旅の友に Moleskineと新しく買った何冊目かの知的生産の技術(4-00-415093-0)を持っていきました。

この本は 1969年7月21日発行、1984年の36刷を1985年3月7日に始めて購入しました。 今回購入したのは、2003年の73刷です。

西尾忠久氏のワープロ書斎術(4-06-145767-5)には 『知的生産の技術』の「あそこ」として、 かなタイプがワードプロセッサに書き改めているか確認したというくだりがあります。 しかし、増刷しても版を改めていないので、内容は出版当初のままです。

「知的生産の技術」の出版当時は、まだデータを電子可読な状態にすることは 難しかった時代です。 しかし、あたらめて読み返してみると現在でも通用するアイデア、 あるいはこの本の出版以後に商品化されたものを発見することが出来ます。

発見のノート(p.30)
この条件はまさに Moleskine です。
袋式ファイリングについて(p.83)
まことにぶざま、 保存にはむいていても、日常の文書管理としては、いい方法とはいえない。
アドレスカード(p.159)
現在なら Rolodex あるいは vCard でしょうか。
日記は自分への業務報告(pp.165-170)
4-06-272201-1 4-492-09221-8 などを参照。
手紙の例文カード(p.154)
手紙を書く為の「(女性名)の代筆」というソフトウェアが商品化されています。
各学部共通の原稿書きを訓練する機会(p.179)
これは各方面で現在行われています。

そして、この本のもっとも進んでいた部分と言えば、“あとがき”でしょう。 現在でも、国語という名で国文学の授業が行われ、日本語の言語体系について 系統立てて学ぶ機会がほとんどありません。この本の出版時点で、“文章の教育”として情報工学のなかの情報科という提案がなされています。

21世紀になって“一般教科情報”なる科目ができました。名前には期待しましたが、高校で採用されている(検定に合格した)教科書を見て失望しました。情報とは名ばかり、デファクトスタンダードになりえない特定企業のソフトウェアに依存した話が随所にみられました。

日本国においては(実際は違うが)単民族・単言語で、海外からの移民もほとんどなく(難民もほとんど受け入れない)、言語教育に力を入れずとも問題がなかったのでしょう。この状態が続く限り、国文学ではない国語(日本語)の授業が(力を入れて)行われることはないのかもしれません。