◆ 短詩型表現の小さな交差点 ◆  HOME
本当にいろんな人がいろんな表現をしてるなあって思います。僕はそんないろんな人やいろんな表現に出会えたことに感謝しています。
そして、ここを覗いてくれた人もいろんな出会いをしてくれたらなあと思っています。下のテーブルのお名前のところをクリックしてもらうと
そのかたの作品にたどりつきます。もっとたくさんの作品を紹介したいのですが、スペースの都合上5つだけ紹介させてもらっています。
HPやブログを開設しているかたにはリンクさせてもらっていますので、是非一度訪問してみてくださいね。(なんの菅野and/or南野耕平)

あ行 あいおい 青毛のアン 赤松ますみ ア北斎 五十嵐きよみ 石部明
伊勢谷小枝子 板垣孝志 伊津野重美 英智郎 おーい銅将 大高翔
荻原裕幸 奥村晃作
か行 河童猿 加藤治郎 倉富洋子 五島高資 これかよ。
さ行 さいかち真 坂石佳音 new ! 笹公人 清水哲男 白川みかん 空夢(すかいむ)
杉山竜
た行 たっつあん たておかあや 田中槐(えんじゅ) 谷村裕 丁珍姉御 new ! 坪内稔典
寺田光夫 闘句朗 登美子
な行 なかはられいこ なんの菅野
は行 早坂類 東直子 ひぐらしひなつ ひとり静 ひねのり 浩之
ぷらむ。 紅花 穂村弘 星川郁乃 ほしくず
ま行 正岡豊 枡野浩一 松橋帆波 丸山進 みきをくん 水品団石
水須ゆき子(ぽっぽ) 水野黒兎 水野タケシ 水原節子 南村香里 三宅やよい
宮本佳則 村上きわみ 毛利由美
や行 山上秋恵 やまんば new ! 葉子 よったま
ら行 立地骨炎
わ行 渡辺百絵
50音順で掲載させていただいています&敬称は略させてもらってます。また、掲載にあたっては作者の方に許諾を得ております。
無断での転載は法律で禁止されておりますので、転載される場合には必ず作者の方の許諾を得ていただくようお願いいたします。
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ふたりいた事実消えない花暦

