お勧め作家とその小説

読書は現実逃避しつつも、自分を見つめなおす時間を作ってくれるもの。
いい本をいっぱい読んで、肥やしにして、いい恋愛、いい人生を描いてみる。
これ、かなり乙なもの。
「夏休み」
著者:中村 航
 
<内容・書評>

1969年11月23日生
月島在住
第39回(02年)文藝賞にて処女作「リレキショ」が受賞。彗星のごとく現れる。2作目となる「夏休み」では、芥川候補となる。
期待の新人作家。
離婚するときは一緒にしよう…。僕と吉田くん夫妻は、妻同士の絆で繋がる2つのカップル。永遠と一瞬が交錯する不思議な夏。吉田くんの家出をきっかけに始まった僕らの旅の行方は?

淡々と一人称で語られんながら、
さわやかな読後感で、読者を素直な気持ちにしてくれる。
でも、ちゃーんと、人とのつながり方や愛し方を示唆してくれるのだ。
特に、4人がゲームで対戦する際の描写、効果音(グワワワワ〜みたいな)が、いいスピード感と緊迫感をもって描かれてるのが◎。
作風としては、保坂和志(文藝賞選考委員)のほか、芥川賞受賞者で人気のある吉田修一や長嶋有などに似ている。
 
「僕のなかの壊れていな い部分」
著者:白石 一文
 

<内容・書評>
1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、出版社に勤務。雑誌編集者のかたわら、2000年1月、『一瞬の光』で小説家デビューし、新聞・雑誌の書評で絶賛される。他の著書に短編集『不自由な心』、長編『すぐそばの彼方』。なんと、父ちゃん・一郎氏は直木賞作家(受賞作=『海狼伝』)、双子の弟(文郎)も作家というすごい家系なんだな。 松原直人は、出版社勤務の多忙を極める30歳。
過去のトラウマから驚異的な記憶力を持つ。才色兼備の枝里子という恋人がいながら、人妻、離婚歴ある子持ちの女性と関係。さらに家庭教師の元生徒だった少女と、たまに泊まりに来る青年との疑似家族。。。

楽に人生を生きられない人が、何とか世界で生きている物語。愛・生と死を突き詰めて考えずにいられない彼の内面を事細かに描きながら、「何が一番大切なのか」をずんずんと問いかけている。
とにかく、読後に「すごい」という一言と、放心状態をもたらす内容の濃さに圧倒される。
必読!
 
「パレード」
吉田 修一
 
<内容・書評>
  68年、長崎市生まれ。法政大卒。97年、青春小説「最後の息子」で文学界新人賞をとりデビューし、芥川賞候補に。その後、「破片」「突風」「熱帯魚」と候補になる。長編「パレード」で山本周五郎賞、「パーク・ライフ」で芥川賞を受賞。
  先の見えない5人の若者の微妙な2LDK共同生活。親友でも他人でもない5人のそれぞれの視点から描かれる。5人はそれぞれに内なる悪をひめており、物語中のそれぞれの視点から、それを汲み取れる。5人の思惑が交錯するさまがどきどきして、でも親近感がある。

とにかく感情描写がうまい。それを見せる方法も良く知っている人。
人間感情の汚い部分と綺麗な部分が見え隠れしながら、淡々と日常を過ごす若者たちに、あなたも共感を覚えるかも!?