弐千壱年ユーヱスヂエイの旅
某所の電網掲示板に、半ば冗談でユーヱスヂエイ(*1)に行きませうと書いたら、Mさん夫妻とKさんのおかげで本當に行けることになつた。
六時起床。夜中、降り續いた雨(*2)が嘘のやうにあがつてゐた。これも日頃の信心のおかげ(*3)と神に感謝する。
七時に家を出る。近鉄で亰都驛まで行きヂエイアヽル(*4)に乘り換へた。これで大阪驛まで行くのだが、ヂエイアヽルに乘ることは滅多にないので、新快速のホオムを間違へる。電車内は通勤のサラリヰマンで滿員であつた。ぎうぎうと押し付けられ大層不愉快であつたが、今日だけのことと思へば我慢できた。
八時半、大阪驛でMさん夫妻、Kさんと合流する。
ユニバアサルスタヂオ驛に行く電車は比較的空いてゐた。驛を出ると直にユニバアサルスタヂオジヤパンである。ハアドロツクカフヱ(*5)やマクドナルドが立ち竝ぶ中を歩いていくと入口が見へた。すでにクリスマス模樣になつており、巨大なリヰスがかけられてゐる。日曜日ともなると、ここに長蛇の列ができるのだとMさんの旦那さんが可笑しさうに言つた。平日だといふのに、中にはすでにたくさんの人が歩いてゐた。
壱番奧にあるジユラシツク・パアク・ザ・ライド(*6)で豫約券(*7)をもらふと、ジヤウズ(*8)に向かふ。これらのアトラクシヨンでは、水を被つてびしよ濡れになるとMさん逹に忠告され、レエンコオトを購入する。弐百圓也。透明のビニヰル製で、ちやんとフードがついてゐる。以前はごみ袋のやうな代物(*9)だつたさうだ。Kさんがそれを見て「これなら立派におみやげになるネ」と冗談をおつしやつた。
ジヤウズでは暫く竝んで待たなければならなかつたが、わづかのことであつた。このアトラクシヨンは、アミテイの海を巡る周遊ボートに乘つて觀光してゐると巨大な鮫に襲われるといふ趣向らしい。同行の人々の粹な計らひのおかげで壱番端の席(*10)に座ることができ、樂しい思ひができた。
續いてはバツク・ツ・ザ・フウチヤ・ザ・ライド(*11)である。これは普通のジエツトコオスタアなどとは違ひ、巨大なスクリヰンに映される映像に合はせて我々の乘り込んだ匡體が前後左右に搖れる仕組みになつてゐる。實際に動いてゐるやうな錯覺を覺へるのだから大したものだ。ここでジユラシツク・パアク・ザ・ライドの豫約の時間になつたのでそちらに向かふ。人氣のアトラクシヨンだけあつて、待つてゐる人も多かつた(*12)が、運良く最前列に座ることができた。このアトラクシヨンでは、チラノサウルス(*13)に驚かされた次の瞬間、約参拾米の高さから落下するのである。落下の瞬間、胃がフワリと持ち上がるやうな氣持ち惡さがあつたが、あれが病み付きになる人々もゐるのであらう。後から聞いたところによると、Mさんの奥さんはああいつた乘り物が苦手ださうだ。
セルフサアビスの中華料理屋(*14)で晝食を取つた後、アニマル・アクタアズ・ステヱジ(*15)を見物する。チンパンヂイや犬が様々な藝をしてみせるのである。鷄のやうな腦味噌の小ささうな生き物までがキチンと仕込まれているやうで驚く。全體的にやや散漫な感じもしたが、可愛らしい動物の姿に心和む一時であつた。
次にはザ・ワヰルド・ワヰルド・ワヰルド・ウエスト・スタント・シヨウ(*16)である。西部劇のスタントシヨウで、出演者ではただひとりの日本人男性は、小柄ながら、見事な動きを見せてゐた。
それからウオヽタア・ワアルド(*17)を觀に向かふ。これもかなり人氣のあるシヨウらしく、たくさんの人が開場を待つてゐた。長時間待たされてゐるのか座り込んでゐる人々もあったが、詰めるやうにといふアナウンスがあると、みな行儀良く立ち上がつて、前進するのが微笑ましい。
ウオヽタア・ワアルドはその名の通り、水上で行はれるシヨウだ。見物席には、青いベンチと茶色いベンチがあり、前の方に在る青いベンチに座ると水を被つてしまふらしい。Mさん達が中央最前列に陣取つたので、私も大人しく着いて行く。相當濡れる(*18)と聞き、例のレエンコオトを着ておく。Mさんの奥さんは鞄が濡れない様、ビニヰル製の巾着を持参してゐた。私の鞄も一緒に入れて頂く。
さうかうするうち、變わつたコスチウムを着込んだ三人の男性が現れ、所謂前説を始めた。彼等はこの地區を守る保安官ださうだ。惡漢が現れた際に行ふブウイングの練習やウエイブなどで觀客を盛上げるのだが、のりが今一つだと盥(*19)で汲み上げた水を客席に向かつてぶちまけるのである。なかなか横暴な保安官達だ。シヨウではたくさんの出演者が水上を所狭しと駆回り、派手な立回りを見せてくれた。彼等は寒くないのであらうか。個人的には、保安官が突き落された毒タンクが氣になつた(*20)。毒の入つてゐるタンクだから毒タンクだらうが、なんとも子供つぽい名称である。シヨウが終り、出演者達が觀客に手を振りながら賑やかに退場して行くのを見届けてから、水沒都市を後にした。
