俺物語

 残暑がすぎ秋の気配をうかがわせる涼しい風が吹いてきそうな季節に長男として俺は生まれた。

 
ー 保育園 ー

 両親が共働きという理由から1歳にもならいないうちに保育園に入れられる。その保育園はのびのびとしていた。俺は比較的明るくて手先の器用な子だった。この時の将来の夢は「消防士」で、消防士の夢をよく見た。好きな女の子もいたし、保育園児らしい遊びをしたし、何も大きな問題なしで、すくすく育っていった。

 
ー 小学校 ー

 大きな期待をポケットに突っ込み、晴れて小学生になった俺は、かなりやんちゃだった。何度も先生に怒られ、悪戯をたくさんした。1,2年の時は「音楽」がキライで何度もわざと家にけん盤ハーモニカを忘れて、音楽の授業をサボっていた。この当時から小さな悪知恵が働いていたようだ。3、4年になると好きな子を意識し始めた。けれど、好きだから何かしたいとかはなく、ただ話すだけで嬉しさを感じた。5、6年はとても活発で元気な子だった。元気すぎたと言っていいかもしれない。友達とある勝負をしたことがある。それは「寒さ我慢」という名の単純な勝負。その勝負はどれだけ長い期間半袖半ズボンで学校を通えるか。今思うとくだらない勝負だが、結構キツイものがある。勝負はあっさり決まった。勝ったのは俺。しかし、勝負が決まった後でもずっと俺は半袖半ズボンで過ごした。そしてまる1年間半袖半ズボンで過ごした。ただの馬鹿だったようだ。
 小学校の時、親に大きな迷惑をかけることをした。それは「万引き」出来心でしたものだが、すでに常習犯だった。しかも、捕まったのが卒業式が終わった後だった。
 

  ー 中学校 ー

 不安だらけ。怖いところ。小学校の時の中学校のイメージだ。しかし、入ってしまえば、そんなことはなかった。先輩たちは優しい人が多かった。1年生の時は、ガキだった。担任の教師を泣かしたり、授業をサボったり、早弁したり。楽しかった。小学校とは一味違う授業の方もそれほど分からないところもなく、心地よくすごしていた。
 2年生から学校生活に大きな変化が現われた。それは「いじめ」。TVであるようなかなり酷いいじめではなかったが、当時の俺には絶えがたいことだった。何でそんなことされるのか?分からなかった。いじめられる原因は今考えても分からない。そして学校に行くのが嫌になった。そこからしばらく親にバレないように何度も学校をサボった。友達によって、また学校に行きだすようになるが、いじめは減らず、しかも長い間勉強から離れていてせいで、授業にはついていけず、勉強から遠ざかって行った。このときの俺は少しヤンちゃだった。何度も教師たちに迷惑をかけた。そしてまた「万引き」で捕まった。
 3年生になっても、いじめは続き、勉強する気はなかった。しかし、いじめには悲しいことに慣れていた。悔しかったけど、あと1年我慢すればいいと思えば絶えられた。それと、恋をした。俺の人生の中で一番の恋。相手のことが大好きだった。でも、その「好き」という気持ちが大きくなるにつれ比例して臆病さも増して行った。そして結局片思いという形で幕閉じる。3年生に一番悩みを与えるのが高校受験。しかし、俺は全く無関心といった感じだった。全く受験勉強をせず、公立で県内屈指の低レベルの高校に合格した。そして、卒業。
 

ー 高校 ー

 県内屈指の低レベルの高校だけあって集まってくる生徒はだいたい想像が付く。ビビリの俺は高校に入学して、そんな中で3年間過ごすのはかなり苦だと感じた。高校は勉強しないわけには行かなかった。赤点があるから。高校入って最初の試験は、久し振りに真剣に勉強した。するとクラスで5番目という今まで取った事のない好成績が出た。そこから一番を狙ってみたいという気持ちが涌き出て、マジメコースを走った。しかし、一番を取るのに約1年半かかった。その時の成績はかなりよかった。そして次は成績が落とすのが嫌になり、ずっといい成績を保とうとした。その結果、1番を取って以来クラスでの成績は1番が3回、その他はほとんど3番以内だった。学校のレベルが低いからそれだけの成績を残せたわけだが、俺に真剣に勉強させるいいきっかけになった。勉強がきっかけで何人かの先生と仲良くなる。そのうち2人ぐらいの先生とは友達として仲良くなっていった。男と女の先生で、女の先生とネットでメールをしていた。そこから俺のネット生活は始まる。その先生とはデートもしたことがあった。しかし男女の関係は一切ない。男の先生の方にも何度も遊びに連れて行ってもらったし、高校のときは友達といるより先生たちといる方が楽しかった。
 「やりたいことがない」と言う理由と、仲の良い先生の影響を受けて、3年の夏休み前に「就職」から「進学」へと180度進路を変更する。そして,評定平均4,7という数字のおかげではやばやと5流大学の推薦入試に合格した。

