秩父路にて
@ 出発
ついに、出発です。一応 HP もアップしたし、これで何も思い起こすことはない。後は親友であるM氏を待つだけであります。
ちなみに、当日用意したものは以下の通り↓です。
ビニール袋×3、行動用リュック、時計、軍手、着替え、タオル、洗面具、携帯電話、お金
携帯は後ろにモバイルカメラなるものがついていたので、もって行きました。以下の写真は全部この携帯で撮ったものです。
まあ、一泊二日ですから、そんなに用意はいらないんですね。しかも、向こうで食事も出るし。
そうこうしているうちに、M氏が到着。彼は頼んでおいたカブト・クワガタ用の蜜を購入しておいてくれました。
それでは出発。
自宅から駅は近いので助かりますね。歩いて五分程度で地元の駅です。そこから先ずは JR 八高線の東飯能駅まで電車で移動。実は二人とも前夜になかなか寝付けなったらしく、眠そうな感じ。これじゃ小学生の遠足じゃ。
八高線東飯能駅に着いて向かいを見ると、次に乗るべき西武秩父線が到着しているじゃないですか!
・・・さすがに間に合わないので時間をつぶすことに。
意外なことに、田舎だと思っていた東飯能駅に八階建てのデパート、丸広が建設されていました。・・・こんなもの三年前に来たときにはなかったのに・・・。
二人でデパート八階の本屋で時間をつぶし、そろそろ電車の発車時刻。ちょっと早めに駅のホームへ。なんとも静かな昼前のホームで、少し眠くなってる二人。気づくと電車が駅のホームになだれ込んできました。
A 西武秩父線 (東飯能〜東吾野)
秩父線はなんと、ボックス席なんですね。つまり、新幹線の座席みたいに向かい合って座ることが出来るわけです。
二人なので、取り合えず向かい合ってすわるか、ってことになったんですが、電車の進行方向と同じ方向に座った僕は大丈夫だったものの、M氏は吐き気をもよおした様子。二人で並んで座っていくことにしました。
それにしても空いている。どうしちゃったのよ、ってくらいに空いてます。ほんとに。なんか前の方の座席で朝っぱらからビールとか飲んでるんですが、大丈夫ですか?ってくらい空いてました。
とりあえず、11:19東飯能発の電車は僕等と酔っ払いを乗せて奥秩父へ向かって走り出したわけです。
まずこのテキストのために路線の全駅名をメモろうと思ったところ、なんと窓際には台まであるじゃないですか。こいつは大助かりです。
駅名を東飯能→高麗(こま)→武蔵横手→東吾野→吾野→西吾野→正丸→芦ヶ久保(あしがくぼ)→横瀬→西武秩父と書いていたときです。
ふと反対側のボックス席を見ると、この台の下側に何かくっついているんです。

なんだ、こりゃあ、と思い、もう少し近づいてみると、

せ、栓抜き!? な、なんでこんなところに!? 何て書いてあるんだ?

ふたの角を引っ掛けて、ってここでビンの栓を抜けっていうんですか・・・?

「ビンを下へこじる」って言われましても・・・。「こじる」って何ですか? (何となく分かる気はするけど)
まあ、とにかく、不思議な電車です。
なんてったって、電車内のアナウンスで「なお、この車両の4両目と最後の車両には○△※(一瞬聞き取れない)と、トイレがついております。ぜひ、ご利用ください」
な〜んて言っているわけです。とにかく、栓抜きの撮影はこんなところにして、そのトイレとやらを見に行ってみますか。
ふらふらしながら最後尾の車両まで行ってみると、本当にトイレが・・・、ともっとすごいものが車内についていたんですよ。
それは・・・
自動販売機
ちょっと待て! 何も車内に自販はいらんだろ!
・・・とは言ってみたものの、う〜ん、喉が渇いた。くやしいが、恩恵にあずかろうではないか。
ということで、ポカリスエット(250mlで120円)を購入。確かに、便利だ。
が、肝心のビンものが売っていない。じゃあ、
こじれないじゃん。
ふと気づいて窓の外を見ると、もはや外は山一辺倒です。日本の田舎代表ってくらいにすごいですよ。
そして外の風景が少しずつゆっくりと流れるようになってきたころ、アナウンスが流れました。
「次は〜、東吾野〜、東吾野。出口は、右側です」
B 西武秩父線 (東吾野〜西武秩父)
東吾野あたりまで来ると、かなり山奥って感じ。
杉の木にびっしりと覆われた山並みが目に入ってきます。
花粉症の季節には絶対に来たくないところです。
電車は沢の上の危なげな橋の上を少しずつ越して行きます。平和です。
吾野(あがの)につくと、電車の待ち合わせがありました。単線ならではのイベントですね。
待ち合わせ時間が結構あるってことで、駅のホームをうろついてみることに。
すると、なんともアナログな、古めかしい駅名の看板を見つけました↓。

