これ読みました


くららの読書メモです。


ico 〜霧の城〜 宮部みゆき  講談社 図書館で借りた 2005年7月3 1日(ぐらい)
 プレイステーション用だったか、ゲームソフトのノベライズ作品。宮部氏は知る人 ぞ知るゲーマー(大沢オフィス公式はサイト「週間大極宮」で知った・・・)。このゲー ムも体験版だかをやった後に、ノベライズを申し出たとか。私はゲーム「ico」はや ったことがない。この小説を読み終わった後に、ネットでゲームに関しての情報を 仕入れてみた。ら、世界観が予め小説で理解できていたので、景色を堪能するこ とができた。アクションゲームだったので、あの城の中で延々と迷うのはいやだな ぁと思ったりはした。 宮部作品で、現代物、近未来ファンタジー、現代ファンタジ ー物(クロスファイアとか龍は眠るみたいな)、時代劇、エッセイ、ファンタジーのラ ンキングをつけると、私の中ではファンタジーはおそらく最下位。もちろん文体とか 登場人物は魅力的だし物語も面白いのだが。以前、「ブレイブストーリー」を買って 読んだあとは、本を古本屋にもってった・・・。アレは少年誌で漫画化されてるらし い。キ・キーマどんな顔してるんだろう(余談過ぎ)。
 icoは、とあるお城に生贄にされるために生まれた少年と、その城に済む、囚わ れの身の女の子の脱出劇。生贄の主人公イコは13歳の男の子。頭に角が生えた 子は、霧の城のニエとして育てられる。そのニエが生贄にささげられないと、大き な災いが国(というか周辺諸国か)にもたらされるというので。イコは素直に育って ニエになっちゃうのだが。うーん。城の唯一の住人ヨルダと、その回想シーンに出 てくる騎士オズマ。後はヨルダのお母ちゃん(女王だって)とイコの生まれ育った村 の人が登場人物。かっこよかったのはオズマか・・・。たいていのことに動じないよ うな、それからあの落ち着いた口調が。イメージは、ラッセル・クロウ演ずる「グラ ディエーター」の、マキシマスみたいな。あんな感じ。城の中の描写は細やかで、走 り回っているイコたちを見ているだけで目が回った。ゲームの画面や、予告ムービ ーなどを見たら、「うわぁ」と感激したなぁ。城が再現されていたので。キャラクター はポリゴンがカクカクしていた(?)のでビジュアルが今ひとつ確認できず。
 この物語の最後が、私にとっては「は?この後どうなったの」だったので、それが 残念だ。その後どうなったの?まるで、指輪物語の最後の最後でフロドが船に乗 ってどっかいっちゃったシーンを見たときの気分。一緒に借りてきて先に読んだ 「誰か」の方が面白かった。ゲーム好きの人にはいいのかも。あ、蛇足だがヨルダ のお母ちゃんのイメージは、アンジェリカ・ヒューストン(アダムス・ファミリーのお母 さん)。それではあまりにもホラーか。うーん。
誰か 宮部みゆき 実業之日本社 図書館で借りた  2005.7.29終了
 タイトルの「誰か」というのが、内容とイマイチ結びつかなかったような気のする作 品。誰かとは、やはり轢き逃げ事件の犯人と、誘拐事件の犯人のことだろうか。
 冒頭は、事故現場に佇むサラリーマンの姿。大会社の会長の、お抱え運転手の 事故死の解明と、そのお抱え運転手の娘たちの「父の歴史」を本にしたいという要 望に応えつつ、ひき逃げ事件を解明していくというもの。主人公は、会長の令嬢 (内縁の妻の娘だけど認知済みで溺愛している)の婿さん。大会社の中の、出版 部だったか、社内報を編集する部署の所属だった。「会長令嬢の婿」という看板を 背負って生きてるけど、普通の、どこにでも居そうなサラリーマン。義理の父を尊 敬しつつ、義父として尊敬しつつ接しているところはリアルで面白かった。物語の 終盤で、「紅茶の砂糖は2杯までにして、長生きして下さい」と心の中で呟いている ところが、印象に残った。このサラリーマンの病弱で美人に嫁さんが、どっかで見 たことあるなぁと思っていたら、思い当たったのはS・キングの「骨の袋」の、主人 公の嫁さん。物静かで知的で、旦那さんの行動に的確な批評をし、愛情深い。一 人娘も4歳ということもあってリアルで可愛かった(性格良すぎるなとも思ったが)。 宮部作品の現実物は読み応えがあり、ほぼノンストップで読んだ。この本は200 4年の作品。先日、平日に図書館に寄ったら運良く見つけて即座に借りた。堪能し た。義父と主人公の会話が興味深い。絡まってくる事件も、その人間関係も。主 人公のイメージは上川隆也。会長は二谷英明。嫁さんは・・・うーん、線の細い女 優さんということはわかるのだが。後、お抱え運転手とその娘2人、その妹の方の 彼氏、主人公の勤め先の上司など、色々と想像して読めた。ドラマにならないかな ぁ。あ、「模倣犯」みたいな映画化は結構デス。
ダーク・ハーフ スティーブン・キング 文芸春秋 図書館で借りた2005.3.5終
