「よそ者で、しかも、自分たちの流儀を貫いていく以上、地域に溶け込む努力は欠かせません。
横のつながりを無視したら、ここで農家を続けることはできない」
という思いが、そこにはあった。

ただ商品を並べただけでは、その魅力を伝えることは難しいといえます。
さまざまな運営努力を通じて、ブランドイメージを高めていくことが、やはり重要です。

行政の補助金って、機械の購入費など"箱モノ"に支払われる傾向が強いんですよ。
でも、僕たちは運営部分のフォローが欲しかった。
でも、ないんですよ、そういう補助金は。
それに補助金を借りすぎて、背伸びをした経営をしてしまい、
失敗をした例も見てきたので、あまり活用したくない気持ちもありました。

野菜って、昼間にいっぱい光を集めて光合成をして、夜は涼しいところで、
ぐっすり眠ると美味しくなるんですよ。

お客様と契約し、野菜を箱に詰めて、定期的に送るという方法であれば、
十分商売として成り立つかもしれないと感じました。

長距離輸送を考えたら、やはりビニールがベスト。
理想に走りすぎたら、結局は、お客様を無視することになってしまうんです。

結局は実践を通じて野菜作りをしていくしか、経験値は上がらない。

畑は1枚1枚状態が違いますし、作物も1種類1種類、肥料の吸収力も違います。
菅や経験も大切ですが、公開されているデータも参考にしていかないといけないですし、
最新の機械も導入していかないといけない。

準備段階で、不安を全部取り除けばいいんです。
そうすれば、実現可能になる。

草などを肥料にするのが緑肥で、畑に種を直接まく。
ある段階まで育ったら刈り取り、トラクターなどで土の中にすりこんでいく。
すると緑肥は、土の中の菌などにより分解され、アミノ酸などになり、
農産物を育てる大切な栄養分となる。
時には、風除けの役割を担うこともあるためそのまま伸ばしておくこともある。

地元の材料を使って、堆肥や緑肥を作り、それで農作物を育てていく。
これを繰り返していくことで、循環型農業が生まれます。
自然のなかで作ったものですから、栄養度の高い農産物が、
一気に、大量にできる可能性を秘めています。
さらに、循環型であれば、肥料も抑えることができる。
有機栽培というのは、生産効率の最も高いものだと、私は思っているんです。

既存の「新規就農に関する本」に書かれている情報が、
現場のフィルターを通して知った情報と、かけ離れているケースが少なくない。

一般的に、農地の探し方は「市町村の農業委員会、農協、行政などの窓口を通して」
といわれる。しかし、実態は違う。
彼らは、空いている農地の情報を持っていないケースが多いのだ。

農家が農地を貸したがらない。
その理由について、多く指摘されるのが「転用期待」だ。
農地は土地の評価額が究めて低いのだが、この農地が"宅地"に転用されると、
その評価額が何十倍にも跳ね上げるのだ。
しかし、実情は少々違うようだ。
ある農家は「貸すのが怖いんですよ」と話してくれた。
「面識のない人に貸すのは、やはり怖いんです」
どこの馬の骨かもわからないような人間に貸して、
万が一トラブルになるぐらいなら……、というわけだ。

では、どうすれば、新規就農者は農地を得ることができるのか。
新規就農者の10人中10人が「信頼を得ることです」と断言する。
その方法は大きく2つに分かれる。
1つは「実際に農地を持っている農家からの信頼を得ること」だ。
もう1つは「地元の信頼を得ている強力なコネのバックアップを仰ぐ」という方法だ。

農地を得ることができれば、
あとは実績を積み「あの人は真剣に農業に取り組んでいる」と思われれば、
自然に既存農家から「農地を借りないか?」と声がかかる。

この事実を見れば、
農地を貸さない大きな理由が"転地期待"ではなく"信頼"であることがわかるだろう。

農林水産省では、毎年「農業経営統計調査」を実施しており、
そのなかの「品目別経営統計」で、作物・栽培方法別に10アールあたりの
農業所得と農業労働時間、1時間あたりの農業所得を発表している。
ただし、農林水産省のこのデータは、サンプル数が圧倒的に少なく
「あまり鵜呑みにはできない」という意見も多い。
さらに、この所得は「農協への出荷」が基本になっているため、
それ以外の流通ルートで作物の販売を考える場合は、あまり参考にはならない。
あくまでも、1つの目安と考えるべきだろう。