「あがの」。なんとも力強い文字じゃないですか。こういうのお父さん大好きです。
やがて電車はまた走り出します。何となく曇っていた空も、少し明るくなってきたようです。
さらに山の中へと入っていく電車。どこか秘境めいてきました。
駅名もどこか古臭く、魔境っぽい感じ。
「正丸」ですよ、「正丸」。
正丸駅を過ぎると、電車は突然長いトンネルに入りました。これが正丸トンネルのようです。M氏のガイドブックによるとなんと長さは4812mもあるそうです。つまり5km弱もあるんですね。
M氏は以前、このトンネル内で電車の待ち合わせを食わされたようです。かなり真っ暗だったので、さぞかし気分も爽快だったことでしょうなあ。
トンネルと抜けて、観光地・芦ヶ久保を過ぎると、「横瀬」と言うターミナル駅にたどり着きました↓。

何しろこの携帯で風景写真をとるのは初めてだったので、とりあえずで撮ってみました。まあ、ろくなものじゃないですね。
気が着くと、もう終点の西武秩父です。到着時刻は12:10前後。
降りるときにふと見ると、ドアのところにこんなものが↓。

これは寒い時期に、電車待ち合わせがあると、ずーっとドアを開けておかなくてはいけない(乗ってくる人もいるし)けど、乗っている人にとっては寒い、ってところから作られたもので、これ僕の地元の電車にもついてます。単線ならではのちょっと便利モノ。
「ランプ点灯中ボタンを押せばドアが開閉します」
と丁寧に説明書きまで。
さあ、次はいよいよ秩父鉄道です、とは行かず、ご飯を頂くことにしました。

C 西武秩父駅・仲見世通りにて
西武秩父駅構内で右上のスタンプを入手したあと、お腹も空いてきたということで、お食事処を探すことにしました。
実は、そのまま秩父鉄道に乗って、三峰口で食事を取ることも考えた(電車の接続も悪くないし)んですが、三峰口には食堂が少なかったことや、特別おいしかった記憶もなかったことから、それならここで探した方がいいと言うことで、ここで昼食をとることにしました。
仲見世通りは何とも風流な通り。アーケードで覆われていて、何か携帯を持っているのが恥ずかしくなるくらいです。

