| 月替りの「お題」からメンバーが 自由な連想でエッセーをつづります。 ものの見方・感じ方に、 それぞれの経験や個性があらわれます。 ひとつのテーマがどう花ひらくか? クリックしてみてください。 |
| 今月のお題:「こんなモノ要らない」 |
| 藤木 俊明 | 「3つの『要らない』と黒い影」 | |
| 床井 順子 | 「資産、いらな〜い!」 | |
| 隅 恵子 | 「“いらない”って言えない事情」 | |
| 中保 裕子 | 「もぎたてのシンプルライフ」 | |
| 大岩 由利 | 「いらないモノを意識する生活」 | |
| 坂下 泰子 | 「“余裕”は“余分”」 | |
| 小梨 由美 | 「リサイクル屋の女房」 | |
| 須藤 智香 | 「独裁者の夢、あるいは紫煙への私怨」 |
| 3つの「要らない」と黒い影-----藤木 俊明 |
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私にとって「要らない」と糾弾したいものが3つ。それは『(1)首都高上り用賀料金所』と『(2)ETC』そして『(3)保通協』。 |
| つい最近、歯が1本、ポロリと抜け落ちた。あわてて歯医者に駆け込んだ。 先生「あ〜、この歯は天寿を全うしましたね」。それで、治療法です。ここで、先生とディスカッションとなった。 つまり、出し入れ自由の普通預金式にするか、前後3本と一体化して固定の長期定期預金式にするか、という問題だ。これは大問題だ。 私 「ぜひ、定期預金式に」 先生「出し入れ自由式のほうが長もちします」 私 「長期固定のほうが運用面では面倒がないんですが・・・」 先生「不可能ではありませんが、前後が力負けして短期になりそうです」 私 「では、出し入れ自由式でも力負けしませんか?」 先生「そこです! 新企画で力負けしないスプリング式という手があります」 私 「はあ〜 でも、意識不明で、どこかで放り出すこともあるかも・・・」 先生「そういうことは、まず、ないでしょう!」 私 「あったんです!」 先生「? ? ?」 じつは、既に1本だけの普通預金式ブツを運用していたのだ。 ところが、だ。ある、したたかに呑んだ翌朝、目覚めると、ブツがない。洗面所を始め、家中どこを探しても、ない! 恥を忍んで、前夜ともに痛飲した友人に電話した。 どうやら、お洒落なバーのカウンターで取り出した・・・などという失態はなさそうだ。 では、どこで?つらつら思い出してみるに、どうも朦朧としながら「こんなモノ、いらな〜い!」と叫んだような気がする。そうだ、タクシーだ。 で、レシートをたよりに電話した。 電話の向こうの人が吹き出しそうな気配充満の中「ハ〜イ、届いてますよ〜」。 という、恥の多い我が人生の中でも最大の恥かき話となったのである。 そういう訳で固定式にこだわったのだった。しかし、先生の強いお薦めで結局、スプリング普通預金式となった。そういえば信託銀行に金利が相場に合わせて動く「スプリング」という商品があったっけ・・・ カラダは資本。私の場合、カラダの部品は資産なのである。 |
| “いらない”って言えない事情-----隅 恵子 |
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戦後すぐに結核で夫に先立たれた私の祖母は、働きながら3人の子供を育てた。そんな祖母が倒れたのは昨年の6月。以来ずっと、地元の病院に入院している。意識はあるけれど、見舞う家族がわからない。言葉も出ず、右半身には強い麻痺が残った。おむつをつけ、ほぼ全面介護となった祖母の入院生活に付き添った母や叔母たちから聞かされたのは、病院スタッフに対する不満だった。 |
| もぎたてのシンプルライフ-----中保 裕子 |
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だいたい、ひとの管理すらできないから、ひとりで仕事をしている。家のなかのモノなんて管理できるわけがないとは思ってはいたものの、最近はどんどん記憶力がにぶって、新しいモノだけが着実に増殖している。 |
| いらないモノを意識する生活-----大岩 由利 |
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今回の題をみたときに何年か前に見た写真集のことが頭に浮かんだ。確か国連が協力して作られた写真集だったと思う。いろいろな国の標準的な家族が、家の前に持ち物を全て並べ写している写真だった。 |
| “余裕”は“余分”!?----- 坂下 泰子 |
| やっと一段落しました。読みたい本を抱え、のんびり、なんにもしない旅に出かけたい、と思うけど、絶対に無理。 湯船に浸かっている数分間を持て余す私は、何もしない旅も、15分と演じられずに、地図を開いて歩き出してしまう。 余裕、余剰、余暇、余白、余韻・・どれも魅力的だけど、どれも持て余してます。ついでに余興も苦手で、余生も欲しくない。余勢をかってもうひとふんばりならまかせてください。 「余裕」を使いこなせる落ち着きを身につけたいとは思いますが、今の私には「余裕」は「余分」でしかないようです。 せめて、「余裕」があるふりをして、水面下で足をバタバタ動かしていたいと思っています。 そして「800字」も、こんなに持て余してしまいました。 |
| リサイクル屋の女房----- 小梨 由美 |
