この企画の発案者の一人にお話を伺ったところ、
「どのようなテーマを取り扱っている回であれ、基本的には人に読んでもらって同意をもらう為のものではなく、
独り善がりで笑えるような文章で全然オッケーなんだよ」と言うような趣旨のコメントをいただいた。
それにしたって・・・「懐かしい匂い」とはまた、個人の五感、つまりは主観基づいて書くしか方法の無い、何とも厄介な議題である。
まぁ、こんなことで皆様の共感を得られる文章を書こうとはカケラも思わないが・・・。
だが、取りあえず独り善がりでも良いので文章を書こうと頭で構想を練っていると、かなり危険をはらんだ議題であることに気付いた。
つまり、俺個人の人格を疑われる危険性である。
例えば、俺は剣道経験者である。「懐かしい匂い」と聞いて真っ先に思い浮かんだことはあの剣道独特の匂いである。
今でも町の道場なんかの近くを歩いて、その匂いを感じた時には懐かしさを覚えるのである。
しかし、あの匂いなんかは剣道経験者以外には不快以外の何物でもないではないか。
現に俺だって、柔道の匂いを感じた時には不快感を覚えるのだ。俺でさえそうなのに、これが剣道未経験者だったら・・・。
想像してみたまえよ、諸君!二十歳越えた大人が中学校の剣道場なんかに忍び込んで、おもむろに小手を取って匂いを嗅ぎ出して
「おぉ〜ぅ、ノスタルジィ〜・・・」
などと言ってたらどうするね!?俺ならうっかりそっとしといてあげるね。そしてその人とは二度と分かり合えることは無いんだろうね。
・・・・ちなみに、以上の話はあくまで例え話であって、俺個人が実際に行っている行動ではないので誤解の無きようお願いいたします。
しかしまぁ、以上のようのことが容易に想像できてしまうと言うことは、「匂い」について語ることは
個人の人格差別につながる危険性も多分に含んでいる、と言うことはご理解いただけたと思う。
つまり、俺にとっては「懐かしい匂い」であっても、皆様にとっては「こいつにとっては懐かしいらしい臭い」であることが往々にして有り得るのである。
あともう一つ、俺にとっては「懐かしい匂い」だが、
皆様にとっては理解の範疇を超えている「におい」(「匂い」でも、「臭い」ですらも無い)というものもある。
ここでまた、俺個人の過去を例にとってお話することをお許しいただきたい。
俺は高校時代ちょっと特殊な部活に入っていて、物理室を高校時代の活動拠点にしていた。
そこは西向きの部屋で、夕方になると西日に悩まされたものである。だが広く、電気も水道もガスもあり、
あとは夜にセコムさえ鳴らなければ一生暮らしていけるだけの快適な場所だったのである。
(まぁ、我々が私物を持ちこんで我々の暮らしやすい環境に仕立て上げた、と言う説もあるが・・・)
しかしそこに無かった生活必需品も幾つかある。その一つがタオルだった。
物理室の水道は窓に面していて、その空間において
手が濡れるのは水道利用時のみだったこともあり、我々がタオル代わりに選んだものはカーテンだった。
西日に当たられ、日焼けしながらも日光の温かみを残して俺達の濡れた手を待ちつづけるカーテン・・・
そう、何を隠そう、「懐かしい匂い」と言う議題を聞いて俺が小手臭(コテクサ)の次に思い浮かべたのはこのカーテンの匂いだったのである。
皆様、理解できますか?出来るわけないでしょう。嗅いだことが無いんだから。
理解は出来ないでしょうが、皆様には「なんかこの筆者、おかしくねぇか・・・?」と言うことだけは御理解いただけると思う。
大体にして、「懐かしい」と言う単語を使っている時点で、今回の議題は個人の過去の経験に起因する匂いを連想し、それを文章にするしかない。
その人その人で過去に歩んできた道が違うのだし、何に対して常日頃興味を持っているかで
連想される「匂い」と言うものに違いが生じるのも当然だろう。
しかし、今回の「懐かしい匂い」と言う議題に対して俺の感じたことは、
「ただたんに強烈な匂いよりも、過去において日常的に嗅いでいて、かつ、今では滅多に、または全く嗅ぐことの出来ない匂い」
と言うものに対して懐かしさを覚えるものなのだ、と言うことなのである。その点においては他の二人の筆者も同意していただけると思う。
だから後は三者三様の「匂い」連想に対して、読者である皆様が一般的か、一般的じゃないかと言う判断をされるだけなのである。
そして一番一般的ではない「匂い」連想をした、と判断された人間(恐らく今回の3人の中では俺だと思われる)が、
その人格を形成してきた過去も含めてキャラクター全てを異端の目で見られるのだ。多分。
過去の経験に基づいた主観だけで文章を書くということは、
俺の人格を疑われる危険性がかなりある、と言うことはご理解いただけましたでしょうか?
今回の議題についてはこれ以上語ると自分で自分の首を締めかねない勢いなのでこの辺で終わらせていただきたく・・・と思ったのですが、
最後に、爽やかな「匂い」によって昔を思い出させられる事も、こんな俺にだってたまにはあるんですよ〜、
と言うことを自己弁護チックに紹介させていただいて終わりたいと思います。
その匂いとはズバリ・・・洗顔フォーム!洗顔フォームにこだわった時期ってありません?
「昔からず〜っと同じ物しか使ってない」とか、「昔から毎日違うぐらいの勢いで無頓着だ」
とか言われてしまったらこの話はここで終わりってしまうんですが・・・。
俺はね、今では適当に家にあるもの使ってるけどね、高校時代はずっとビオレ使ってたし、
大学初期はギャツビーの冷たくなるツブツブ入り洗顔フォーム使ってたのさね。今たまに使ってみると当時のことが思い出させられるよ。
「あぁ、この洗顔フォーム使ってた時はあの女の子の事追っかけまわしてたなぁ・・・・」とか、
「あぁ、この顔中に広がるクール感、あの娘にフラレた事を思い出させるなぁ・・・」とかね。(ちなみにフラレてすぐに洗顔フォーム変えた記憶あり・・・)
そんなこんなで、もし洗顔フォームにこだわった経験のある方はぜひ一度お試しあれ!
ご清聴、ありがとうございましたぁ!