恋をすることの痛みや苦みを知っているあなたに、
読んでみてほしい本があります。





嵐を好きになってから私は、恋というものを桜や花火のようだと思わなくなった。
たとえるならそれは海の底だ。
白い砂地の潮の流れに揺られて、すわったまま私は澄んだ水に透けるはるかな空の青に見とれている。 そこでは何もかもが、悲しいくらい、等しい。



人を好きになることは本当にかなしい。かなしさのあまり、その他のいろんな悲しいことまで 知ってしまう。果てがない。嵐がいても淋しい、いなくてももっと淋しい。いつか別の恋を するかもしれないことも、ごはんを食べるのも、散歩するのもみんなかなしい。これを全部"嬉しい"に置きかえられることも、ものすごい。


吉本ばなな『うたかた』




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