| 夫の友人が五本木でメンズブランド品専門のリサイクルショップをやっている。名は「TORIZ」。 夫はブランド品などほとんど持っていないが、店のオープン当初、少しでもにぎやかしになればと家中を探してそれらしきものを数点持ち込んだ。 どれももう何年も使っておらず、いつか捨てるつもりのものだったので、新しいお店への協力と称して“処分”できるのはありがたかった。 しばらくたって、2人で「TORIZ」に行ってみた。 実はこの店のオーナーはこれまでもリサイクルショップをやっていた。 「遊びをリサイクルする」と銘打ち、レジャー、スポーツ用品を専門に扱う店だった。 どこの家にもはりきって始めたが長続きしなかった遊びの道具、毎年ニューモデルを追いかけたいシーズンスポーツ用品のひとつやふたつはありそうだからコンセプトは悪くなかったと思うが、立地の問題もあってか店の調子は今ひとつ。 苦し紛れにレジャーに関係ない品も増えて、ごく普通のリサイクル店になってしまった。 そこで心機一転、この場所に店を移し、コンセプトも新しく考え直したのだ。 それと前後してオーナーが結婚を決め、店は2人がかりでのスタートとなった。 新しい店は、一見して「掘り出し物がありそう」と期待が持てる雰囲気に仕上がっていた。 扱い品を厳しく限定したのが功を奏していたが、そればかりでもない。 インテリアの一部にうまく溶け込んだ感じのよい大物ディスプレイ、ひとつひとつナイロンの袋に入れられ整然と並べられた小物類、商品に添えられた「希少価値」「話題の○○」などの手書きのPOP。そのどれもが商品を「ちょっと欲しいな」と思わせるのに役立っていた。 考えてみればリサイクル店にあるのはどれも、誰かがいらなくなったものばかり。それをただ並べただけではいらないものの山でしかなく、買いたいと思わせるためにはそれなりの工夫が必要ということなのだろう。 確かに前の店にそういう工夫は少なかったかも知れず、今度の店づくりにチャーミングな奥さんの力が発揮されたのは間違いなかった。 「チカちゃんは商売のセンスがあるよね」と夫に話しかけようと振り返った途端、夫が大きな声で私に言った。 「ねえ、このマフラー買っていいかなぁ」。 夫が手にしていたのはちょっと前に自分が出したものだった。 リサイクル屋の女房の技に、夫はまんまとはまっていた。 |
| 独裁者の夢、あるいは紫煙への私怨----- 須藤 智香 |
| ある朝目覚めると、私は独裁者になっていた。 そこでひとこと「この国、いや地球上から煙草を抹殺してしまえ!!」。 すると賢明な側近いわく「おそれながら、それでは閣下が抹殺されます」。 それもそうだと気を取り直して、ホワイトハウスへのホットラインに手を伸ばす。「我が国の喫煙者をすべて貴国に移住させたい」。 ご存じの通り、喫煙をめぐる訴訟で多額の賠償金や和解金を背負っているアメリカの煙草会社は、日本での売上金を賠償金の支払いにあてている。 それならアメリカに日本の喫煙者を送り込んだほうが早い。 しかも、喫煙者はガンになったら煙草会社から賠償金をもらえるのだから、日本にいるより幸福に違いない。 だが賢明な側近いわく「おそれながら、関係各方面からの報復措置が懸念されます」。 うーむ、ここは独裁者として君臨することをあせるよりも、「政策」で民主的な為政者を気取るのが得策か。 というわけで、私はまず煙草製造・輸入・販売業者に命令する。 「煙草のパッケージに喫煙の危険性を明記せよ。『喫煙者は非喫煙者に比べ、咽頭ガン32.5倍、肺ガン4.5倍、虚血性心疾患(心筋梗塞など)1.7倍の死亡率(男性の場合)』というように」。(1) 次にあらゆる交通機関や公的な場所(行政機関、公道、公園、病院、ホテル、劇場、飲食店など)での全面禁煙。 もちろん、子供や高齢者にとってきわめて危険な歩き煙草は厳重に取り締まる。逮捕し、罰金ではなく禁固刑に。(2) もちろん煙草の税率は2000%くらいに引き上げる。自動販売機は屋内外を問わず全面撤去し、煙草の購入にはIDカードの提示を義務づける。 これにより個人別の購入数量を正確に把握できるので、社会保険制度を見直し、喫煙者の健康保険料の大幅引き上げを断行する。ただし、禁煙が確認されれば段階的に保険料の引き下げを認める。(3) さらに、喫煙者であることを理由に免許・資格を剥奪する。 優先順位は医療関係者、教育関係者、福祉関係者だ。理由は言うまでもあるまい。他にも、喫煙のリスクを学校教育で徹底的に教える、煙草生産農家が無農薬の野菜生産農家に転じた場合には大幅な補助金を出すなど、実現させたいことは多々ある。 幸い生まれて一度も煙草を口にしたことがない私は、抵抗勢力に屈しないだけの強靱な体力と精神力を備えている。 あとは受動喫煙で破壊された脳細胞が、抵抗勢力の煙に巻かれないよう気をつけるだけである。 いや、こんなことを夢想すること自体、すでに受動喫煙で脳細胞が破壊されている証拠かもしれない。 他人の吸う煙草の煙で頭痛、吐き気、喉の痛みをしばしば経験しているのだから、体のあちこちに悪影響が出ているに違いない。 というわけで、煙草は絶対にいらない。 (1)JTが北米で販売しているマイルドセブンには「喫煙はガンの原因になる」と書いてあるそう。私は海外でも煙草のパッケージすら手にとったことがないので、知らないけど。 (2)数年前に船橋で「少女が歩き煙草であわや失明?!」という事故があった。衣服を焦がされたという人もいる。 国会議員の間でも超党派の「禁煙推進議員連盟」があり、軽犯罪法改正案を提出して「歩き煙草に1万円以下の罰金を科す」とか言っていたが、甘すぎると思うよ。 (3)喫煙により喫煙者本人にかかる余分な医療費は99年度で年間1兆円を越えるという試算が発表されている。これを非喫煙者が負担するのは、どう考えても納得できない。 だって、禁煙すれば避けられるリスクでしょ。 |