We are living in Hospital.
プロローグ
髪を長くしていて、その髪は2つに分けられて、下までキッチリ、キッチリ編まれている。
腰まで届きそうだ。
大人になる前の手足が伸びきった感じで、きっと驚くほど細くて軽いと思う。
女になってしまったら、ダイエットしても創れない身体。
その女の子はいつも坂の途中にいて、朝、自転車で通り過ぎる私を見ていた。
いつもいつも。
目印にしていた。
その娘が視界に止まると、ブレーキをかける。
坂の下は交差点で危ないのだ。
いつもギリギリに家をでてゆっくり行くほどの時間はない。
その娘の存在感のおかげで注意していなくても目に止まるのだ。
わたしは、見つけて、ニコっと笑いかけると同時にブレーキを踏む。
再生された視記憶の画像はいつも微動だにしない身体と顔。
でも、私は同時どこかでにっこりと微笑んだ感覚も感じとる。
その感覚の差が心に留まってどうにも印象的で、私は彼女のことをもっと知りたくなるのだ。
だけど帰りは彼女はいない。
帰りの上り坂は急で息が切れて彼女のことを思い出だすいとまはない。
だけど、その日の朝、とんでもないことが起こってしまった。
動いたのだ、彼女が・・・。
なんとわたしの自転車の前に飛び出しそこで止まったのだ。
まるでわたしを止めるのが目的のように。
なんといってもブレーキはもう効き始めているのでこれ以上の減速は無理である。
あとはハンドルを切るしかないのだ。
どこへ、右はガードレール、左はコンクリート製の塀なのだ
えい、このまま真中に立っている彼女の脇を通り過ぎるしかないと思った矢先
彼女はそのだらんとしていた両手を水平に上げたのだ。
「あぶない!」 叫んで彼女の腕をかいくぐってのはよいが、それに気を取られて
ハンドル操作までに気が回らなかった。無意識の左に傾いたハンドルはそのままバランスを失って
門柱にぶつかり反動で自転車を飛び出し庭の石畳の道に投げだされてしまった。
とっさに手を出したおかげで直撃は免れたものの勢いあまって頭をぶつけてしまい
そしてそのまま私は気を失った。