愛してよ涙の投網カラスウリ

コスモスが揺れるあなたへ寄りかかる

ねじ花 おまえまっすぐ空を向く

愛されて呟いてみるワレモコウ



あいおい「わたし575」













居酒屋にいても気づかぬダライラマ

死んじゃイヤ明日から誰がゴミ出すの

10円が足りず自販機下のぞく

横書きにされて怒っている李白

誰もいぬ交番でする雨宿り



青毛のアン













薄暗い廊下で過去と擦れ違う

伸びてゆく疑い深い木の根っこ

窓開けて普通の人になってゆく

わたくしを守る角度に開く傘

画用紙の四隅も宇宙へと続く



赤松ますみ「川柳文学コロキュウム」













コンチキショウコンチキショウと雪下ろす

オレの絵をゴリラが描いたと言って売る

あぜ道のわだち三本懐かしい

はし使いケーキ意外に食べやすい

幸せは三つ連続青信号



ア北斎













都市という暗き浴槽 コンタクトレンズのように私が浮かぶ

あちこちで火が燃えているひとびとが陽炎になる、あした渋谷で

なぜここにいるのかはもう問われない大観覧車の影伸びる街

また傘を忘れて会いにくるひとの湿った背中は魚のにおい

ト音記号ゆるゆるほどけ揺れながらどこまでのびる夏のつる草



五十嵐きよみ「梨の実通信」













琵琶湖などもってのほかと却下する

舐めてみる出雲大社の塩加減

一本の線はサーカス団である

死んでいる馬の胴体青芒

諏訪湖とは昨日の夕ご飯である



石部明「バックストローク」













明日には忘れちゃうから空にソラ青にアオって書いておいてよ

ピース!ピース!私がここにいるせいで私の形に足りない世界

ちょうといい高さの夢に背伸びして届かないのを確かめている

神様はクッキーの型を持っていて 愛のかたちはハートのかたち

静電気のにおいがしたっていうことは冬が近いかあなたが遠い



伊勢谷小枝子 「movie pain」













『生きること』

献体の文字よ淋しくないのかい

しあわせの隣の席が空いている

欺けばこれほど赤き烏瓜

のど飴を舐めてきれいな嘘をつく

生きて行く割れた鏡を接ぎ合わせ



板垣孝志













クレーンの腕(アーム)が空に突き刺さり正しいことは行われない

泣いていたからだ寄せ合ういまここはなんてつめたい海の底なの

ハレーションおこした街に眩み立つ ましてあの世は目映き荒野

こわれるから目をとじました 会うことも会わないこともとおいゆうぐれ

この雨で散る花花があるように音なく弊れ眠りにつきたい



伊津野重美「paperpiano」













無縁毒今日的自家製食野菜

しゃがんだら孫もしゃがんで目が合わず

正月かぁ正月だわね老い二人

竹の子のイノシシ避けにジャズ流す

暇になりゃメール打つから暇はない





英智郎













しゃかりきの語源ホントに釈迦力か

キレかたが都知事みたいになる府知事

良心も牛のカケラもないミンチ

脱ゆとり円周率も元戻り

闇のモノ 迂闊に使うのも飲み屋



おーい銅将













秋天に東京タワーといふ背骨

何もかも散らかして発つ夏の旅

菜の花に吾がつまさきを見失ふ

名を呼んで子を振り向かす花の昼

折り紙のピアノかたむく花ぐもり





大高翔「大高翔ON THE WEB」













船虫の無数の足が一斉に動きて船虫の体を運ぶ

結局は傘は傘にて傘以上の傘はいまだに発明されず

次々に走り過ぎ行く自動車の運転する人みな前を向く

落着いてふるまう人の後に付きオレは座席に座れなんだわ

どこまでが空かと思い 結局は 地上スレスレまで空である





奥村晃作「奥村晃作短歌ワールド」













まだ何もしてゐないのに時代といふ牙が優しくわれ噛み殺す

誘(いざな)へどすぐさま拒む人生のたとへば「ペンキ塗りたて」の椅子

虹をうしなひまた虹を得て曖昧にただみづいろの歳月である

戦争が(どの戦争が?)終つたら紫陽花を見にゆくつもりです

ああいつた神経質な鳴り方はやれやれ恋人からの電話だ



荻原裕幸「デジタル・ビスケット」













内線の無言電話が見詰めてる

かわいそう だから一気に つぶす虫