いやあ、いいですね。こう、和風な感じでしょ? ついでに画面中央の巨大なちょうちんも撮っておきました。

何とも馬鹿でかいちょうちんですよ。本当に。それにしても、胴のところに書かれている「秩父路」っていう文字が印象的です。
普通に変換しても「父無事」としかでないところもまた善し・
それで、ちょうちんの大きさに目を奪われていたところ、振り向いてみるとお蕎麦屋さんがあるじゃないですか。
これは天のお導きか?ということで、このお蕎麦屋さんでお昼を頂くことにしました。
僕は「のりせいろそば」、600円。M氏は「とろろそば」、800円です。
頼んで店内を見回したりしていたところ、店員さんがお茶と何か揚げたお菓子のようなものを持ってきてくださいました。
「これは何だろう?」とお菓子状の物体を不思議がっていましたが、どう見ても食べ物だろうということで、ちょっと試してみることにしました。
すると、かりんとうのようなお味。後で確かめたことですが、「そばかりんとう」というこの店の名物土産のよう。100g入っていて300円でした。
そばも非常においしかったです。
あまりのおいしさに二人ともわび・さび状態。俳句まで作る始末です。
僕:夏風も秋を追いかけ走るのか
M氏:夏風邪や無理してこじらせ鼻たらし
これだけ見ると、M氏はかなり楽しいだけの人に見えますが、結構立派な人です。
食べ終わったあと、セルフサービスだとしたら食器を持っていかないと、と思っていたところ、僕等の行動に気づいた店員さんがにこっと笑って、「いいんですよ、置いておいてもらって」
そんな優しい店員さんのいる、「武蔵屋」さんともお別れして、少し腹ごなしに仲見世通りを歩いてみることに。
さすがに仲見世通り。風流なおみやげがいっぱいあります。しかし、そろそろ電車が来そうだったので仲見世通りともさよならして、秩父鉄道御花畑駅へと向かうことにしました。
D 御花畑・秩父鉄道
西武秩父から御花畑までは歩いて約三分。結構近い。
それにしても旅の前半とは楽しいもので、たくさん写真を撮るわけです。
どっちかっていうと、旅の出だしの写真ばっかりで、後半はフィルムがなくなっちゃったり、なんてこともよくあることです。
まあ、そんなわけで、僕もご多分に漏れず、被写体を探していたところ、三年前に見たものを再び発見することになりました。

何かコインをコレクトして売っている様子なのですが、このうさぎぴょんと「いたづらしないでね」の文字。
埼玉も奥地まで来ると、未だに古語を使ったりする宗派が存在するようです。

外国のコインも売っていました。
しかし、M氏曰く「『外国コイン 本物』っていう風に、わざわざ『本物』って書いてあるところが怪しい」です。
さらによく考えれば、多分、世界の多くの硬貨って200円しない気がしません?
この店、かなり利害にうるさい店と見ました。
とまあ、冗談はここらへんにして、僕等は乗る電車の到着10分前になったので切符を買いに行きました。
そう、ここ、10分前にならないと切符買えなかったりとかするんです。
ここまでアナログなので、そう、みなさんのご想像の通り、切符は厚紙です。

しかも、はさみまで入っているっていう、かなり懐かしい(もしかしたら知らない)レベルの世界です。
僕の家の近くを走ってる電車も僕が小学校あがる前くらいまでこんなんだった記憶あります。
さらに、日付がなにやら怪しげ。

