1) 最近の北朝鮮の嫌な問題を取り上げていると、陰々滅々とした気分になってくる。 そこで、たまには明るい話題でもやらないと、気分が晴れない。 先日、テレビのワイドショーを見ていたら、フリーのタレント・八木亜紀子さん(37)が結婚したということだ。
フジテレビのBS放送でやっている、テリー伊藤氏とのトークの中で、「入籍しました」と大きな口を思いっきり開けて、嬉しそうに笑っていた。 その模様を朝のワイドショーが放送していたのだが、他人事とはいえ、幸せな微笑ましい話題である。
八木亜紀子さんは、インターネットで調べてみたら、1988年にフジテレビのアナウンサーに採用されたという。十数年前のことが思い出されてきた。 私も当時、フジテレビの社員だったので、八木さんと河野景子さん、有賀さつきさんという、素晴らしい美人アナが入社したことを覚えている。
そこで、八木さんの結婚というお目出度い話しだから、しばし北朝鮮のことは忘れて、楽しい話しでもしていきたい。
2) 十数年前のあの頃、フジテレビの報道局にいた私は、夜のニュース番組のプロデューサーをしていた。 要するにニュースの編集長ということで、毎晩毎晩、四苦八苦でニュースに追われていた。メインキャスターは木村太郎さんだった。
そんな時期のある日、週に1〜2回アナコメ(ニュース原稿)を読むということで、新人の八木アナウンサーが報道局に現われた。 アナコメを読むのは、他にもしっかりした男性アナがいるのだが、女性アナも勿論必要である。 その人のやり繰りは、アナウンス部で大体決められるのだ。
さて、八木アナの第一印象というのは、“ほんわか”としていて全く緊張感がないのである。 報道の現場とは、ニュースに追いまくられていて絶えず緊迫している。ところが、彼女の雰囲気というのは、とてものどかで“田園の乙女”という感じだった。
「八木で〜す。よろしくお願いしま〜す」と言うのだが、どことなく間延びしている。 美人に越したことはないのだが、この子はちゃんとアナコメが読めるのだろうかと、なんとなく不安になってくる。
新人の女子アナは、最初の頃は主にトピックスのようなものを読むから、実はそれほど心配はいらない。 八木アナも無事にこなしていたようだ。彼女は明るい性格だから、小さな失敗ぐらいは、全然気にしないタイプのように見えた。
3) ニュースの現場というのは、先程も述べたように、とにかく「追いまくられている」感じなのだ。 特に放送時間(オンエアタイム)が迫ってきて、新たなニュースが入ってくると「差し換え、差し換え」の連続となることがある。 非常に緊迫してくるのだ。
そうした中で、ふと八木アナが目に入ると、彼女は“ほんわか”としていて、なんら緊迫感がないようだ。 ニュースデスクのドタバタ劇には、まったく「どこ吹く風」という雰囲気である。 勿論、彼女には直接関係のないことだが、そういう風情が目に入ると、こちらは余計にイライラした感じになってしまうのだ。 要するに、報道の現場とは、皆が忙しそうにしていないと駄目という感じなのである。
最初の頃は、八木アナを見ていると苛ついていたが、その内に彼女の風情にだんだん慣れてきた。 不思議なもので、2〜3ヵ月も経つと、八木アナの“春風”のような雰囲気に、心がなごむようになってきた。「忙中、閑あり」ではないが、「八木ちゃん」と声をかけたくなるほどだ。
そのうちに、彼女も報道の現場に馴染んできたようで、同輩のスタッフであるA君に対して「ねえ〜、よしき〜(良樹)」と声をかけたり、雑談もするようになった。 それは良いのだが、プロデューサーである私に対しても「ヤジパパ」などと呼ぶようになった。
妙に馴れ馴れしいのが少し癪にさわったが、若い女の子だからまあいいだろうと思うものの、どこか“異星人”のような感じがした。 報道の修羅場には、まったく縁がないという趣きなのである。
こちらも八木アナに慣れてきたので、ある時、「今年入った女子アナはみんな美人だから、会社は“頭”より“顔”で採ったのかね」と、相当キツイことを言ってやったら、さすがにその時は彼女もムッとした顔付きになって、「そんなことはないですよ」と抗弁していた。
4) 八木アナが夜のニュース番組で、アナコメを読んでいたのは半年ぐらいだったと思うが、その後は職場での関係はまったくなくなった。 彼女はこの後、いろいろな番組に出ていたが、特に朝の情報系の番組での印象が良かったと思う。
“ほんわか”とした雰囲気と温かみのある語り口が、視聴者の人気を高めていったようだ。 彼女はその後も、ニュースのメインキャスターをやっていたが、どうも緊迫感が伝わってこない感じで、やはり情報系やワイドショーの番組の方が向いていたと思う。 彼女の持味はなんといっても、温かさと明るさ、親しみやすさだろう。 映画に出ても、その持味が生かされていたようだ。(彼女はやはり“癒やし系”のタイプなのだろう。)
八木アナと同期の河野景子さんは、横綱・貴乃花関と既に結婚、また有賀さつきさんは、フジテレビの和田圭解説委員と最近結婚した。“花の3人娘”と言われた彼女らが、これで全て結婚完了というわけだ。 美人女子アナ3人娘も、既に37歳だという。37歳とは“熟女”の盛りだ。
十数年前のことを思い出すと、あの頃は日本経済も輝かしい全盛期だったと思う。テレビ局もまだまだ伸び盛りだったが、最近は経済もテレビ局も難しい局面に立たされているようだ。 しかし、美人女子アナが熟女になるように、日本の経済も社会も熟成していっているものと期待したい。
構造改革が叫ばれていようとも、戦後日本が築いた“底力”は、まだまだ捨てたものではないはずだ。 熟成の中から、新たな力が湧き出ずることを願わずにはいられない。 八木さんのお目出度い話しをネタにして、勝手気ままな雑文を書いたことをお許し願いたい。 (2002年10月23日)