懐かしい匂い

記憶には、匂いはおろか味も音も無い。言わばその時その一瞬の光景が
断片的に残っているようなものだと私は思う。
このテーマで先ず思いついたものが米だった。炊き立てのご飯である。
はっきりとした香りがあると言いきれるものでもないが、私の記憶の中の
ご飯は美味しい香りを発していた気がする。
小学生の頃までは祖父の家から毎年送ってもらっていた。
見た目も味も、そして香り全てが最高だった気がする。稀に買うお米は
不味かった事を覚えている。しかし今ではその不味いはずのお米を
買って食べているのである。また祖父から叔父へと作り手が変り、お米も
ほとんど送ってもらっていない。たまに送られてくる、新米と言われて
そのお米を炊くが、記憶の味には程遠い。その格差に段々と記憶への
自信が薄れていき、また1つ記憶が遠い彼方へ行ってしまう気がする。

昔通っていた水泳教室の新品バスの塗装の匂い、プールの塩素の匂い、
あまり懐かしい匂いについての記憶は少ない、思い出せないけれども
こうして記憶を紐解く様に耽ってみるのもなかなか乙なものではなかろうか。

余談ではあるが、仕事中、車で聞いてる曲の一節に

「渋滞を抜けると 懐かしい香りがした 
 巡り巡っていく 恋の季節」

ELTの曲ですが、当時この曲のCMの中で持田香織がうなずくシーンが
ひじょーに可愛かったの思い出してしまった。