「さよなら」
そう呟いた君は
ほんの少しだけ微笑んで
手を小さく振った
「ここにいるよ、早くおいで」
きっとそう呼んでくれたと思ったから
僕は走り出したんだ
ゆっくり歩く君
必死に走ってる僕
なのに
追いつかない
もつれる足をなんとかなだめて
君と並んで歩きたくて
遠ざかる君の姿
みるみる間に小さくなって
やがて見えなくなった
「好き、だよ」
「どこへ行ったの?」
声にならない声で
もう届かない言葉を贈った
君が消えた街は灰色
君の馨りが消えた部屋は凍ったまま
待つことも辛くて
僕は一人街を出た
何度も振り返って
君の返事を待ってみる
ほんとはね
あの時の声
ちゃんと聞こえてたよ
僕が自分で耳をふさいでたんだ
「さよなら」