 
ー 大学 ー

  高校時代は自分に貼られたマジメというレッテルが嫌だった。勉強に対しての姿勢は確かにマジメだったが、そのほかのところではそうでなかった。しかし、自然にマジメキャラになっていった。面白いことも下ネタも、気の利いたギャグも言えない立場に自然となっていた。大学に入って俺は、そんな自分を変えようとした。最初はうまくいったが、日が経つにつれもとの高校時代の俺に戻っていた。高校時代はマジメキャラを受け入れてしまってそんな自分を変えようとしなかったが、勇気を持って少し自分か変えに努力した。最初は少し気まずいものがあったが、自然と「やる時はやる、おばかさん」というキャラを少しずつ浸透させていった…。

 そして、今の俺がいる。

 

家庭円満

 僕の名前はヒロシ。小学五年の十一歳。
 自分で言うのも変かも知れないが僕はマザコンだ。
 かぁちゃんなしじゃ生きていけないと言っていいほどかぁちゃんが好きだ。
 僕にはミキちゃんと言う彼女がいるが、かぁちゃんのほうが断然好きだ。
 
 小学校に入学してから、学校から帰ってくると必ずかぁちゃんに学校であったことを話す。
 今日もケンちゃんとケンカした話をした。
 「かぁちゃん、今日ケンカしちゃった」
 「どおりで首に引っ掻きキズがあると思ったわ」
 「ケンちゃんが僕のことをバカにするんだ。お前五年にもなってかぁちゃんと一緒に寝てんだろう?
 って。気持ちわり〜って」
 「五年生になれば一人で寝てる子のほうが多いもんね。でもヒロは何も悪くないよ。」
 かぁちゃんはいつも優しく僕の目を深く見る。
 僕は少し恥ずかしくなって目をそらした。
 かぁちゃんに話しをする嫌なことも忘れられる。僕はとても幸せだ。
 とぉちゃんはいつも家に帰ってくるのが遅い。
 かぁちゃんほどではないがとぉちゃんも好きだ。
 家に帰ってくるのは遅いけど、おみやげを買ってきてくれたり、
 休みになると遊園地やゲームセンターなどに連れて行ってくれる
 僕は両親に愛されているのだ。難しい言葉で言うなら家庭円満だ。
 
 そんな家庭で育ってきた僕にある日兄弟ができることになった。
 十一歳年下の兄弟だ。
 かぁちゃんのお腹から生まれてきた弟はとぉちゃんによってゆうたと名付けられた。
 ゆうたは可愛かった。何より弟という存在ができたことが嬉しかった。
 けど、そのかわいらしさと嬉しさは日に日に憎しみに変わって言った。
 学校から帰って来てかぁちゃんに話しをしてもゆうたばかり相手して俺はあいてにしてくれない。
 「ヒロシはもうお兄ちゃんなんだから、かぁちゃんかぁちゃんって言っていたらダメだよ。
 もう一人で何でもやらないとダメだよ」
 かぁちゃんをゆうたに取られた気がした。
 かぁちゃんはゆうたが生まれる前のようにもうかまってくれない。
 毎日毎日面白くなかった。
 いつでもかぁちゃんはゆうたゆうたって言ってる。
 しまいにはとぉちゃんまで俺の相手をしてくれなくなった。
 もう、優しいかぁちゃんはいなくなった。
 僕の幸せはゆうたに取られた。
 いつのまにかかぁちゃんは僕に厳しくものをいうようになった。
 何度も「ゆうたなんか生まれてこなかったらよかったんだ」って思った。
 ゆうたが憎かった。
 そして僕はゆうたがいなくなる方法を考えた。
 かぁちゃんのスキをみてどこかに捨てようかとか、どうにかして殺してしまおうかとか…。
 たくさん考えたが、結局そこまでするに至らなかった。
 しかし、日に日にストレスは溜まって行く一方。
 もう昔のかぁちゃんは戻ってこない。
 全てはゆうたのせいだ。
 ゆうたさえいなければ…と何度も思っていくうちに、ついにゆうた殺害を考えた。
 
 かぁちゃんが風呂に入ってる間にこっそりとかぁちゃんの下着に毒を塗った。
 その毒の付いた下着を着たかぁちゃんの母乳をゆうたが飲めば、ゆうたが死ぬという寸法だ。
 ゆうたはよく夜中に泣き出しすとかぁちゃんは、
 母乳を与えて慰めることを良く知っていたためすぐに効果があるはずだ。
 そして、ゆうたが生まれてから自分の部屋で寝るようになった僕は、
 自分の部屋でゆうたが泣き出すのを待った。
 しかし、中々泣き出さない。そしてじっと我慢し待ちつづけた…。
 ふっと気づくと朝が訪れていた。
 気づかぬうちに寝てしまったのは不覚だったが、ゆうたさえ死んでしまえばOKなのだ。
 ゆうたが死んでいるかを確かめにかぁちゃんの部屋へ行った。
 かぁちゃんが泣き崩れている。
 
 僕の作戦は成功したと思った。
 しかし全て失敗だとすぐに気づいた。
 倒れていたのは何と、とぉちゃんだったのだ。
 

 

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