下心なくて優しい人の罪

売れなけりゃ 売れない歌手と 呼ぶ世間

双六の戻らぬ旅を運とする



河童猿「ゆかい模様」













すでにもう遠くが光る波のよう入っていると囁きあって

やせっぽちの裸体は虹のうらがわのように儚くつながるふたり

海から風が吹いてこないかどこからかふいてこないかメールを待ってる

抽斗だけがやさしい夜明け十年もまえってうすい手紙のようさ

雨の翼はゆたかに街を覆いたり胸を離して窓をみている



加藤治郎「鳴尾日記」













愛はある 腐るほどある 腐っている

古い血を抜くようにただ泣いている

饒舌な暗喩で編みあげるわたし

男ひとりを刺せずに何の酷暑かな

無言電話のむこうに月は出ているか



倉富洋子「Stage B」













スケートの輪の外で考えており

クリスマスツリーは逆さまだと思う

このように梅の木である一所懸命

胸そらしそのまま染井吉野かな

おこられて今夜はにんにくのかたち



五島高資「俳句スクエア}













いちにちのプチハッピーとプチブルー

ちょうどいい穴があるからはいります

優しいと気付いた君も優しいね

  マイペースなのよジタバタしてるけど

ちょっぴりの不幸を武器にして生きる



これかよ。













満たされむ、ただそれのみに生くる生(よ)を時に悪鬼(あっき)のごときものがうごめく

労働が人を造る、か……。連日のアルバイト疲れに教室は荒る

生きるため息を吸ふため偶然を必然に変へる努力を続けるのだ

ブルーレットみたいな色だ泳げない

さわやかな笑顔の教師信じない



さいかち真













濡れるだけ濡れて帰る子てまりばな

素魚の紅一条の鼓動かな

せつせと毛虫ゆつくりとライトバン

八月や子のたんこぶの上に空

すいつちよにつまづいてゐる写経かな



坂石佳音「かのんくら」













京都土産のヌードトランプ盗まれてやぶれかぶれの夏の放課後

ノムラサチヨホソキカズコと唱えれば魔界の数え歌のごとしも

呼ばれたら答えるだけの花子さん 暗闇だけを友だちにして

ジャイアンに追いかけられるのび太たち 春の空き地は昭和の匂い

もう誰もいない地球の凩(こがらし)に舞うポスターのアインシュタイン



笹公人「Kimihito Sasa」













弁当を分けぬ友情雲に鳥

腕組んで女優はひとり夏帽子

人間にうわのそらありとろろ汁

さわやかに我なきあとの歩道かな

極道や打つや太鼓や水打つや



清水哲男「増殖する俳句歳時記」













ママの腹つまんで眠りにつく2歳

ハブラシをそうじに借りて又戻す

児と犬はママがボスだとわかってる

ッチーとなぜマスコミは付けるのか

いそがしく出掛ける服にハミガキ粉



白川みかん「みかんばこ」













親指は太めでボインと呼ばれてる

人を差す指が重ねた罪の数

中指がお役に立てる夜を待つ

縛られてみたいだなんて薬指

お返しに小指に似てるとこを噛む



空夢「空夢」













バカだなあ俺に同情するなんて

尻馬に乗って強さを手に入れる

魔女狩りが終わって悪魔だけ残る

ビンラディンひげがいっぱいはえている

川柳をやめればキミもモテモテに



杉山竜「ポップ・ドラゴン」













腹話術やってるような福田さん

おとなしくしてなとマナーボタン押す

雪解けて不明のシャベル顔を出す

巨人軍知ってる選手いなくなる

灰皿のあるスポットをハシゴする



たっつあん













たたく人たたかれる人見てる人

表情のわかる虫が居ギョッとする

救急車一瞬路上一体感

大好きな人のにおいは良いにおい

ゾウ見ずに柵のアリ見ていた子供



たておかあや













常識の範囲であればいいんです 耳の形は眠れるかたち

待つことを拒むゆうぐれぽきぽきと鳴る関節のところで折れる

やわらかく統べられている所有とは違うかたちの器の中で

空白の多いアルバム ぼろぼろの家族を螺旋の金具が綴じる

回してはいけないものや組み替えてはいけないものを Merry-Go-Round



田中槐「槐組」[ENJU-GUMI]













