続・中国の“反日感情”を憂慮する

 去る7日、北京で行なわれたサッカー・アジアカップ決勝戦は、日本が3対1で中国を破り優勝したが、試合の結果はともかく、憂慮された反日行為はやはり起きた。 ブーイングはもとより、一部の中国人が日本国旗を燃やしたり、日本公使の乗った車が襲われたり、日本選手団の乗ったバスが投石を受けるなど、数千人の中国人サポーターが夜遅くまで騒いだという。

 公使の乗った車が襲われたことで、日本大使館は中国外務省に抗議し、北京市公安局は「警備上、不手際があった。誠に申し訳ない」と謝罪した。 相当な反日騒動があったにもかかわらず、中国のメディアは翌日、「アジアカップは円満に閉幕した」とか「観衆は速やかに帰途に就いた」などと、事実と異なる報道をしたという。

 一体、これはどういうことか。実に残念であり不愉快である。 これまで、重慶や済南の試合で反日行為が繰り返されてきたから、中国当局は首都・北京で厳重な警戒態勢を取ったというのに、この始末である。 サッカーには熱狂的なフーリガンが付き物だが、今回の中国での騒動は、尖閣諸島の問題や過去の日本による侵略を持ち出すなど、極めて政治色の強いものとなった。

 中国人の“反日感情”というのは、それほどまでに強いのか。 先日、テレビを見ていたら、日中戦争が始まった盧溝橋(ろこうきょう)の近くに「抗日戦争記念館」があるという。 浅学な私は、これはてっきり歴史記念館か博物館の“俗称”かと思って尋ねたら、それが“正式名称”だった。(正確には「中国人民抗日戦争記念館」)

 また、南京には「南京大虐殺遭難同胞記念館」があるという。(正確には「侵華日軍南京大屠殺遭難同胞記念館」) この他にも、瀋陽や重慶などに、日本の侵略行為を記した施設、記念碑等があり、旧日本軍の残虐行為を“これでもかこれでもか”と紹介しているという。

 これでは、中国人に生まれたら、私でも誰でも生まれながらにして“反日”になってしまうだろう。 過去の日本の侵略は国家犯罪であり、こうした反日施設に行けば、多くの日本人は謝罪の念を深め、平和への思いを強めて「日中友好」の新時代を希求するようになるだろう。

 そうしたことは分かるのだが、過去の日本の犯罪をこれでもかこれでもかと叩き込まれたら、日中友好の新時代を切り開こうという気持に、どの程度なれるのだろうか。 友好への願いより、逆に憎しみや怨みの方が増幅される危険性が高い。

 もとより、国の歴史を正確に国民に伝えることは、国家の最も重要な仕事である。中国が、自らの侵略された歴史を国民に示すのは、当然のことだろう。 しかし、日中双方とも、過去の不幸な出来事だけにこだわっていたら、21世紀の友好の展望は少しも開けてこない。 憎悪と怨念と警戒心だけが生じる。中国の若者の中に、“反日”の人間だけが増えていくだろう。

 

 日本から中国には、これまで3兆円に達するODA(政府開発援助)が供与されたという。 しかし、抗日・反日の施設は逆に充実強化されているようだ。しかも、中国側が発表する日中戦争の中国人の犠牲者数は、奇怪にも増え続けているというのだ。 これでは、とても「日中友好」が進展する環境にはなっていない。環境はかえって悪くなっているのではないか。

 中国の国内で、抗日・反日・排日の施設が拡充強化されようとも、それに対して、日本側から抗議するのは難しい面があるだろう。 なぜなら、それは“内政干渉”と受け取られかねないからだ。 それならば、日本国内の「靖国参拝」についても、中国側は一言も抗議すべきではない。これも“内政干渉”に当たるからである。「靖国参拝」は、あくまでも日本国内の“問題”である。

 述べたいことは幾らでもあるが、いたずらに「日中友好関係」を損ねることはしたくない。 但し、今のような中国側の姿勢が続くと、反日の中国人の青年がどんどん増えていくのではないかと危惧する。 日中友好親善の精神から、それだけは止めてもらいたいと願うものだ。(2004年8月11日)

 後記・・・中国での反日騒動について、韓国のメディアは日本に“同情的”な報道をしたという。 今回、韓国チームも嫌がらせを受けたというから、日本に同情的になったのだろうが、昨今の日韓両国の友好親善ムードは顕著である。

 一昨年、日韓共催でサッカーのワールドカップ(W杯)が行なわれ、それが成功したことが遠因なのだろうか。 また、近年の韓国映画は素晴らしいものがある。「シュリ」のヒットに始まり、幾多の映画がわれわれ日本人を魅了している。

 最近では、韓国の男優、女優が日本で“モテモテ”でCMにも登場し、追っ掛けファンも出ているから微笑ましい。 日韓親善ムードが高まっているというのに、日中間の友好親善はどうなるのか。 日中両国民の納得いく形で、進展していってほしいものである。

 トップページに戻る