一瞬、手書きなのでは!?とか思いましたが、どうやら数字をくるくるってまわしてやるはんこらしいです。
そしてついに秩父鉄道です。
13:10発の電車に乗り込みます。
秩父鉄道は実は結構長距離の路線。
西武池袋線とも連結しているので、何気に池袋から一本でここまで来れたりします。
僕等が乗ったのは、御花畑→影森→浦山口→武州中川→武州日野→白久→三峰口の六区間。
途中、どうやら工事のおじさんが電車の前を横切ったらしく、電車は急ブレーキ。でも、何となく平和です。
どっちかっていうと、西武秩父線の方が山っぽいところを走っているのですが、秩父鉄道の方が、より日本の原風景的な場所を走っています。
橋を電車が渡るのですが、もはや沢でしかありません。
でもそんな秩父鉄道の駅のそばに、意外とファミリーマートなんかもおったってて、その辺がまた日本的な気がします。
ゆっくりしたスピードで電車は進みます。それでもわずか二十分で目的地の三峰口に到着です。
実は意外と近いのかも知れませんね。
ついに13:30、三峰口到着。疲れましたが、なんか達成感で一杯です。
って、またここからバスに乗るんですけどね。
E 西武バス
13:35には西武のバスに乗れました。
なんともおいしい話だ、とか思うでしょ? そうなんです。
こんな奥地だと、あまりバスが通ってないので、電車との待ち合わせなどがかなり考えられているんです。
三年前に行った時なんかバスが遅れたせいで、電車が待ってくれたくらいです。
まあ、そんなのんびりとしたところなんですね。
このバスに揺られて、「大輪」というところを経由して行きます。
かなりの山道なので、対向車が大きいと、バスが一旦スピードを落として対向車を待ちます。
そうそう、このバスは「メロディーバス」なんです。
「メロディーバス」っていうのは、バス停以外でも乗り降りできるバスのことです。
そのことに対する説明書きが三峰口駅のバス停にも書いてありましたし、バス内でもアナウンスしていました。
『降車の際は早めに運転手に口頭で知らせてください。また、乗車の際はバスの運転手から良く見えるようにはっきりと手をあげてください』
と、乗車の時のことを車内で放送されても、って感じでしたが、これで何となくご理解いただけますでしょうか?
でも、何かバス内にボタンがあるんですよ。これは多分、バス停で降りるときに使うのでしょう。
奥秩父は何とものんびりとした雰囲気が漂ってます。もう、ほんと日本の山、って感じですね。
地域の人も優しいです。大輪というところを少し過ぎた辺りで、あるひげもじゃのおじさんがバスの運転手に何か聞き始めました。
どうやら、「中津川渓谷キャンプ場」というところに行きたいようです。
するとバスの車内にいたおばあちゃんたちが優しく、「宮平まで戻って、そっから六キロ歩くんだよ」と教えていました。
教えられたおじさんは急に疲れた顔してましたが、やさしいおばあちゃんたちに感謝してました。
それにしても、本当にがけっぷちって感じなんですね。道の脇はもう崖。
バスって意外と車高が高いから、窓際に座っているとかなりどきどきです。たまりません。
その後、ゆっくりとバスは山道を登って行き、結局二十分くらいで「秩父湖」バス停に着きました。
ここからは歩いてユースホステルまで行きます。
と、バスターミナルを歩いていると、おいしそうなパンの匂いが。ふと見ると「光の村のパン」というお店からのようです。
ここで菓子パンを二つほど購入。さらに謎の「秩父源流水」(500ml、130円)を購入。おいしい水のようです。
このお店はどうやら近くの障害者の子供たちが作業をしているようです。なかなかどうしておいしいパンでした。
F 秩父ユースホステル
ここからはほんとに道が複雑なんですよ。観光案内風に書くとこんな感じ↓
『西武バス終点、秩父湖バス停から大三峰レストハウス脇を通り二瀬ダム周辺遊歩道を直進。トンネルをくぐり、直進して右側にある歩道をジグザグと上っていき、テニスコート内に入る(テニスコートの入り口のネットに看板有)。テニスコートを横切り、山道を登り、階段、小橋を経て、大三峰山・栃本方面の立て看板脇の舗装道を右折、その後直進』
