1) 私がホームページに興味を持ったのは、3年ほど前のことである。 その頃、私はフジテレビの「視聴者なんでもサービスセンター」という部署で仕事をしていた。 ここは視聴者の問い合わせに答える所で、ありとあらゆる質問が寄せられてくる。
中でも、タレントに関する問い合わせは多く、“キムタク”がどうしたとか、松嶋菜々子がどうしたとか、藤原紀香がどうしたとかいう質問がよくある。 こういう時は、タレントのホームページを開くのが便利で、そこには彼らの動静や予定が良く書かれている。それをもとに、視聴者の問い合わせに答えることが数多くあった。
また、会社のホームページも日進月歩で充実していき、フジテレビの番組の内容や放送予定などが、一目で分かるようになった。 それをもとにすると、スピーディで詳細な応答ができるようになり、視聴者にも喜ばれることが多かった。 ホームページとはこんなに便利なものかと、私はその思いを深めるようになっていった。
こうしたことから、ホームページに慣れ親しんでいったのだが、その内に、私も将来、自分のホームページを持ちたいという願望が高まってきた。 そして、定年が近くなってくると、その願望は更に強まり、定年後にはなんとしても実現させようという決意に変わった。 こうして、ホームページと私との係わりが、現実のものとなっていったのである。
2) しかし、60歳の定年を迎えた後、いざホームページを作ろうと思っても、まったく手掛かりがなかった。 もともと機械やテクノロジーには弱い人間だから、どうして良いのかさっぱり分からない。 定年前に購入したパソコンの使い方も、ほとんど未知である。 なにはともあれ、パソコンに親しもうと、数少ない友人とのメールからスタートすることになった。
メールに慣れていく内に、私にとって運が良かったのは、息子(長男)がホームページ作成の経験者だったことである。 それから私は、絶えず息子に教わりながら、ホームページを作っていくことになった。 しかし、息子に言わせれば、私は「非常に覚えが悪い」ということであった。
難航しながらも、私は一つ一つ文章を打ち込んでいった。 そうする内に、だんだん自信が湧いてくるように感じ、ペースが早まっていった。 しかし、ある時、私は予期せぬ大失敗を侵してしまう。
ある政治家(野中広務氏)に関するエッセイを、私は丸3日かけて完成させた。 これは非常に長文のエッセイだったので、出来上がった時は、「やったぞ!」と叫んだほどである。 その文章をリンクさせようとしている時に、とんでもない失敗が起きた。
他のページのリンクが不備だったので、張り替えをしている内に、そのエッセイがあっという間に消えてしまったのである。一瞬の出来事だった。 私は呆然として、目の前が真っ暗になった。後の祭りである。 がっくりと落ち込んで、それから1日、私は何もやる気になれなかった。
3) ハイテクは実に便利なものであり、また素晴らしいものだが、一瞬の内に自分の労作が消滅してしまうのは、なんとも空しいことであった。 それから私は、リンク作業の時は、慎重の上にも慎重に行うようになった。 しかし、かのエッセイは長文であったこともあり、二度と甦らないかもしれない。
述べたいことが他にも沢山あったので、私はどんどん書き込んでいったが、23本目が終わったところで、首尾良く「Yahoo!ジオシティーズ」に登録することが出来た。 それにしても、ホームページとは素晴らしいものである。自分が述べたいことを、これほど自由自在に言えるメディアが他にあるだろうか。
第一に、ホームページは、テレビの「生中継」みたいなものだ。 いつでも自由に、中身を変更したり、修正したり、補強したりすることが出来る。 書籍や雑誌、新聞は、そうはいかないだろう。 極めて“同時性”が高いのである。 テレビの「生中継」と同様に、臨機応変に対応できるのだ。
第二に、このホームページは“無料”だということだ。送り手も受け手も、ハードさえあれば無料でアクセスできる。 これは、普及の面から見ると、無限の可能性を秘めていると言える。 ホームページのサービスは、スポンサーの広告料で成り立っているから、民放のテレビ、ラジオと同じである。
第三に、送り手と受け手の“双方向性”が確立していることだ。 私はまだ「掲示板」を持っていないが、送り手と受け手が、いつでも自由に意見を交わすことが出来る。 これも、ほとんど“同時性”が可能なので、活き活きとした対話が生まれるだろう。
第四に、なんと言っても“普遍性”があげられる。 ワールドワイドだから、世界のどのような所とも直接、交流を結ぶことが出来る。
以上述べたことは、当たり前のことだろうが、その他にも利点はいくつもあるはずだ。 ホームページが、途方もない発展性を持っていることは間違いない。
4) ところで、私が居住しているホームページのコミュニティは、ほとんどが若い人達のようだ。小説や日記、エッセイなどが散見される。 私も息抜きにコミュニティを散歩するが、若い人達の息吹きが伝わってくるようだ。 みんな、気楽にホームページを楽しんでいるようである。
大上段に振りかぶって、主張や意見を述べ立てているのは、コミュニティにはどうやら私ぐらいしかいないようだ。“変なおじさん”がやって来た、と思われているかもしれない。 御近所さんには迷惑をかけたくないが、現実の我々の住居と違って、ここはいたって自由で、干渉されないのが良い。
こうして、ホームページのコミュニティ生活が始まったわけだが、居心地が良いので、私はいつまでも居住していたいと思っている。 他のコミュニティにも散歩に出かけたり、いずれは話し好きの人達と、世間話や議論を交わすようになるかもしれない。 それもまた、楽しみだと思う昨今である。 (2002年3月8日)