1)マスコミの重大な責任
9月11日に行なわれた第44回総選挙(衆院選)は、日本の戦後政治史上(少なくとも、平成の政治史上)、特筆すべき出来事だったと思う。 それは単に、自民党の歴史的大勝利と民主党の惨敗という結果だけでなく、さまざまな問題、課題をわれわれ国民に提示したからである。
まず第一に、今回の解散・総選挙はよく行なわれる“7条解散”だったとはいえ、前代未聞の異例の解散だったからである。 何度も言ってきたことだが、政府提出の郵政民営化法案が「参議院」で否決されたにもかかわらず、「衆議院」が解散されたからである。
しかも、この法案はその前に、衆議院では可決されていたのだ! もし衆議院で否決されていれば、それを理由にして、政府は国民に信を問う形で、衆議院を解散しても何らおかしくはないだろう。 ところが、参議院には「解散」が無いから衆議院を解散したというのだ。こんな馬鹿げた事は初めてである。
ほとんどの国民とマスコミは、この事実を問題にしていないようだ。はたして問題はないと言うのだろうか? とんでもない! 私は大問題だと思っている。 今後、総選挙の無効を訴える行政訴訟がどんどん出てきてもおかしくはないし、議席を失った「前衆議院議員」が“地位保全”の訴訟を起こしても、何らおかしくはない。
戦後の憲政史上、これほど道理に合わない無茶苦茶な解散はなかった。(解散に署名を拒否した閣僚が罷免されたのも、初めての出来事だが・・・) ところが、既存のマスコミはこの問題を指摘して批判するどころか、逆に頬被りを決め込んで解散・総選挙に有頂天になった。なんと問題意識の希薄なことか。
こうしたマスコミの姿勢が、小泉内閣と自民党を有利に導いたことは間違いない。 その後の状況は言わずもがなである。“刺客”候補の報道などに熱中し、小泉政権の思惑どおり今回の解散を「郵政解散」と定義付け、国民をその方向に誘導して自民党圧勝の下地を作った。 権力がマスコミを“ちょろい”と思ったことは間違いない。
2)参議院は無用というより、有害である
第二に、今回の解散によって、参議院の不思議な存在が浮かび上がってきたことだ。 先ほども述べたとおり、参議院で法案が否決されたのに、衆議院が“とばっちり”を受ける形で解散されたことは、参議院はどういう位置付けなのかという問題意識を持たせるものだ。(マスコミのように問題意識のない人は、これ以上読むのを止めてほしい。)
参議院には「解散」がないから、衆議院を解散した・・・? それならば、どのような政治状況になろうとも、参議院議員の任期6年間は“不動”のものだから、私に言わせれば任期の保証の面では、参議院の方が衆議院よりはるかに上位に立っていると考えざるを得ない。 それが参議院の位置付けなのだろうか?
おもしろい話しがある。 参議院の自民党議員の造反で郵政民営化法案が否決され、衆議院が解散になったので、今度再び参議院で法案を否決すると、更なる国政の混乱を招いて「参議院無用」論が出てくるから、今度は法案に賛成しようという話しだ。
いったい、参議院は何のためにあるのか!? 今回、国政の混乱(それは、小泉総理の解散強行のせいだが)を引き起こしておいて、次は国政の混乱を引き起こすのを止めようというのか。“二度手間”をかけるために参議院は存在するのか。 そんな参議院なら、まったく無用だ。否、無用と言うよりもむしろ有害である。
郵政民営化法案は、とっくの昔に衆議院で可決されていたのだ! その善し悪しは別として、衆院選で「民意」が分かったから今度は賛成するというのでは、参議院は自らが「民意」でないことを自白したようなものだ。
参議院の毎年の経費は約410億円だが、今回は、衆院選の引き金をひいて780億円の選挙経費を使わせたという。 二度手間で国費の無駄遣いが得意な参議院は、“金食い虫”の面目躍如と言ったところだ。
私はこれまでに何度も言ってきたが、参議院の廃止こそ最大の政治改革である。 もし、参議院に存在価値があるとすれば、それは将来、日本が「道州制」を導入した場合、参議院が今と違った形で“第二院”として残ることだけである。
国政の課題はいろいろあるだろうが、自民党の歴史的大勝利、与党勢力が衆議院で3分の2以上の多数を制したことで、いよいよ「憲法改正」が目の前に見えてきた。 憲法9条の問題などいろいろあるが、21世紀の最大の政治改革は参議院の廃止である。
無用の長物と言うよりも有害な“金食い虫”と化し、国政に混乱と停滞だけをもたらす参議院を廃止すること、そして、日本がすっきりとした「一院制」の国に生まれ変わるように、憲法が改正されることを心から願うものである。 (2005年9月17日)