・・・かなり複雑に見えますね。まあ、連絡すれば、ミニバスで迎えに来てくれるそうです。
まあ、かくして秩父ユースホステルに辿り着いたわけです。屋内に入るとすぐご主人が出迎えてくださいます。
宿泊カードを書き、M氏の名前でチェックイン。
値段は朝・晩二食つきで7350円(税込み)。なかなか良心的な値段じゃないですか。
先ずは部屋に荷物を置きに行きます。部屋は102号室。出口に近いところです。
部屋には四人分のお茶が用意されています。部屋は六畳程度ですね。
二人とも先ずは休憩。テレビをつけて甲子園なんかをゆっくりと見ます。同時に荷物の整理。別に整理するべきものなんかないんですけど、一応整理しないとなぜか落ち着かないんですね。
テレビを見ながら軍手、カブト・クワガタ用の蜜、ビニール袋、タオル等を移動用のリュックに入れます。
三時になって、いざ出発です。今回の旅の目的でもある「昆虫採集」に。
かぎを預けようとするも、ご主人がいらっしゃらない。やむを得ず自分らで持っていくことにします。
先ずは近くのテニスコートまで行きます。ここは三年前に行ったときにみんなで寝っ転がって星を眺めた思い出の場所です。
道は少し上り勾配。と、早速、路上に何か黒い影が! やばい、飛ぶ! 急いで駆け寄るももはや羽根は開いている、間に合わないか・・・! と思ったらクワガタ、コテッとこけてあえなく御用。
後で部屋に戻って撮影。
先ずは一匹捕獲です。違う角度からももう一枚→。
どうやらミヤマクワガタのメスのようです。それにしてもこんな白昼堂々出てくるなんてなかなか度胸のあるやつです。
とりあえず彼女を袋に木と一緒に入れて、他の場所も散策。ユースに来る前に通った山道の林の木々にも蜜を塗り、さらに数キロ近く歩いてダムの向かい側の木にもめどをつけて塗りました。途中雨にも少々降られましたが、塗りまくりました。
これならかかるだろ、謎の余裕を浮かべていたのには理由が勿論あります。持ってきた蜜にこうかかれていたのですから。
『この蜜を木に塗りつけてください。昆虫たちはそのおいしさのあまり蜜から離れません』
もう、絶対いただきだな、とM氏とにっこりと笑いながら広範囲に蜜を塗りつけていきます。しかし、ここで誤算があったんですね。第一の誤算が。それは・・・
蜜、余る
二人とも、最初は結構「足りないかな」なんて言いながらつけていったんですが、何しろカブト・クワガタの来そうな「くぬぎ、こなら」の両種の木が見つからないんですよ。
やむを得ず、こうなったらもうなんにでもつけとけ、と歩道の手すりにまで蜜を塗りたくりましたが、それでも四本持っていったうちの二本を使い切ったに過ぎません。
昆虫の蜜、一人一本お持ち帰り。何しに来たのか解らん。
こうして楽しく蜜をつけているうちにいつの間にか時間は六時近くに。ユースの夕飯は六時なので、六時までに何とかして帰りました。
夕飯は洋食中心ながら、栄養のバランスを考えられたおいしい食事。特に梅ぼしをすりつぶしてペースト状にしたものをのせたそばはかなりおいしかったです。
デザートにはぶどうかいちごかのゼリー。色的にも、味的にも判断つけがたいものでしたが、ただおいしいということだけは確かでした。
お腹も一杯になったところで、いざ、夜に向けて出発です。
G 夜の闇
山の夜というものは本当に静かで暗いものです。と言いたいところですが、凄く虫の鳴き声などが五月蝿いくらいです。
先ずはユースの周りを探索します。何故なら、山の中はあまり街灯も外灯もないため、ユースの明かりは虫を寄せる格好の明かりとなります。
すると、明かりのある辺りの地面を見ると、結構居るんです、これが。
アカアシクワガタというコクワガタによく似たクワガタのメスを何匹か捕獲し、またミヤマクワガタのメスを一匹捕獲。さらにアカアシクワガタの小さなオスを捕獲しました。
これは幸先いいぞ、と思い、次々と蜜を塗った箇所を回っていくことにしました。ところが・・・
全然いないんですよ、これが。
蜜を塗った木が悪いという気もするんですが、ちゃんとクワガタの来そうなクヌギやコナラの木に塗っているのですが、全然いないんです、ほんとに。
やばい、やばいぞ、と思い始める二人。木にライトを当てて、何かいる気配にソッコー近寄るも、そこにいたのはかの有名な