久し振りに読んだキング作品。主人公がまたそこそこ売れっ子の作家。双子の赤 ちゃんと奥さん、保安官と、主人公の暗黒の半身が登場人物。赤ちゃんの仕草の 可愛さが、またリアルでいい。売れっ子作家の頭の中身が、興味深くて恐ろしく、 面白かった。小説を書く人の頭(=作者キング自身のことだと思うんだけど)が、ど うやって文章を作っているのかということを、またまた覗けて面白かった。小説を 書くための小道具(タイプか鉛筆か)などもリアルだ。今回の小説で、霊界からの 使者として雀が大量に出てくる。アメリカでは(ネイティブアメリカンの間ではだった か)雀は霊界から使者を導くものの象徴とされているらしい。だからって、あのエン ディングは少し「ハ?」と思ったのだけと。主人公サディアスと、ジョージ・スタークが 雁首揃えて執筆をしたあの短いシーンドキドキした。鳩笛というかあの笛を吹くま でに。それから私がヒッと息を飲んだのは、雀が大量に集まってくるシーン。怖 ェ!と思わず声に出そうになった(会社の昼休みやっちゅうねん)。それから、何 の罪も犯してないのに、いきなり玄関口に警察官がやってきて、ミランダ警告を読 み上げたシーンも「アメリカだ。アメリカ映画(小説だよ)」と、カッコイイなーと思っ た。ミランダ警告とは、「あなたには黙秘する権利が云々」のアレ。売れっ子作家 のもう1個のペンネームが暴走するという作品。スティーブン・キング自身、リチャ ード・バックマンという別の名前があるらしいのだが、アレが暴走したら怖いだろう ね。そこからアイデア引っ張ったのかな。面白い作品だった。ドキドキして楽しめ た。
フロスト日和 R・D・ウィングフィールド 創元推理文庫 人に借りた 2004. 12.21終了
「フロスト日和」を読破した。文庫なのに、価格は1000円強で、手にずっしりを重か った。しかし内容は軽妙な部分が多く、ストーリーに引き込まれて、あっという間に 読めた気がする。続きが気になるのだ。 フロストの今回の相棒は、他署で上司 を殴って降格処分を受けて、飛ばされてきたという若い刑事。文中、ずっと眉間に シワがよっているように見えた。口調は丁寧だが、態度がひねくれていて、自制す るけど喧嘩っぱやくて、しかしスマートな印象を受けた。こういう手合いに私は弱い のかもしれない。自分より目上の相手に対して、敬語とタメ口の割合が7:3(ほん まか)ぐらいの割合が好きなので、そのツボは確かに突かれた。文中、フロストに 対しては常に敬語だが、悪態を付くときは別だった。マーティン・ウェブスター刑事 というのが彼の名だが、髭面の彼のイメージは、ベッカム。イギリス人で、髭面の 若い人、という文章表現から構築された、安直なイメージ。もっともウェブスターの 髭は、文中度々フロストに「坊や、お髭を三つ編みにするんじゃない」と冷やかされ ているので、ちょっと長めなんだろうけど。まさか、「指輪物語」のドワーフみたいな ことはないだろう・・・。
 今回の物語の中心となる事件は、連続婦女暴行。絡まってくるのが富豪の娘の 失踪、金貨強盗、ひき逃げ、警官殺し、浮浪者殺人。最後には全部解決するけ ど、後味がよくない。面白くないというのではなく、犯人たちについての後味が空し く切ないというか。物語中、「ソブリン金貨」というイギリスに実在する金貨が出てく るのだが、これを見てピンと来たのが、ハリー・ポッターシリーズに出てくる「ガリオ ン金貨」類。シックル、クヌートなど銀や銅のもあったはず。
 それから、相変わらず寒そうだし、食べ物はまずそうだった。紅茶もコーヒーも、 ミニボトルの酒も。フロストの言動は今回もいちいち面白かったし、含蓄があった し、ウェブスターは私的にツボだったので、結果良し。最後影薄かったけどな、途 中たくさんでてきたので良し。
トマシーナ ポール・ギャリコ 東京創元社 人に借りた 2004.12.1終了
 タイトルは、猫の名前。人名「トーマス」の、女性形の名前らしい。可愛い名前だ と思った。舞台はイギリス。登場人物は、自己中心で横暴だが娘には優しかった 獣医、その娘、その飼い猫、町外れに住む魔女と言われる女性、獣医の親友の 牧師。猫のトマシーナの視点で書かれた部分が、ちょっと受け付けなかったし、神 様の方の猫「わらわはセクメト・なんとか」とかいう神様のところは自分的にNGだ った。でも猫が好きな人なら読んでも楽しいと思う。猫って高飛車で自由で気まま だ。獣医が、娘の可愛がってる猫を安楽死(クロロホルムとあった)させてから、娘 が死に至るほどの落ち込み方で、そこから回復するまでの物語。魔女ローリがと ても可愛い女性に感じた。獣医は、巨漢で知的な暴君だけど娘には甘いところが あって、娘に無視され続けるときの心境がひしひしと伝わってきて、猫がどうなる かより親子関係が修復できるかどうかが気になって読んだ。「母親なら胸まで届く ものが、父親では膝下に足りぬ」だったか、そういうどこか他所の国の格言を思い 出した。母性のすばらしさ、というか。父性が劣っているとはまったく思わないのだ が。あと、牧師と獣医の宗教問答は、異教徒の私は傍観するのみだった。ローリ の純粋さは、読む価値あり。



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