ユニバアサル・モンスタア・ライブ・ロツクンロオル・シヨウ(*21)に向かふ途中、メルズドライヴインの前でフローシヨウに行き當たる。五十年代のテイヽンネイジヤ風コスチウムに身を包んだ男女(*22)とミス・サンタクロオス(*23)がツヰスト?を踊つてゐる。人垣に紛れ、私も微力ながら手拍子で彼等を應援してみたが、照れ臭さが先に立ち今一つ乘れなかつたのが残念である。
ダンスが終つても、ユニバアサル・モンスタア・ライブ・ロツクンロオル・シヨウまでにはまだ間があつた。Kさん達に付合つて喫煙場で佇んでゐると、遠くにウツデイ・ウツドペツカアとポパヰの姿が見へた。ウツドペツカアは人氣者らしく、子供や若い女性等が次々と一緒に冩真を撮つてゐる。ポパヰに群がる人は誰も居ないのか、獨りラグン(*24)の水面を見つめてゐるのが哀愁であつた。
そんなポパヰを後目に、ロツクンロオルシヨウの會場に向かふと、こちらも既にたくさんの人が待つてゐる。ここでも最前列に座れた。程なくして白と黒の縞模様の背廣を着た案内役のビヰトルヂウス(*25)が現れ、シヨウの始まりである。フランケンシユタイン(*26)、狼男、ドラキユラといつたお馴染みのモンスタアが登場して、ドナ・サマアやビレツジピイプル(*27)やボンジヨビ等の曲を次々披露していつた。ドラキユラ役の男性が壱番格好良く見へたが、狼男もフランケンシユタインも人相が分らないぐらゐ化粧をしてゐるのだから、それも當然だらう。何れにせよ、大變に樂しいステヱジ(*28)であつた。
E.Tアドベンチヤの豫約時間まで、食堂(*29)で時間を潰すことにする。Mさんに紅茶を御馳走になり恐縮する。食堂もリヰスやガアランドで飾付けられクリスマスムウド一色なのであつた。ナメツク星人の話(*30)などしてゐたら、時間になつた。E.Tアドベンチヤでは、最初に名前を登録しなくてはならないらしい。さうすると、最後にE.Tが名前を呼んでくれるさうだ。入力孃に「ヱリザベス」と名乘ってみたい衝動にかられたが、今囘は本名にしておいた。中に入ると、不思議な馨りが立ち篭めてゐる。薄暗い森の中(*31)を歩いて行くと、自轉車が見へた。なんでもE.Tの故郷の星がたいへんな危機にさらされており、E.Tが持つてゐる不思議な力だけが故郷の同胞を救へるとかで、我々は彼をその星まで自轉車で送り届けなければならないのである。E.Tは自轉車で通へる處に住んでゐるのだナと思つた。自轉車に乘ると、足がぶらぶらして面白かつた。E.Tとお別れするとき、名前を呼んで「バイバイ」と言つてくれたのもちやんと聞こへた。派手さは無いものの、感動的なアトラクシヨンである。
外に出ると巨大なクリスマスツリイの點燈式典(*32)をやつてゐた。人垣が幾重にもできており、ステヱジで何が行はれてゐるのかよく分らなかつたが、ツリイに燈が點る瞬間を見ることはできた。
殘すアトラクシヨンは「熱いの」か「寒いの」かださうで、先きに熱い方に行くことにする。
「熱いの」とはバツクドラフトのことであつた。此處では、映畫『バツクドラフト』の山場である、化學工場の火事のシインを實體驗できるのである。火がゴウゴウと出るだけで大したことはないと思つたら、セツトの階段などが倒れてきたりしてなかなかの迫力であつた。終つてから、出際に後ろを振り向くと工場はすつかり鎮火しており、倒れた階段などが元に戻つて行くのが見へたのがやや興醒め(*33)ではあつた。
最後のアトラクシヨン(*34)はタアミネイタア2:3D(*35)である。安全ゴオグルと称する眼鏡を用ゐてスクリヰンを見ると、絵が飛び出して見へるらしい。
アヤノコウジレイカ(綾小路麗華?)と名乘る、赤いスウツを着た案内係が出てきて、見學人に「貴方、何處から來たの?堺市?大したことないわネ」などと話し掛け笑ひを取つてゐたが、丁度其の時、前夜の寢不足(*36)が祟ったのか先程の猛火の所爲か目眩を覺へてをり、餘り笑へなかつた。3Dのほうは、實際には飛出してなど居ないと分かつてゐても思はず後ろに仰け反つてしまふ。映像に氣を取られてゐるうちに目眩も治つてしまつたが、最後に息もできない程スモオクが噴出されたのには閉口した。