カマドウマでした。
これをセツナイ、わびしいといった言葉で表すのは簡単でした。
何でこんなにカマドウマ多いのよ、っていうかカマドウマしかいないじゃん、って感じです。
木を思い切り蹴飛ばしそうになるのを必死にこらえて、次々に木を見て回るも、やはりいるのは不気味な光を放つカマドウマのみです。
ところが、大きな街灯の下へ行く途中、なぜかカブトが路上を歩いているじゃないですか! そのことを喜んでいいのか悲しむべきなのか。とにかく捕獲です。
部屋に戻ってから撮影
何となくわびしい気分になるも、その次の街灯の下に行くと、またカブトが! さらにはカブトのメスまで!
かなり複雑な気持ちです。ほんと。何故に蜜に寄らずに、明かりによるのか。
こいつらえさに釣られず、明かりに釣られるって、これ知能犯でしょうか? ちくしょー。
そして、捕獲に成功し、ホクホク状態でユースへ帰還しようと、来た街灯のあるアスファルトを歩いていたときです。何やら路上に不信な影が・・・。
きょ、巨大なムカデが!!
まじビビリました。本当に。何とかこっちには攻撃意識がないことを必死でムカデ氏に説明をして、脇を通らせて頂きました。何か明かりによってきた蝉を投げつけましたが、非常に友好的な別れとなりました。
山道を足元に気をつけながら、ユースまでの道のりをM氏と話しながら帰るひと時。
まあ、色々ありましたが、とにかくカブト(オス二匹+メス一匹)も捕れたことだし、まあ、よしとしよう。
その日の夜は本当に幸せでした、ってこれで終わらなかったんですねぇ〜。
なんと、ユースの入り口が閉まってるんです。
玄関のドアを開けようとしてもだめ、別の入り口に回りこんでもだめ。
まさか、こんな落とし穴が待っていようとは・・・。
山中、建物の前でとはいえ、朝まで過ごす勇気は流石にない。な、何とかしなければ、と焦る僕とM氏。
すると、ベランダでタバコを吸っている人を発見! た、助かった・・・。
とはいえ、「夜中にカブト虫捕まえに行ってたらドア閉められちゃった」、なんて流石に言えないので、『夜の散歩してたらドア閉められちゃいましたよ、ハッハッハ』作戦に出ましたね、流石に。
タバコを吸っていた彼等は「タバコ吸ってからでいいですか?」とかほざきはじめましたが、仕方ありません。しかも、妙にゆっくりタバコ吸ってますが、まあ、仕方ないです。
何とか開けていただき、「いやあ、散歩に行ってたら・・」としっかりごまかして屋内へ。再び玄関のかぎを閉めて、自室に戻りました。
その後、お風呂に入ったり、色々して、布団もしいて、寝る準備を。時刻はもう一時近かったです。
結局、猟果は次の通りでした。↓
カブト オス二匹・メス一匹
ミヤマクワガタ メス三匹
コクワガタ メス四匹
アカアシクワガタ オス二匹・メス三匹
何でメスばっかりなのかはよく分かりませんでしたが、部屋の中で色々と戯れた後、つれて帰りたいヤツだけを残し、残りを全て放した後、寝ることにしました。
何か結構がっかりな部分もありましたが、いい一日だったなあ、と話しながら、奥秩父の夜は朝へ向かって少しずつ進んでいきました。
H 帰路に着く その1 〜さらば三峰口〜
朝はまた結構早いんですね。六時半くらいには朝食だったと思います。
朝食は和食風。これもかなりおいしいです。気持ちよくご馳走さま、と言って食堂を去ります。
その後、多分、部屋で寝てしまったような気がします。それでも何とか十時前位にはチェックアウトをしました。これでユースホステルともしばらくのお別れです。
また山道を通って西武バスの秩父湖バス停まで歩いて帰ります。その時、例の蜜を塗ったものの、全く寄り付かなかったところを通ったわけなんですが、蜜はもう大分乾いてしまっていました。腹立たしいカマドウマ諸氏もいなかったので、帰りは快適に帰れました。
10時17分、秩父湖発のバスに乗って、三峰口へ。この風景ともしばらくお別れか、と思うとどこかただの山道もいとおしく見えてきます。
10時42分ごろには三峰口に着きました。電車の発車は11時09分だ、ということで、しばらく秩父との思い出に浸りながら三峰口の駅構内を撮影しました。