単一経営は、一部の作物を除き、農地規模を大きくしなければ、生計を立てることは難しい。
そこで、複数をうまく組み合わせて、利益の補てんを図っているわけだ。
複合経営は「連作障害」を軽減するためにも有効だ。

化学肥料や化学合成農業を使用して作る作物の栽培方法を「慣行農業」という。
しかし、多くの人は、最終的には有機農業ではなく、
通常の慣行農業で就農をスタートさせていた。
諦めた理由の大半は「食べていけないから」という判断だ。
「時間がかかる」「経費がかかる」「大量に作れない」といった点から、
食べていくために、仕方がなく慣行農業に切りかえていく実情が、そこには見える。

その一方で、有機農業を実践している新規農業者も多く存在する。
彼らの多くは「直販」という形で、
直接、消費者に農産物を届けるスタイルを取っている。

有機農業で生計を立てることができている農家には、1つの共通点がある。
それは、地域に溶け込む努力を惜しまないという点だ。
地域の青年団や消防団などの団体に所属するなどして、交流を深めようと行動している。

些細なことかもしれないが、軌道に乗っている有機農家は、畑で作業をしているとき、
そこに近隣農家が車で通ると、笑顔で手を振る。立ち話をすることもある。
これもまた、信頼関係を構築する秘訣の1つなのだ。

小規模な有機農家のなかで「有機JAS認証」を受けているところは、ほとんどない。
その理由は
「費用がかかること」
「手間暇がかかること」
「使用してもいい農薬や肥料があること」

その一方で、最近は「エコファーマー」の認定を受ける農家は多くなっている。

農協ルートの一番のデメリットだが、これは
「受け取り価格の低さ」に尽きる。
また農協自体の弱体化も、デメリットといえよう。
しかし、忘れてはならない、決定的なメリットもある。
それは「補助金」だ。
OECDの調査によると、日本の農家の収入の56%は補助金に頼っているという数字が出ている。

農家が商品を自ら持ち込み、
自由に値づけをして販売する「農産物直売所」が増加の一途をたどっている。
しかし、新規就農者のなかには「あまり使い勝手はよくない」とこぼす人も多い。
趣味で野菜を作っている高齢者などがとにかく安い価格で販売しており、
とても勝負できる空間ではないと痛感したという。

インターネット販売をするということは、全国の競合他社としのぎを削るということでもある。
その覚悟は必要だ。
検索ページで上位表示されることが、とても重要になる。

やり手の新規就農者は、複数の販売方法を戦略的に使い分けている。

元気な農家の多くは「ほかとは違う取り組み(差別化)」を実践しているケースが目立つ。

競合他社がひしめくなかで「いいものを作っていれば、きっとわかってもらえる」という考えは、甘いと思う。
自分ができることを徹底的に考え、それを実行していく姿勢が、
生き残るためには必須なのではないでしょうか。

森の中では自然に土づくりが行われています。
そこでは一切の化学肥料や農薬を使うこともありません。
それでも、森の中の植物は元気に育っています。
私たちの取り組みは、畑の土を森の土に近づけていこうというものなんです。
土壌分析を行い、それに基づいて、木屑や葉っぱ、動物の糞を撒き、微生物の力で森の土を作っていくんです。

土がいいと、収穫量も品質も格段にアップするんです。
実際、沖縄の農家ではゴーヤやキュウリなどを栽培し、
その収穫量は2倍になっているケースもあります。
さらに美味しさのバロメーターでもある糖分も2倍の数値が出ているんです。
森の土と同じように、いい土には植物に必要な栄養分が豊富ですから、
連作障害の心配はなくなります。
植物は、土から栄養分をしっかり吸収することで健康になり、動物と同じように病気や虫に強くなるので、コストのかかる農薬の使用頻度も激減します。
その結果、儲かる農業の可能性が見えてくるんです。

「始めることは誰でもできる」のも事実だ。
問題は「いかに継続していくか」なのだ。
「農業」という生き方


「儲かる農業」を実現するためには、
生産部門以上に営業部門を戦略的に動かしていかなければならないだろう。

顧客のニーズに合わせた野菜を提供するのが、契約栽培を成功に導く条件だ。

生協は、減農薬、除草剤不使用のエコレタスでなければ買い取ってくれないのである。
トップリバーのレタスが100%エコレタスであると聞いて、生協だけでなく、
これまでつきあいのなかった業者も注文してくれるようになったのである。
エコレタス100%にすることによって、トップリバーの利益率も大きく上がった。
基準の厳しい生協に合わせてつくってあるため、売り先の融通が効くメリットもある。