「してくれ」と言ってるような「イヤ」が好き

恋人のときの努力を忘れてる

手が触れておもわずゴメン妻にいう

喜多郎を最後まで聞く不眠症

遠足の子等の背中にある翼



谷村裕













縁の下今でも君を待つボール

エプロンの結び目がまだ怒ってる

カレンダー ゴミと書かれた誕生日

今日は何するか教える島の風

境内の子どもの影にあるしっぽ



丁珍姉御













三月の甘納豆のうふふふふ

たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ

ポケットに地図のくしゃくしゃ十二月

恐竜のすわった跡か春の闇

寝そべって立夏の犬というかたち



坪内稔典「e船団」













日常をズルズル持って行くキャンプ

貸せないが持ってる人を教えよう

地元でも時々ウワと見る富士山

おや妻は口笛吹けると知った朝

新車来て引き取られてく愛車の背



寺田光夫













『統合失調症』

テレパシー信じた僕がバカな僕

精神に包帯巻いて社会人

包帯の跡へ職場の苛めの輪

処方箋だけで終わった青春譜

希望する心統合する心



闘句朗













何したか覚えてないが筋肉痛

何だろう「たまご」と言って寝た息子

連絡網伝言ゲームになっていた

年ヒミツえとはパンダで押し通す

朝日のアみたいなものか遺憾の意



登美子













なにをちまちま 宇宙じゃ誤差よ

暗闇の上下左右を確かめる

おしゃべりな星と無口な座礁船

ポケットにパンひとつある無敵かな

悲しげに虹を見上げるカメレオン



なんの菅野「川柳日記」













夕凪の海を手帳に挟みこむ

えんぴつは書きたい鳥は生まれたい

木の影と重なるように横たわる

こいびとをくくるおおきなかぎかっこ

ひとを好きになる生まれたての子馬



なかはられいこ「短詩型のページみゅう」













遠くから来る自転車をさがしてた 春の陽、瞳、まぶしい、どなた

眩しくて 何も言わないゆびさきに触れる理由を考えていた

膝たててふたりは座る真夜中のきれいなそらにしみこむように

ささやいてください春の光にはまだ遠いけどきっと遠いけど

めざめたら全部忘れていた鳥をつれてあなたのひかりのなかに



東直子「直久」













いっせいに髪なびかせて少女らが着る八月の不安な私服

じゃあまたなとミニバイクにまたがってアクリル色の風になる君

生きるならひとり真夏の叢(くさむら)の人に知られぬ井戸よりもっと

自然体、などと言うから遠くなる。 ひたすらに自分のラッパを吹く。

よく伸びる声に雲の名を教えられ鸚鵡返しに雲の名を言う



早坂類「Hayasaka Rui.com」













こわれゆくおもちゃのように手を振った虚空に刺さる遮断機の下

読みかけの新潮文庫を閉じるときあのはつなつの開脚前転

流木のようにあなたを待ちながらやさしくうごく喉を見ていた

届かないまま遠ざかるゆびさきの微熱にうるむ風のひとひら

かなわない約束をするさよならはやさしく手渡された無精卵



ひぐらしひなつ「Very Very WILD HEART」












真実にひとつ足りないものばかり

笑うのはリボン結んでからにして

ユニークなパッチワークになるアジア

まっすぐを見ているうちに眠くなる

最後の砂は海に吐きたい



ひとり静「海の鳥・空の魚」













人の顔説明するの難しい

便利さが持ってる強い副作用

ノーベル賞俺の分野にないだけさ

父の字は笑って泣いているような

平凡なことに気づいた帰り道



ひねのり「ひねのり流快想川柳」













ムーミンを月のカバだと信じてた妹が作る甘いカルピス

北極を見れば忘れること出来る?南極見れば忘れられるの?