これは停車中の電車を撮ったものですね。そして、記念に駅名プレートも撮っておきました↓。

「さらば、三峰口よ・・・」と浸っていると、突然車内に黒いアゲハチョウが入ってきました。何とものどかなところです。シートに止まった所を、M氏が連れてきてくれました。

ちなみに、この手はM氏のものです。それにしても美しい外観、と思ったら、開いた羽根がまた何とも美しい。

昆虫に詳しく、人柄も良いM氏によれば、このアゲハはミヤマカラスアゲハか何かだそうで、さらにこれはメスだそうです。う〜む、何とも気品に溢れた美しい色合い。もう、これは一枚ではもったいない、ということでもう一枚撮りました。

明るさを変えてみると、黒いベースに緑や青の麟粉が乗っていることや、赤い斑点などがよく分かりますね。いやあ、何とも美しい蝶です。しかし、彼女を自宅まで連れて行くわけには行きません。
寂しいながらも彼女とはさよならをして、電車は走り出しました。
さらばミヤマカラスアゲハ、さらば三峰口。
電車は一路、西武線西武秩父駅へ向かいます。旅も終わりです。
しかし、この旅、くどいくらいになかなかすんなりとは行かないんです。
帰りにも重大なアクシデントが僕とM氏を待ち受けていたんです。
I 帰路に着く その2 〜それはちょっと違うんじゃないですか?〜
西武線西武秩父駅に到着し、切符を購入し、そして改札を入ります。
しばし会えなくなると思うと、どこか寂しさの漂う駅構内。
電車に乗る前に飲み物などを買っていざ乗り込みました。
西武秩父線と言えば、あの栓抜き→
ですが、なぜかこの車両にはついていませんでした。付いている車両と付いてない車両とあるのかも知れませんね。
しばらく旅の記録をとっていたところ、電車が動き出しました。(っていうかこのデータ、実際はあんま使いませんでした)
昨日通り過ぎたばかりなのに、どこか久しぶりの感じ。これまた何故でしょうか?
そして電車はあの駅名プレートを撮った「あがの」までやってきました。もう旅も終わりだな、などと考えて、思い出作りに少しあがのの駅を歩いたりしていました。
戻ってくると、なぜかM氏のシートの上に切符が。「これは・・・?」と二人とも???に。
途端に二人とも不安になって、ポケットを探り始めます。まさか、ないなんてことは・・・
やっぱり、ない! 僕の切符がなくなってました。M氏は必死に、なくなったのは自分のかも知れない、と言ってくれましたが、どう考えてもなくなったのは僕の切符です。
しかも、乗り継ぎ切符を買ったため、その値段は620円。かなり痛かったです。
この日(8/10)、僕は晴れて19になったわけなんですが、あんま嬉しくないです。
M氏は必死に、「そ、そうだ、切符代、誕生日プレゼントということで、俺が出すよ」と言ってくれましたが、誕生日プレゼントにそんなものは・・・。
気持ちだけ受け取って、仕方なく精算することにしました。ガックリです。
東飯能の駅で傷心のまま、昼ごはんを食べることにしました。
東飯能の駅には大きなデパートがあったので、そこで食べることにしました。
レストラン街を見つけ、どこにしようかと迷っていると、これは、という店を発見。それがここ↓。

最初は何の違和感もないんですね。もちろんこれ↓も。

う〜ん、「1,2」という意味のフランス語のようですね。「アン、ドゥー」ときて「トロワ」と来ないのが不思議でしたが。
しかし、次のものを発見して、???となりました。

