『B』




僕は押し付けるようにサイン帳を返すと、
逃げるように教室を出た。




情けないけど
僕の緊張はもう限界で、

これ以上佐藤さんの前にいたら
倒れてしまいかねない。


そう思ったからだ。




一目散に廊下を抜け、階段を降りた。


頭の中では
小心者の自分がしでかした大それた事が、
ぐるぐるぐるぐる回っていた。



「と、とにかく
落ち着かなくちゃ、
落ち着かなくちゃ。」



下駄箱の前で深呼吸して、
ようやく落ち着きを取り戻した。





・・・のもつかの間、
僕のスニーカーの上に、
薄いピンク色の封筒が置いてある事に気付いた。



女の子特有の丸文字で
先輩へ
と記してある。



差出人は
バスケ部の後輩、

高橋からである。






そして内容は・・・








先輩のことがずっと好きでした。
もしよかったら今夜お電話して下さい。

























家に帰って数時間、

僕は自分の部屋にこもって考えた。





ベッドに仰向けになり、

サイン帳と手紙の内容を交互に思い出し、


頭を抱えた。








僕は佐藤さんが好きだ。

三年間も勇気を出せずに想い続けてきた。


でも、そんな意気地の無い僕を、
高橋はずっと好きだったと言ってくれた。







まず佐藤さんに電話をかけて、

結果次第で高橋に・・・。








そんな器用な事が出来るくらいなら、
苦労しちゃいない。


















時間は午後8時。


時計に後押しされるようにして、




僕は決心した。







<A>
大切なのは僕の3年間にケジメをつけることなんだ。佐藤さんに電話しよう。

<B>
大切なのは愛する事より愛される事なんだ。高橋に電話しよう。

<C>
大切なのは僕自身にもっと磨きをかけることなんだ。
オーリシャインを買うために、アメージングディスカバリーに電話しよう。






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