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…雨。…雨の、音が聴こえる。
乃雫(のずく)は夢現のまま、意識を音へと傾ける。
サァサァサァ…。

霧雨のような、綺麗な音が。

嗚呼、このまま…。
目が…、覚めなければ良いのに…。


綺麗な霧雨の音が鼓膜に響き、雨の臭いが鼻を掠める。
それは今の乃雫にはとても甘い香りに感じれられて…。

このまま…、このままずっと…。


………。


つと、目を開けると目の前に顔があった。
今まで見ていた馨しい夢から抜けきらぬ頭で、乃雫はじっとその顔を見る。
頭がふわふわしていて、目も少し霞んでよく見えないが、男のようだった。
目の前の男の顔は、見つめる乃雫を見てふわりと微笑んだような気がした。
霞がかっていた頭と目が段々と現実世界に慣れ、はっきりと目の前の顔を乃雫の網膜に映し、そして脳に伝達する。
そして、目の前に居る…つまりは、ベッドで寝ている自分と同じベッドに隣に寄り添う形になっている…男が、誰かと言う事を認識する。

「和九ッ、またお前か――――――――――ッッッッッッッッ!!!!」

ドガボガゲシゴスドゴスッ!!!

「あがっイテッ!痛てぇって乃雫!何で何でさっきまであんなに幸せ心地夢心地だったのにッ!酷ぇッ!」
「アホかーッ!人が折角いい気分で寝てたっつぅのにお前の面見たせいで折角の目覚めのいい朝が台無しだドアホーッ!あれだけ俺の布団に入ってくんなっつっただろがアアッ!?」