なぜかつづりが違います。上の二個が「Duex」となっていたのに対し、こっちのは「Deux」となってます。明らかにどちらかがつづり間違ってる。
この難解さが僕等の心を捕らえ、ここでお食事となりました。ビーフカレーを食べたんですが、なかなかおいしかったです。
ちなみに、うちで調べたところ、後者「Deux」が正解でした。
昼食も終わり、東飯能駅で帰路に向かう電車に乗ります。その間上の全ての画像をメールに添付してPCに送ってました。
東飯能は八月の上旬だというのに過ごしやすい涼しさ。とはいえ、やはりユースホステルのあの涼しさはもはやどこにもありません。
電車がホームに入ってきました。そろそろこの旅も終わりです。
M氏と電車の車中で今回の旅のことを話しながら帰ってきました。
車窓を流れる景色はまだ、緑が溢れていましたが、それでも、人に手入れされている感じの自然でした。
そのそろった並木が迎えてくれたとき、帰ってきた、という感じがしました。
○エピローグ○
自宅の最寄り駅に着き、電車から降りると、暑い風がどっと流れ込んできました。
アスファルトの照り返しも、蝉のうだるような声も、そして街の景色も。
何も変わっていない、いつもの夏の最寄り駅でした。
この旅で僕は19になったわけですが、十代最後の誕生日に、こんなに多くの経験が出来たことは、これからの人生で大きな財産になると思います。
データをこまめに取っていたとは言え、わずか一泊二日の旅で、これだけの紀行文が書けました。
この旅が特別だった、とは思いません。もちろん、共に旅してくれたM氏は大切な友人でしたが、M氏とだからこんな紀行文が書けた、というわけでもないでしょう(まあ、M氏とだからこんな旅が出来た、という一面ももちろんありますが)。
この文を書きながら思ったことは、普通の旅でも、強いて言えば、日常生活の中にも、これだけ多くの経験がある、ということです。
毎日の生活の中で、見落としてしまっているもののいかに多いことか。
毎日の生活の中で、できることをやらないままにしていることがいかに多いことか。
この文章を書いていてそんな事を思いました。
旅をしていたから、こんな体験が出来た、というわけではないのかもしれません。
意外とこのくらいの経験を、僕等は毎日しているのかもしれません。
でも、旅に出ているときはもしかしたら、「何かを経験したい」と思っているからこんな経験ができるのではないでしょうか?
普段から心の準備をしていれば、結構毎日のようにこんな経験は出来るのかもしれませんね。
19です。もうそろそろ子供、という歳でもなくなってきました。
友人とよく話したりするんですが、「何も感じない大人にはなりたくない」、という気持ちって大事じゃないか、と思うんです。
どんな美しいものでも、「あたりまえ」になって、感動しなくなってしまったら、何か悲しい気がします。
いつでも何かに感動しながら生きていたい、そう思うことは馬鹿らしいことなのかもしれないですが、僕はそういった馬鹿らしいこと、好きなんです。
まあ、今の世の中、人に迷惑をかけない限りは自由なので、僕は僕なりに生きていこうと思います。
その生き方が「何かを見て、何かを感じる」というだけで。
今回の「秩父路」テキストは、そんな事を再確認させてくれました。
何かまた生意気な文章になってしまいましたが、僕は本当にそう思ってます。
悲しい事件が起きるのも、誰もが心に琴線を張っていたら・・・、なんて考えるのは考えすぎですが。
とりあえず、当分の間は僕はいろんなものを見て、いろんなことを感じて、小説を書いて、歌を作って、そうして生きてくつもりです。そのうち息が切れたとき、この文が自分の何かの手助けになるかも知れないですしね。
最後に、最近アルバイトで使った、小林司さんの文章を掲載して終わりにします。
『先方からの呼びかけにを鋭くキャッチして人生をゆるがすような出会いを引き起こすものは、人間の理性ではなくて感性であり、第六感いわゆる「共通感覚」である。(中略)「共通感覚」を鋭くして、よい出会いやふれあいを持ち、充実した真の生を生きるとき、初めてその人は本当に「生きた」と言えよう。ただ一度の人生を、むなしくすごすのも、充実して生きがいのある人生を楽しむのも、「出会い」や「ふれあい」にかかっていることを忘れてはならないと思う。』
ここまで読んで下さった方々、本当にありがとうございました☆
○付記○
今回の旅でお世話になった方、お店について少し明記しておきます。
○奥秩父レイクビューホステル(本文中:秩父ユースホステル)
所在地:埼玉県秩父郡大滝村大滝3755 連絡先:0494-55-0056
○武蔵屋(C参照)
所在地:埼玉県秩父市上宮地町9-19(仲見世通り) 連絡先:0494-23-6348
○Un deux(またはUn duex?)
所在地:丸広東飯能店内 連絡先:0429-71-0001
Special Thanks To
武蔵屋のみなさん、秩父ユースホステルのみなさん、夜中に(遅かったけど)ドアを開けてくださった方、ユースのマスター
M氏