民主党は、メリハリのある“独自色”を打ち出せ!

1) 8月8日の衆議院解散から1週間がたった。総理主導の“小泉解散”だから、今のところ政府・自民党の勢いが良い。 郵政民営化法案に反対した自民党前議員(造反議員)の選挙区に、“刺客”候補者を次々に擁立するなどマスコミの話題を独占している感じだ。

 各社の世論調査を見ると、小泉内閣支持率は急速に上昇し、自民党支持率も民主党のそれよりも大幅に上回っている。“電撃解散”が功を奏しのか、郵政法案に反対した自民党内の造反勢力は防戦一方で、「亀井派」などは分裂の憂き目を見ている。

 9月11日の総選挙へ向けて、「小泉自民党」は絶好のスタートダッシュをかけたように見える。しかし、選挙戦の本番はこれからだ。序盤戦ではリードしていても、後半に逆転を食らうケースはいくらでもある。 自民党は選挙の争点を「郵政民営化、是か非か」に絞りたいのだろうが、国政選挙ともなれば、郵政問題だけが突出するものではない。

 衆院選(総選挙)は政権選択の選挙であり、各政党の全ての政策が俎上に載せられる。 自民党と、それに追随しているような(?)多くのマスコミが「郵政、郵政、郵政!」と騒いでも、郵政問題だけが国政選挙の争点に絞られることはない。郵政法案は解散の“きっかけ”にはなったが、それの是非だけが総選挙の帰趨を決めるものとは考えられない。

 現にこれまでの各社の世論調査では、国民の関心度が高かったのは年金や景気、福祉、諸々の行財政改革などであり、郵政民営化はそれほどの関心を集めていなかった。 しかし、今回の総選挙は「きっかけがきっかけであり、事態が事態である」だけに、郵政問題が大きなウェートを占めることにはなるだろう。

2) ところで、「小泉自民党」が花々しいスタートダッシュをかけたというのに、野党第一党である民主党の影が薄い。 解散直後は、自民党が事実上の“分裂選挙”を強いられることから、民主党は“漁夫の利”を得て、選挙戦は有利に展開するのではという見方が出ていた。

 ところが、各社の世論調査で小泉内閣や自民党の支持率が急上昇していることが分かり、民主有利という見方はにわかに後退している。 さらに民主党の存在感が、どうも弱い気がしてならない。選挙のスローガンも「日本を、あきらめない」というのだ。

 誰が日本をあきらめると言うのか! 日本を諦める人間など、ほとんどいないはずだ。ましてや総選挙という、多くの有権者が関心を示す“国民的行事”に、「日本を、あきらめない」とは余りに弱々しい標語ではないか(敗北寸前という感じだ)。誰がこんな消極的な標語にしたのか。

 選挙スローガンというのは、もっと前向きの積極的なものであるはずだ。 例えば「流れを変えよう」とか「みんなで前進しよう」とか、「公正な社会をつくろう」とか「豊かな日本をつくろう」とか「山を動かそう」とか、人を惹き付けるキャッチフレーズを用意するものだ。

 こんな地味な民主党のスローガンでは、国民は興味を示さないだろう。自民党が「改革」を前面に強く打ち出しているのに比べると、非常に見劣りがする。 しかし、選挙はスローガンだけで戦うものではない。問題は政策である。

「郵政改革」の土俵に引きずり込まれたら、民主党も他の野党も、自民・公明の与党連合に負けるだろう。従って、民主党は政府・自民党の弱い点を突いて勝負に出るべきだ。 例えば、外交問題・・・イラクからの自衛隊撤収を強く訴えたらどうか。

 アメリカ追随の“ポチ(犬のこと)外交”を展開している小泉内閣にとっては、痛いところだろう。あれほどアメリカの言う通りにしているのに、国連安保理常任理事国入りについては、アメリカから冷たい仕打ちを受けているのだ。 日本の“意地”と“プライド”を少しは見せたらどうなのか。

 中国や韓国とも上手くいっていない「小泉外交」は、今や手詰まり状態だ。そこには靖国問題があるから、首相の靖国参拝問題を突いて自民党と公明党の離反を図れば良い。 また、靖国に代る無宗教の「国立戦没者追悼施設」の建立を、国内外に約束したらどうか。

 国内問題でも、道路公団の民営化に伴って、民主党は高速道路料金の無料化を実現すると言ってきたではないか。道路公団については「談合事件」などで、ほとんどの国民が頭に来ているのだ。良いチャンスではないか。 以上、思いつくままに幾つかの例を挙げたが、民主党は自民党にはない“独自色”を鮮明に打ち出すべきだ。

 さもないと、「郵政改革」の土俵に上ったまま、民主党は“漁夫の利”を得るどころか、思わぬ敗北を喫するかもしれない。 9月11日までには、まだ時間がある。千載一遇のチャンスをものにするのも、逃すのも民主党の心がけ一つである。 (2005年8月16日)

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