| 夢見る頃を過ぎても・・・3 | |||||
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1988年4月 4月になると、上京を前にさすがにドタバタとしてきた。 生活用品の買出し、役所関係の手続きetc. 気忙しい毎日が、僕の気持ちを日常へと引き戻してくれた。 そして、いよいよ明日は上京という日。 殆んどの友人達との別れは既に済ませ、僕はまったりしていた。 出発の日は、僅かな親しい友人にしか告げてなかった。 なんか、声を掛けて見送りが無いのも、 微妙に寂しいなんて思っちゃったんだ。 なので明日は、一人寂しい旅立ちとなる予定だった。 さすがに彼女には告げていたのだけれど、運悪く、明日から彼女は新学期。 到底見送りには来れないし、来られても泣きそうだったので、少しホッとしていた。 リーンリーン そんな時、彼女から電話がかかってきた。 『今日の電話の後は、しばらく電話できないかも』 なんて事を思いながら、僕はにやけ顔を引き締めた振りで電話に出た。 なにせ我が家の電話は居間に置いてあるから、家族から丸見えなのである。 「はい、高城です」 「もしもし、涼子です。あのね、明日・・・ 見送りね・・・ タクと一緒に行くから・・・・」 唐突に切り出す涼子。 『おいおい』と言う気持ちと 『本気ですか!』という気持ちの複雑な状態で 「だってさ・・・お前、明日から新学期だろ。 試験もあるんじゃ無いの?サボるのは拙いって」 なんて、心にも無い台詞で切り返してみる。 「いいの、行くの!だってさ、タクと一緒に居れるの、 もしかして最後かもしれないんだよ。」 「そんな事無いって・・・東京行ってもさ、 俺、お前の事好きなのは変わんないから・・・」 悲壮な雰囲気が漂う。涼子にしてみれば、 付き合って間も無い彼氏が東京に行っちゃうという、 悲劇のヒロイン張りのシチュエーション。仕方ないと言えば仕方ないんだけど、 そもそも付き合う前から分かっていたんだから・・・ とは言え、惚れた弱みで、我が侭もまあしょうがないって感じだった。 なんとか、なだめすかしながら電話を切り、 結局、次の日に駅で待ち合わをせして、二人で新幹線ホームに向かうことにした。 |
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