NHKの報道姿勢に異議あり

 3月26日、静岡県・磐田市に住む22歳の女性が外出中に行方不明となり、自宅近くでこの女性の片方のハイヒールと財布が見つかった。 彼女は事件か事故に巻き込まれたのではないかということで、警察は公開捜査に乗り出し、マスコミ各社も一斉に報道を開始した。

 この女性は磐田市のS市長の長女であり、事件性も高いことから、実名と顔写真が公表された。 私自身も何らかの事件に巻き込まれたと思い、ニュース好きな“ヒマな老人”として、マスコミの報道に関心を持って注目していた。

 ところが、行方不明になってから4日後の30日夕刻、彼女は山梨県内で一人で歩いているところを発見され、警察に無事保護された。事件性はなかったようである。 この若い女性の失踪は大きな関心を集めていたから、民放テレビ各社は夕方5時台のニュース後半から、「無事保護、無事保護」と慌ただしく報じていた。

 この段階以降、「実名」や「顔写真」の報道は急速に控えられるようになった。世間を騒がせたとはいえ、女性の人権・プライバシーへの配慮が見られて良かったと思う。 失踪騒ぎは一件落着、本人もケガや異変はないようで、やれやれ一安心ということだった。

 そこで、ニュース好きな私は、NHKが夜7時の「ニュース7」でどのような報道をしてくれるかと、期待を込めて楽しみに見た。 ところが、いつまで経ってもこの件に関する放送がないのである。一体、どうなってるんだ?! このニュースを何も放送しないまま、30分の“ニュース番組”は終ってしまったのである。

 私は愕然とした。 その時点で最も関心を集めている事柄を報道するのが、ニュースではないのか。 ましてや、安否が気づかわれる人命に関しては、「無事保護」ということを、いち早く流して当然である。いや、一報だけでいいから、放送すべきである。公共放送なら、なおさら当然である。 民放などは見ないで、NHKのニュースしか見ないという視聴者もいるのだ。

 まさか、NHKはその時点で、22歳の女性保護という事実(警察発表)を知らなかったのではなかろう。 もし、知らなかったとしたら、仕事上“怠慢”以外の何ものでもない。“特オチ”ということだ。 知っていて報道しなかったとしたら、これも“怠慢”以外の何ものでもない。

 事件性がないからという理由で、報道しなかったのだろうか。 しかし、人命に関することは、早急に一言でもいいから「無事保護」と伝えるべきである。 百歩譲って、この失踪について26日以降、一度も放送してこなかったのなら、“続報”を伝える必要はないかもしれないが。

 私は呆れ返って、ここは何か言わなければ気が済まないというので、NHKに電話をかけた。私もきちんと“受信料”を払っているのである。 ところが、何度電話をしてもつながらない。この件で、電話が殺到したのだろうか。 仕方がないので諦めたが、NHKの報道姿勢には呆れる。 

 因みに、その夜遅くのニュースでは、さすがにNHKも“後追い報道”のように、件(くだん)の女性が無事保護されたと放送していた。遅すぎるではないか。 (注・私はNHKに悪意があるから言っているのではない。“ニュース愛好者”として言っているのだ。 2004年4月1日)

 トップページに戻る