1) 第20回参議院選挙が7月11日に行なわれ、民主党が改選議席で初めて、自民党を上回る議席を獲得した。 この結果について、某テレビ局の番組を見ていたら、政治評論家の矢野絢也氏(公明党の元委員長)が「自民党の大敗北だ」と語っていた。 正にその通りだと思う。
ところが、12日付けの各新聞の朝刊見出しを読むと、「自民不振」とか「自民伸びず」というのがほとんどで、「自民敗北」とはっきりと書いてあったのは、朝日新聞だけである。 他の新聞は、自民党は伸びなかったが、敗北していないとでも思っているのだろうか。 どこか“間抜け”な感じがしてならない。(元政治記者である私がデスクだったら、必ず「自民敗北」と書かせただろう。)
ご承知のように、自民党は改選議席の51(欠員1を含む)を最低目標として選挙を戦ったが、結果は49議席に終った(ちなみに、民主党は50議席)。 たった2議席減らしただけだから、負けても大したことではないかもしれない。 しかし、比例区の得票に至っては、自民党は民主党に400万票以上も引き離されたのである。
なぜ自民党は振わなかったのか。 自民・公明両党が成立させた年金改革法の不評、イラク問題での自衛隊の多国籍軍参加決定、支援団体の弱体化など、いろいろ敗因が分析されている。 しかし、最大の要因は、最近の「小泉自民党」の驕り高ぶる姿勢だったのではないか。
2) 昨年11月の総選挙(衆議院選挙)で、自民党はなんとか過半数を制し、躍進したとはいえ民主党を大きく振り切った。 これは辛勝だったが、勝ちは勝ちである。小泉・安部ラインの勝利だった。 そして、直ちにイラクへの自衛隊派遣を実施した。
内政面では、公明党と共に年金改革法の成立を図り、これも実現させた。表面的には順調に政局を運営してきたのである。 しかし、その間に際立ってきたのが、小泉内閣の高姿勢と独断専行的な施策、都合の悪いデータ隠しなどである。 年金法案の強行可決、自衛隊の多国籍軍参加の一方的決定、出生率低下のデータ隠蔽(?)等々である。
これらは周知のことだから、これ以上述べる必要はないだろう。 そして、小泉内閣の強引なやり方に世論の反発は強まったが、その間、民主党の方も混迷と不様な対応をさらけ出した。 特に年金法案をめぐっては、党首の菅直人代表が未納・未加入問題で辞任したり、後継の小沢一郎氏も、同様の問題で代表就任を直前に断るなど、混乱を極めたのである。
もう一つ、年金改革をめぐる自民、公明、民主の「3党合意」も、法案の審議を不透明と混迷の状況に陥れ、民主党は明らかに不評を買う結果になった。 これらの状況は、たった一ヵ月余り前のことである。どう見ても、不様な民主党は参院選に勝てるようには見えなかった。 それなのに、どうして自民党は今回の選挙で敗れたのか。
3) 不様に見える民主党だったが、しかし、この党は“愚直”である。 一方、自民党は驕り高ぶっていたのである。その最も好い例が、国民年金の未納・未加入問題だった。 年金改革とは直接関係のないこの問題について、民主党は愚直に対応した。
民主党など野党各党や、公明党までが所属議員の年金未納の実態を明らかにした。これに対して、自民党だけは最後まで実態を明らかにしなかったのである。「議員年金」の問題が大きくクローズアップされている時だけに、こうした自民党の“隠蔽体質”は、国民の不信と反感を買ったはずである。
菅氏や小沢氏が痛手を受けている時に、小泉内閣の未納閣僚達は、辞任した福田官房長官を除いて、全員が“自己責任”を明らかにせず居座り続けた(年金法案の提出者ではないか!!)。 小泉総理に至っては、自身の若い頃のこの問題について「なぜ、謝らなければならないのか」とか、「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ」と開き直った。
私はこの時、「与党は図々しく、野党は辛い」ものだと思った。同様に感じた人も多いだろう。 この「小泉自民党」の驕り高ぶった姿勢が、今回の参院選の敗北に見事に結び付いたのではないか。 そうでなければ、ガタガタしていた民主党が自民党に勝てるわけがない。私は内心「ざまあ見ろ!」と思ったほどだ。
4) ごく最近の世論調査によると、民主党の支持率が初めて自民党を上回ったという(読売、朝日両新聞等の調査)。 小泉内閣の不支持率は50%を超え、支持率は30%台後半に低迷しているようだ。 こういう傾向は一時的なものかもしれないが、どうも「小泉自民党」は行き詰まってきた感がする。
昨年の総選挙も今回の参院選も、自民党は公明党・創価学会に“負んぶに抱っこ”で世話になっているようだが、こういう関係がいつまで続くのだろうか。 今や公明党無くして、与党としての自民党はあり得ないようだ。 連立政権は良いとしても、パートナーが“泥舟”になったら、先行きどうなるか分からないと危惧する声も出ている。
以上、今回の参院選の結果について私なりの感想を述べたが、しょせん、参院選などというものは、自民党の安部幹事長が言うように『政権選択』の選挙ではない。 マスメディアは今回も、投票率アップを声高に呼びかけていたが、参議院自体の存在意義にどれほど迫っていただろうか。
「そこに参議院があるから、とにかく投票せよ」と言うだけでは、21世紀の国家大計などは全く見えてこない。 私は参議院廃止論者である。今の参議院なら全く無用だと考える。 参院選のボイコットをこのホームページで呼びかけた自己責任から(以下の文を参照して頂きたい)、むろん投票には行かなかった。
しかし、正直言って寂しい感じがする。 衆議院と同じように、嬉々として投票に行きたいものだ。 なぜ参議院の存在意義は薄いのか。本当にレーゾンデートル(存在理由)があるなら、喜んで投票に行くのに残念である。 そうは言っても、政局に何がしかの影響を与え、国民の意思が明らかになったということで(これは当然のことだが)、選挙自体には意義があったと考えるのが自然だろう。
最後に、国民も国会もマスメディアも、参議院のあり方について、その存廃も含めて真剣に考えて頂きたいと祈るものである。(2004年7月15日)