ゴルフと私

1) 私はゴルフはあまり好きでない。要するに下手だからだ。 今までのハーフの最高が51で、グロスではもちろん100を切っていないし、スコアは恥ずかしくて言えない。 だから、ゴルフをするにしても、よほど誘われないとやる気がしない。

 それでも一時期は、よくコースに出た。 10年ほど前、テレビ局の報道から「電波企画部」という所に異動で移った際、私の上司がゴルフをしようと盛んに誘ってきた。 それまで数回はやったことがあるが、まったく“おつき合い”程度だったので、それならばということで、本格的に始めることにした。

 クラブなどゴルフ用具を新しく買い直し、“鳥かご”での練習も気合いを入れてスタートした。 しかし、50歳を過ぎてからのスポーツというのは、なかなか上手くいかない。 遅々として上達しないので、時々やる気をなくすこともある。 しかし、新しい部署では、その筋の“お客さん”が多いので、しぶしぶコースに出るようになった。

 最初の頃のスコアなんか滅茶苦茶なもので、140台がいいところだったが、それでもやっている内に、120位いが出るようになってきた。 そうなると結構おもしろくなるもので、自分の方からコースに出たいと思うようになる。 社内のコンペにも積極的に参加するようになった。

2) そうこうする内にスコアも110台に突入し、いよいよやる気になってきた。 ある時、報道OBのコンペがSゴルフ場で行われた。 ここはコースが比較的短く、素人にはやりやすい所である。

 前半のアウトでは、あまり調子が良くなく60位いで回ったと思うが、後半のインに入って、やや調子が戻ってきた。いつもの“大たたき”がない。 14番ホールぐらいでボギーでまとめた。 素人にとってのボギーというのは、プロの場合ならバーディーぐらいの価値がある。私は気分を良くした。

 その後のミドルホールで、第二打をタラコの3番アイアンで打ったら、見事にパーオンした。 そして、ツーパットでなんなくパーをセーブした。私としては、超上出来である。

 ところが、その後の2つのミドルホールでも、第ニ打がことごとくパーオンしてしまった。バーディーこそ取りそこなったが、いずれも悠々とパーをセーブした。 3連続パーということである。 私は自分が信じられなかった。どうしてこんなに簡単にパーが取れるのかと、信じられない気持だった。 ゴルフって、結構やさしいもんなんだと思ってしまった。 

3) これが、素人の浅はかさだったのだ。 3連続パーを記録した後、私はハーフで50、グロスで100を、簡単に切ることができるものと思い込んでしまった。 ところが、その後が地獄の様相を呈してきたのである。

 立て続けにコースに出たが、一向にスコアが伸びない。3連続パーどころか、連続パーも取れない。 3連続パーを取ったあの時のイメージを、一所懸命頭の中に想い起こさせてプレーをするのだが、ボールがなかなかパーオンしてくれないのだ。

 多分、私は焦ってしまったのだ。スウィングも大振りになってしまったのだろう。 私はだんだんイヤになってきた。“あの時”のことは、単なる“まぐれ”だったんだと思えてきた。 そうだ、“まぐれ”だったんだ。まぐれとは奇跡と同じようなものだ。 奇跡は二度と起きないのだ。スコアが壁にぶち当たってから、私は次第に憂うつになり、やがて諦めの境地に入っていった。

4) それからというもの、ゴルフってこんなに難しいものかと悟るようになった。 プレーをする時も、スコアのことは考えないようにして、「まあ、これは歩き回るんだから、健康にいいんだ」と自分に言い聞かせて、楽しめばいいじゃないかという心境になった。

 実際、私のような下手くそは、プロに比べると3倍は歩いているだろう。 ボールが左や右へ大きく外れ、崖を転がり落ちてとんでもない所に行ってしまう。 こうなると悲劇だ。地獄の底からはい上がろうと、必死になって打つのだが、またボールが転がり落ちてきて、もっと遠くへ行ってしまうこともある。

 雨の日はもっと不幸だ。 崖の下から林を抜こうとして打つと、ボールが木に当たって跳ね返り、もっと打ちにくい所に転がってしまう。 雨にずぶ濡れになりながら打つと、ボールはまた木に当たり「キンコーン」と鳴り響く。また打つと、また「キンコーン」と鳴り響く。

 こうなると、何万円もプレー代を払って、どうしてこんなに苦労しなくちゃいけないのか、と思ってしまう。馬鹿々々しくなってくる。 難行苦行もいいところだ。 坊さんの難行苦行はタダだけど、こっちは何万円も払ってるんだ! もう二度とやるもんかと思ってしまう。

5) ゴルフ場は、右打ちように設計されていると聞いているが、そうなのだろうか。 私のようなレフティは、もともと不利なのだろうか。 コースに出ている時は、まったくそう感じない。 しかし、キャディさんが「スライス」「フック」と言う時は、もちろん右打ちの人のために言っているので、レフティの私は、全て逆に理解しないといけない。 これが実にめんどくさい。

 グリーンの上では、パットの時に私は「右? 左?」とキャディさんに聞く。 「スライス? フック?」と聞くと、私がレフティなので、キャディさんも混乱してしまうからだ。 そんなことはないのだが、レフティだと、なんだか“差別”を受けているように錯覚してしまうことがある。私が下手だから、余計そう感じてしまうのかもしれない。

 レフティでも、フィル・ミケルソンや羽川豊さんのような、有名なゴルファーがいるのだから心配はないのだが、野球に比べるとどうしても寂しくなる。 野球では、左利きの方が相当有利だからだ。 左打ちを勧めるコーチも多い。一塁ベースに近いし、現にイチローや松井秀喜のような大選手が大勢いる。

 自分の下手くそを棚に上げて、いろいろ述べ立てたのはあまり良くない。 少しは反省するとして、今後はできるだけ上手に、“ゴルフ”と付き合っていきたいものだ。 要するに、気分転換と健康のために良ければいいのだろう。 (2002年3月29日)

(後記・・・ちなみに、5月末のコンペで、ハーフ50と自己ベストを更新した。)

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