はじめに

アメリカのドラマや映画で事務所などに忍び込むシーンがあります。 そして目的のファイルを素早く抜き取って逃げて行きます。 日本のドラマでは絶対にありえないシーンですね。

アメリカでは高校でファイリングについて学びます。 書類の作り方、書類をどのようにファイルするのか、どのように分類するのか。 ちゃんと統一したファイリングを学ぶのでどこに忍び込んでも目的のファイルを 拝借するということが可能なのです。 ベビーシッターがどの家に行ってもすぐに仕事ができるのも、 台所の物の置き方(整理法)がどの家でも同じだからだそうです。 秘書が辞めてあるいはクビにして、新しい秘書が来ても、 秘書の休暇中に代役が来ても、書類をコピーする枚数が判ればどのやうに 書類を処理しているかが判るそうです。

ファイリングの基本は、統一された方法で見出しを作り、誰でも検索できることです。 ファイリングとは計画的に文書をとっておく制度を意味します。 このコラムは、あくまで学生がファイリングの基本に触れるという前提で 書かれていますが、組織の中でも通用するような知識を記述しておきます。

似て異なるもの

“似てると言うことは違うということです” 世には“◯◯(ファイリング)法”など提案される物がいろいろあります。 ここでは有名な2つの方法を否定します。 どちらの方法も個人で使う場合には有効な方法です。 ただし、 複数のユーザが共有できるファイリングではない という意味での否定です。

1つ目は少し古いですが、fILOFAXブームを作った(と言われている) 山根一真氏の袋式ファイリング。 この方法の問題は 自分が思い付いたキーワードを見出しに使う という点です。 そのため、他の人が検索しようとした場合に違うキーワードで探してしまうことになります。

2つ目は、 野口悠紀雄先生の“押出しファイリング”方式。 この方法の問題は ファイルの位置がユーザの利用度合に依存する という点です。 つまり、ファイルがどこにあるか、そのユーザにしか判らないのです。 もっとも、そのユーザもよく使うファイルが どちらかの端に近い位置にあるということしか判りません。

梅棹忠夫氏は1969年時点の出版(知的生産の技術 4-00-415093-0)で すでに袋(封筒)に入れてファイルするという方法を否定しておられます。 ふるい紙袋を利用しているにで、まことにぶざまなものであった。 この方法もまた、保存にはむいていても、日常の文書管理としては、 いい方法とはいえない。

道具

ファイリングを行うにはいくつかの道具が必要です。 A3よりやや大きめの紙を折り曲げたやうなフォルダと、 それを入れるファイルボックスかファイルキャビネです。 フォルダは1枚の紙を折っただけのようなものですが、 似た書類をまとめ、保護し、フォルダにタイトルを書くことで中身をはっきりさせ、 書類の大きさにかかわらず同じ大きさのファイルとして並べることができます。

フォルダは大量に使うことになるので高いものはお勧めしません。 わたしは、 KOKUYOの A4-IFK を箱で購入しています。 後で述べますがフォルダの色は何でもかまいません。 特に理由がないのであれば一つの色にしておきましょう。

フォルダはそのままでは立てて保存出来ないので、 フォルダが少ない間はファイルボックスがコスト的にもお勧めです。 机の一番下の引出しにファイルボックスが入る場合はそこに入れましょう。 ハンギングフレームが付いているとラッキーです。ハンギングフォルダを入れ てそこにフォルダを立てましょう。

スペースと予算があればファイルキャビネも使えますが、ほとんどの場合スチール製です。 オフィスには置けても、家庭に置くには美しくないかもしれません。

ファイリングの方法

立てておく(置く)

フォルダは机の上などに水平に積んではいけません。 積んだフォルダは検索することが出来なくなります。 ファイリングボックスやファイルキャビネに垂直に立てておきましょう。

はさむ

新しい書類が出来たらフォルダにはさみます。 はさむフォルダがないときは新しいフォルダにはさんで見出しを鉛筆で書きます。 鉛筆を使うのは、処理が終わって不要になったフォルダを再利用するためです。 フォルダにはさまないまま書類を置いておかないようにします。

処理する

やらなければいけない(仕)事が発生したら、 その(仕)事に関する書類をいれるフォルダをつくります。 小さな(仕)事なら、“処理中”というフォルダにまとめて入れてしまってもいいでしょう。 そうすると仕事は、処理中のファイル(またはその中身)を減らすということに 抽象化 できます。

見出しの付け方

“太ったファイルは仕事の友達”と言う言葉があります。 フォルダに書類やメモをどんどんはさんで行きましょう。 最初は“授業”とか“卒業研究”と言う大枠の見出しを付けたフォルダに関連 するものをはさみます。その中から細分出来る物がでて来るので、それを別ファ イルに分けていきます。

“その他”と言う見出しのフォルダは2つ以上作っては行けません。 2つ以上あると、「あのメモはどちらのフォルダに入れたかな」となってしま います。

色に頼るな

ファイリングに限らず、色に頼るのは止めましょう。 赤色は◯◯関係、青色は××関係とするのはよくありません。 “赤色がないからとりあえず緑色のでいいや”となった瞬間に色に頼る分類は 破綻します。

元の場所に戻す

ファイルボックスなどからフォルダを出したとき、 使い終わったら必ず元の場所に戻しましょう。 元の場所に戻さないと、ファイリングシステムは破綻してしまいます。