて気が滅入る。


常温に丸一日放置した
サバのような目をしたサクラに気が滅入るし、


不気味なBGMに気が滅入る。




そして何より気が滅入るのは、

売っている商品の胡散臭さである。






最初に紹介された商品が、
1日1振りであなたもモテモテ
『モテモテ棒』。


2つ目の商品が、
1024ビットゲームマシン
『プレステ1024』。


そして極めつけが
『100万円相当の商品入り、1万円福袋。』



ここまで来ると
さすがにこれは通信販売番組の
パロディなのかと思ったが、



何のフォローもなく
電話番号が大写しになり、

例の男が番組を締めくくった。



「お電話、お待ちしておりまチュル〜。」






い、一体、何だったんだ今のは。



テレビを消してからも
しばらくはキツネにつままれたような心持ちで
座り込んでいた僕だったが、


10分、20分と経つ内に、
なんだか好奇心が湧いてきて、

イタズラ半分で
さっきの電話番号にかけてみた。








トゥルルルル・・・


トゥルルルル・・・


トゥルルルル・・・


ガチャ



「もしもしでチュル。
ご注文はなんでチュルか?」





出たぁ〜!


しかも司会本人が出た〜!



こうなったら、
何か注文するしかな〜い!







<A>
「そ、それじゃあ、1番の『モテモテ棒』をください。」

<B>
「そ、それじゃあ、2番の『プレステ1024』をください。」

<C>
「そ、それじゃあ、3番の『100万円相当の商品入り、1万円福袋』ください。」





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