「老大国」から「老衰国」にならないように、活性化を!
1) 1月末の新聞に、日本の人口は2006年をピークにして、その後は減少に転じるという記事が出ていた。 これは国立社会保障・人口問題研究所が、2050年までの人口変動を予測した「日本の将来推計人口」によるものである。
それによると日本の総人口は、2006年に1億2774万人でピークを迎え、その後、出生数よりも死亡数が多くなって人口は減少し、2027年には1億2000万人、2040年には1億1000万人を下回り、2050年には1億59万人になるという事である。
2000年の総人口が1億2692万人だから、現時点(2002年)から4年後までには数十万人しか増えず、その後はどんどん減少していくという事だ。 これは勿論、出生数が大幅に落ち込んでいるためである。 女性が一生の間に産む子供の数を示す合計特殊出生率は、2000年の1、36が、2007年には1、31まで低下するという。 驚くべき少子化現象である。
2) 戦後一貫して増加してきた日本の人口が、数年後から減少に転じるのは間違いない。 これは日本が、「老大国」になった証しである。人口の減少が良い悪いというのでなく、避けられない状況になったという事である。あえて「老大国」と言わせてもらったのは、日本が今も「経済大国」と一般に言われているからである。
問題は、日本が「老大国」から「老衰国」になりはしないかという、心配である。 少子高齢化は避けられない状況だ。 女性の晩婚化や平均寿命の伸びなどで、これは明らかである。しかも今や、女性が若い年齢で結婚しても、子供の数は1人かゼロのケースが多いという。 戦前のように、「産めよ増やせよ」と言ったって、勿論増えるわけがない。 児童手当を少しばかり拡充したって、子供が増えることはない。
3) 子供の数を増やすことを、ここで論じるつもりはない。問題は、このままいくと、日本は「老衰国」になりはしないかという事である。 どのような国家でも、成長し発展し全盛期を迎え、やがて徐々に衰退しく。中には滅亡していく国家もある。 これは避けられない歴史的現実である。要は、衰退をどの程度に抑えるかという事である。
かつて世界的に隆盛を極めたイギリス、フランス、スペイン、オランダ等々も、今や「老大国」や中級国家になっている。 日本も戦後、奇跡の経済復興を遂げて「経済大国」になったが、バブルの崩壊や経済の混乱等で、今や「老大国」となった。 このまま衰退を続けていけば、間違いなく「老衰国」になってしまう。
4) 「老衰国」に陥らないためには、何が最も必要なのか。人によっていろいろ意見や考えがあるだろうが、私は、「活性化」以外にないと思う。人口の減少などは、それほど問題ではないと思う。 前述した「日本の将来推計人口」によれば、2050年には、総人口に占める老年人口(65歳以上)の割合が、35、7%にも達するという。 3人に1人以上が高齢者という事だ。周りを見れば、まるで『老人だらけ』という感じである。 これは「活性化」の雰囲気には馴染まないかもしれない。
しかし、人口が多過ぎても問題である。ご承知のように、中国は貧困化を防止するために、「一人っ子」政策で人口の増加を抑制してきた。 アジアを中心に、人口が多過ぎて、今でも貧困と飢餓にあえいでいる国が少なくない。
従って、人口の減少をそれほど問題にすることはない。「活性化」とは、もっと他の要素で考えるべきことだと思う。
5) 「活性化」については、いろいろな意見があると思う。単純に言ってしまえば、まず「経済」の活性化がある。物や金がどんどん流通することは、現実生活では確かに活力を生み出すだろう。 また、経済面での「構造改革」や「規制緩和」も、重要な課題と言えるだろう。 そして、21世紀の日本が直面する「IT革命」は、是が非でも成功してもらわなければならない。
その他、「政治改革」「行政改革」「財政改革」「教育改革」等々がある。 これらは、政治、行政、財政、教育等の制度改革である。 しかし、制度改革とはいえ、根底には、日本人としての活性化が求められているはずである。
諸々の制度を変えるという事は、それによって全体が活性化されなければ、あまり意味がない。ただ制度を変えればいい、というものではない。社会全体が活性化されて、初めて改革が成功したという事であろう。
6) 私が主張している「憲法改正」も、現実とあまりに矛盾、乖離した憲法を変えるだけという事ではない。 それによって、日本人(日本国民)の活性化が蘇れば良いという意味である。
また、「首都機能移転」も大きな課題である。 すでに国会でも審議が始まり、そのための作業が進んでいるようだが、東京一極集中の弊害を是正していく必要があると思う。それに伴って、当然これまで以上に、「地域振興」が積極的に進められていくべきだろう。 さらに言えば、「道州制」の導入も検討されるべきだと思う。
こうした「憲法改正」や「首都機能移転」等は、議論が大きく分かれるところだが、結論から言えば、日本人(日本国民)の活性化につながるのであれば、前向きに対応していくべきではなかろうか。
7) 以上、いくつかの課題を挙げてみたが、要は日本が「老衰国」にならないための、キーポイントと考えてもらえばいい。この他にも、多くの課題があると思う。 冒頭で取り上げた「少子高齢化」の問題も、高齢者の社会参加が、もっと大幅に実現されて然るべきである。
今や65歳以上でも、健康で活力のある高齢者が多い。 老年を65歳で区切るのが適正か、と考えたくなる。70歳に引き上げてもおかしくない、という社会環境になりつつある。 長寿国・日本でますます高齢化が進む中、60歳以上の人達に対して、仕事など社会参加を受け入れる体制を整備していくべきではないか。 そうする事によって活性化が生じ、日本が「老衰国」に転落するのを防ぐことになるだろう。
日本社会の高齢化が避けられない以上、高齢者に対する「窓口」を大幅に広げていくべきである。 このまま推移していくと、生産年齢人口(15〜64歳)も年少人口(0〜14歳)も、どんどん減少していく。増えるのは老年人口だけだ。 従って、社会や国、地方自治体がもっと積極的に、高齢者の活用と社会参加に真剣に取り組むべきだと思う。 それと同時に、少子化に歯止めをかける強力な施策を、なんとしても実行して欲しいと願うものである。(2002年2月14日)