失いて眠れずに見る5:05 エスオーエスに見えるよ今は

行き先の「市内」の前に「なんにも」と書きたしてみる雨の月曜

一瞬でカーブミラーを桃色に変える角度でまがってくる春



浩之













いんげんは嫌いキュコキュコゆうとこがにんげんは好きどきどきするわ

毒林檎あるなら口に含ませて王子がいるならすぐ出遭わせて

眠い+眠いは全然眠くないふたりで燃やす赤い自動車

ルビをふるみたいなやさしさ押しつけるみとれていようよ赤いろうそく

世の中の光ってる物の半分はやさしさで出来てる 玉虫、信号



ぷらむ。「ぷらむ。」













傷つくとわかっていてもしたい恋

もう涙武器にはならぬ倦怠期

言わないでいい事までも言うケンカ

きっと道込んでるんだと君を待つ

レモン汁しみて気づいた指のケガ



紅花













はじまりの言葉はどんなだったっけ 「まなざし」だったような気がする

きのうまで蝶だったまだ鮮やかな羽のかけらの確かな真実

きんと張った冷気ふたつに切り裂いて朝を駆け行く少年と犬

しあわせってなんだかわからないけれどあなたにあればいいもののひとつ

7月のひかりの中の君のことばかりかんがえてやりすごす梅雨



星川郁乃「星の歌」













ただ夕日見てる素直になれなくて

予約して予約の列に並ばされ

群生にうわと声出たつくし摘み

助走かもしれない今は跳ぶまえの

ずぶ濡れの車中で雨は虹になる



ほしくず













日溜まりのなかに両掌をあそばせて君の不思議な詩を思い出す

震えながら海からあがるもういいやモスバーガーに眠りにゆこう

両膝をついて抱き合う真夜中のフリーザーには凍る食パン

空転の車輪しずかに止まっても死につづけてる嘘つきジャック

ジャムパンにストロー刺して吸い合った真夏遥かなファーストネーム



穂村弘「ごーふる・たうんBBS」













みずいろのつばさのうらをみせていたむしりとられるとはおもわずに

きっときみがぼくのまぶたであったのだ 海岸線に降りだす小雨

きみがこの世でなしとげられぬことのためやさしくもえさかる舟がある

ゆうぐれを遠くで笑う貝柱

くちづけの途中で止まる遮断機よ



正岡豊「天象俳句館」













こんなにもふざけたきょうがある以上どんなあすでもありうるだろう

階段にすわって朝を待ちながらゆうべの夢をうちあけ合った

だれからも愛されないということの自由気ままを誇りつつ咲け

好きだった雨、雨だったあのころの日々、あのころの日々だった君

またいつかはるかかなたですれちがうだれかの歌を僕が歌った



枡野浩一「こんなにもふざけたきょうがある以上」













酒臭い話も母は聞いてくれ

パソコンの向こう側にも僕がいる

ポケットで缶コーヒーが冷めていく

日の丸に騙されたがる男達

重箱の隅で未来を弄ぶ



松橋帆波「句箋苦闘」













折り返し辺りで無口な鳥になる

午後からは鼻歌などが出るでしょう

明け方の股間を通る不審船

ある予感無難なパンツ履いて行く

歓声が時々挙がる蟻の穴



丸山進「あほうどり」












一日の長さ絶対バラバラだ

時代劇トランペットがあう不思議

未来的だがレトロ感丸い窓

王将で王手をしたら詰むんだが

言われなきゃ4回転とわからない



みきをくん













くす玉の中で待ってるメリケン粉

液晶の画面あんたも薄っぺら

世辞者の歯につめてやれ正露丸

薄暗いところでギャグがマジになり

ガス欠の車すぽぽぽぽんと逝き



水品団石「お団子石先生の函」













病む僕と止まない雨を出会わせて雲は天上天下を隔つ

耳元で「好き」とつぶやく 今日もまだ好きでゐられた記録のために

てのひらを星のかたちに掲げつつ横断歩道を子ら渡りゆく

風船のちからを借りて立っているこの子とわたし 聖夜の隅で

目を開くたびに世界は新しく子は花を見る花も子を見る



水須ゆき子(ぽっぽ)













ドーナツの穴は天使の食べた跡

定年にのっぺらぼうの名刺持つ

職安で仕事無いのを確かめる

夏帽子遠い記憶の若い母

金婚の半分ほどは金メッキ



水野黒兎













北朝鮮で一句書いてて注意され

気がつくとナンシー関と二人きり

人間失格☆カメラマン合格

アフリカで松崎しげる道聞かれ

風が本めくろうとするめくらせず



水野タケシ













王子様あきらめ王様待つ私

孫うたう祖母うたいだす母うたう

先生も真剣だったチョーク投げ

そういえば声だしてない日曜日

息止めて父の素潜り見てた夏



水原節子













「ガンバレ!」の海苔文字蓋に持ってかれ

ビニールの恋引き潮にさらわれる

話すこと尽きて互いの雨の音

酔客を乗せて電車は星を縫う

抽斗に今日を知らない桜貝



南村香里













地下街にアスパラ少年栽培中

おまわりがおまわり連れて桃の道

鏡には鏡が無数月の夜

木に登る少年は老い夏木立

割り算でといてみなさい春の水



三宅やよい「e船団」













ボールペンにも人生のようなもの

変だなあヘンに見えなくなってきた

何よりも平等なにもしない神

まず花にあいさつをした宇宙人

ドーナツを食べるとほらね消える穴



宮本佳則













あなたは火わたしは水をそろそろと運ぶしかない聖夜でしたね

泣きながら眠るしかない夜も?(Yes)破ったままの約束も?(Yes)

あなたに似た木がありますと導かれ置き去られ呼び戻されている

そうやって虹をゆがめてばかりいる君たちが声に出すと、世界は

やわらかく殴り合ったりへし折った虹のはしっこくわえてみたり



村上きわみ「キメラ・キマイラ」













子供より簡単な大人のドリル

回転の早い鏡のないトイレ

挨拶をされて挨拶する近視

お守りを洗濯したことは秘密

ぼやいたり愚痴ったり幸せの中



毛利由美













雨粒がすべっていくよ生命線

猫のヒゲ1本入れたシャープペン

ちょっと手を離してみたくなる風船

よその子のぬいぐるみにはよその子のにおいがついていてさわれない

その町は洋服だんすと鏡台の隙間にありて人は入れず



山上秋恵













ハングリーなのはうちでは金魚だけ

手術台上で主治医に言うジョーク

それにネと付け足し語るのが本音

もう頭せっけんでエエ妻が決め

つながったタクアン母は疲れてる



やまんば













横たわるシャチにまたがり夏の息吐き出させつつ小さくたたむ

allegroとallegrettoの間には微妙な気持ち(やや)あるのです

ときにふとひとりぼっちが恋しくてただ黙々と梟の夜

戯れに描いたハートが泣いている曇りガラスに滲む青空

尖りたる肩胛骨を吾子は持ついつか背を裂き翼となるか



葉子












粒の涙を隠す冬帽子女の旅はまだはるかなり

この道を行くしか今はなにもなしシナリオがない道つづく

ひとり言聞こえ水仙花開く

新札の匂いをかいで冬の朝

小春日や引き出し奥に桜貝





よったま













同じ目をした集団の恐ろしさ

平和への道険しいという誤解

先っぽのぽって一体何なんだ

エロにスが付いたらちょっと偉くなる

若いだけだけだが2度とない青春


立地骨炎












花野にはいつも冷たいモンタージュ

ガラス器に盛れば愛欲がきれい

抱きしめたから冷えていく木馬

うつぶせになる ネオンテトラが通過する

群がればきっと汚れる羊たち




渡辺百絵「ももかんさつろく」










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