デンパ

 電波というものは目には見えないが、今も私やあなたの周りを飛び回っている。

 これを、利用することでラジオやTV、果ては宇宙観測まで出来てしまう、今となってはとても便利で、生活から切り離せないものになっているようにも思える。

 この、目には見えないがその辺を飛び回り、特別な機器を使うと音声・映像の受信も出来てしまうことから、他の人には見えない/聞こえないが、ある特定の人にはだけ見える/聞こえるものがあり、ときどき新聞沙汰にまでなってしまうこともある。こういう、「自分にだけ見える/聞こえる」ものにしたがって行動するひとのことを「デンパ」などと呼んだりもする。
 この「デンパ」は「電波」と違って厄介なもので、少なくとも私の生活からは切り離してしまいたいものではあるが、電話線で世界とつながってしまっている状態では嫌でも関わってしまうこともある。

 この「デンパ」の特徴としては「人の話は聞かない」「自分に意見する他人はすべて敵」「大企業は自分をつぶそうとしている」「自分の行動が世界を変えると思い込む」などといったものがあります。思ってるだけなら害はないのですが、時々行動に起こす人がいたりしてなかなか、困ったものです。「私は他人とは違った、なんというか、高貴な存在、特別な存在なのよ」症候群といいましょうか、一昔前に「前世は戦死戦士だった人」といっていた人と精神構造は同じようなものと思っていますが、研究しているわけではないので根拠はありません。精神科医じゃないし。もっとも、「戦士」だった人のほうがまだ、他人に実害を与えないだけましな存在だったかもしれません。

 「デンパ」はここ最近、目立って増えてきてるようにも思えます。多分、原因の一つはインターネット−というかWWWですかね−が普及したからだと思っているのですが、そういったことを研究しているわけではないので根拠はありません。そんな感じがする、というだけのある意味「デンパ」な理由からです。

 WWWほど簡単に自分の意見・主張を発表できる場所はありません。それまでは、自費出版か同人誌くらいの手段しかなく、出版するたびに資金が必要だったものが、今や最初に2、30万(今はもっと少なくいですか?)払えば後はほぼ無料、かかっても数千円/月で、しかも世界中にむけて発表できてしまうのです。これが、「デンパ」な人が目立ってきた原因だと踏んでいます。

 自由に意見の述べる場が出来たのは悪いことではないのでしょうが、果たして「デンパ」な人と係わり合うのとどちらがいいのか時々悩んでしまいます。インターネットさえなければ、WWWさえなければ一生係わり合いにならずにすんだし、一時とはいえ、不愉快になって夜も眠れず昼に寝てしまうことも無かっただろうな、と思うと「デンパ」の届かない時に戻りたいな、とも思うのです。


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