外はすつかり日も暮れ、夜風が強く吹いてゐてかなり寒い。そんな中、人々が立つたり座つたり思い思いの恰好でラグンを圍んでゐる。彼等は最後に行はれるハリウツド・マジツクが始まるのを待つてゐるのだ。我々も彼等と一緒に待つことにした。20分程待つと、愈々ハリウツド・マジツクの始まりである。流れ星を象つた赤や緑や黄色の花火が打上がり、水上に設えられた舞臺(*37)にダンサア達が登場した。ハリウツド映畫の歴史や名場面を表現してゐるのださうだ。レビウ(*38)の隆盛、モンスタア映畫ブウム、恐竜映畫の臺頭。華やかなダンスとスタントが次々と現れては消へて行つた。美しい花火が夜空を彩りやがてシヨウの終りを告げる。ぞろぞろと出口に向かふお客にパフオマア達がさやうならと手を振つてゐた。もう閉園の時間(*39)なのだ。
歸る前にお土産を買う機會を得る(*40)。が、買い物客が多い上、同行者に待つてもらつてゐるので、焦つて餘り考へずに適當に目に着いたお菓子(*41)を買つてしまふ。適當とは言へ、製造者がモロゾフとユウハイムだつた(*42)ので、後悔せずに濟んだ。
Kさん達に大阪驛の亰都行きのホオムまで送つて頂き、彼等とはそこで別れた。
今囘は私だけがユーエスヂエイ初體驗といふことで、同行の人々には何かと配慮して頂いた。殊に、Mさん夫妻(*43)の案内が無ければ効率良く遊べなかつただらうと思ふ。末筆ながら此處に感謝の意を表したい。ありがたう。<をはり>
注釋
*1ユーヱスヂエイ=USJ。正しくは「ユーヱスジエイ」じゃないかと思います
*2降り續いた雨=週間天気予報では11月12日は降水確率50%でしたが、終日いい天気でした
*3日頃の信心のおかげ=嘘です
*4ヂエイアヽル=JR
*5ハアドロツクカフヱ=Hard Rock Cafe
*6ジユラシツク・パアク・ザ・ライド=ジュラシック・パーク・ザ・ライド
*7豫約券=UNIVERSAL EXPRESSパスのこと。待ち時間が短縮できます
*8ジヤウズ=ジョーズ。この仮名使いであっているのか…?
*9ごみ袋のやうな代物=それでもやっぱり200円だったそうな
*10壱番端の席=濡れる可能性も高いです
*11バツク・ツ・ザ・フウチヤ・ザ・ライド=バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド
*12待つてゐる人も多かつた=予約を取るにも一苦労だった模様
*13チラノサウルス=Tレックス。よく故障するそうです(Mさん談)
*14セルフサアビスの中華料理屋=ザドラゴンズパールというところ。生ビールSが500円(;_;)。でも飲む
*15アニマル・アクタアズ・ステヱジ=アニマル・アクターズ・ステージ
*16ザ・ワヰルド・ワヰルド・ワヰルド・ウエスト・スタント・シヨウ=ザ・ワイルド・ワイルド・ワイルド・ウエスト・スタント・ショー
*17ウオヽタア・ワアルド=ウォーター・ワールド
*18相當濡れる=濡らされると言うべき
*19盥=バケツとも言います
*20毒タンクが氣になつた=何のためにそんな物を置いているんだかも、気になります
*21ユニバアサル・モンスタア・ライブ・ロツクンロオル・シヨウ=ユニバーサル・モンスター・ライブ・ロックンロール・ショウ
*22男女=なに人だか分らない顔だちの男性が一人、混じってました
*23ミス・サンタクロオス=ショー・スケジュールのパンフの表紙に写ってます
*24ラグン=ラグーン
*25ビヰトルヂウス=ビートルジュース
*26フランケンシユタイン=本当はせり上がりで登場するそうです
*27ビレツジピイプル=曲はもちろん『ヤングマン』
*28大變に樂しいステヱジ=ショーではこれが一番楽しかったです
*29食堂=ロンバーズ・ランディングだったかな?きれいなおねえさんがいました
*30ナメツク星人の話=ビートルジュースがフランケンに「ナメック星人みたいな顔しやがって」と言っていたのです
*31薄暗い森の中=植物は全部作り物
*32點燈式典=ライティング・セレモニー
*33やや興醒め=面白くもありましたが
*34最後のアトラクシヨン=その前にブルースブラザーズを見たような気がするけど、よく覚えてません
*35タアミネイタア2:3D=ターミネーター2:3D
*36前夜の寝不足=遠足前夜の小学生並みの行動
*37水上に設えられた舞臺=全部で3つあるようでした
*38レビウ=レビュー。ミュージカルとも言います
*39閉園の時間=営業時間は午後8時まで
*40お土産を買う機會を得る=カリフォルニア・コンフェクショナリーに行きました
*41目に着いたお菓子=チョコチップクッキーとキャラメルケーキ
*42製造者がモロゾフとユウハイムだつた=帰ってから気がつきました
*43Mさん夫妻=ゴールドパス所持者