JGAP認証(日本版適正農業規範)も取得した。
JGAPは農作業の各工程で農産物の安全性や環境への配慮、
作業者の福祉をチェックシートにより確認する制度で、
第三者が審査・認証する唯一の制度である。

農業は「儲からない産業」の代名詞のように言われるが、
農業こそ「儲かる産業」になるチャンスを秘めていると思っている。
事実、トップリバーは買い手が求める野菜をつくることで、
利益率の高いビジネスにすることに成功した。

すべて土壌消毒をせず、除草剤を使わないだけで価値が上がり、
一般には1,000円のところが1,200円で売れる。
あるいは欲しがる人が増える。

「このレタスを欲しい」、それも「たくさん欲しい」というのであれば、
トップリバーのレタスにそれだけの価値があるということである。
価値があり、「どうしても欲しい」と考えるのなら、
こちらの提示する価格で買うのはもちろん、さらに高値で買ってもいいはずである。

みんな収益の拡大には高い関心を寄せるが、
その反対のアプローチ、すなわちコストダウンにはあまり目がいかないということである。

寄せ集め品の再利用でも、実用にはまったく問題はない。
見てくれは悪いが、そんなことは気にならない。
使えるものは、釘の一本、ネジの一本までムダにしないというのがトップリバーの方針である。

農業の世界では産地によって品質のレベルがある程度推測できる。
二流の産地の野菜が倉庫に積み上がっているような会社なら、
品質よりも安いことを第一に考えていると判断できる。
そんな会社なら交渉の際、向こうが言ってくることもだいたい想像がつく。
こちらがいかに安定供給や質のよさを訴えようと、値切ることばかりに関心が向けられる。
そんな会社との交渉はできるだけ早く切り上げ、他の会社を回るなり、さっさと帰途につくにかぎる。

出荷された野菜を見ただけでは、土壌消毒剤や農薬を使っているかどうか、
健康に育っているかどうかはわからない。
大根のように地下にできる野菜ならまだわかるが、レタスのように畑の植えにできる野菜は、まずわからない。
ではどこを見るかというと、畑と同時に野菜の根を見るのだ。
しっかり根が張っていれば、しっかり養分を吸っている証拠で、健康な野菜であることがわかる。
さらには土の色を見たり、においをかぐ。
昔のようないいにおいがする土は、土壌消毒剤や農薬などで汚染されていない健康な土である。
除草剤や土壌消毒剤をひんぱんに使っているとドブ臭いにおいがする。

有機栽培が良いもの、高い糖度が良いものと言ってみても、
それは所詮こちらの言い分に過ぎない。
買う側がそれに価値を認めなければ、「良いもの」とはならないのである。

自分たちは誰を顧客とし、顧客は何を望んでいるのか。
そこを徹底的に研究しているだろうか。
農業をビジネスとして成功させることができるかどうかは、
ひとえにその点にかかっている。

大多数の農家は、つくっている作物ひとつあたりどれくらいのコストがかかっているのか把握できていない。
原価計算ができていないのだから、いくらの価格が損益分疑点で、この価格になれば、
どれくらいの利益になるということもわからない。
ただ作物をつくり、市場に流して、そこで決められたお金をもらうだけである。
農業が儲からないのは、こんなことやっているからだ。
自分たちで知恵を絞り、どうしたら高く売れるのか、手取りを増やすことができるか、
真剣に検討し、実践してこなかったからだ。

集団の中で働く限り、人の話を聞くことはとても重要なことである。
遠慮などするべきではない。
人に教えを請うだけで簡単にすむ物事も、
聞かないばかりに大きなトラブルに発展するのはよくある話だ。
そんなつまらないトラブルを避ける意味でも、
わからにことや疑問に思うことがあれば何でも人に聞いて、
意見を求める習慣をつけることが大切だと思う。

安定供給こそ第一の優先事項であり、技術的なこだわりより、
どれくらいの面積の耕地で、
どれくらいの経費をかけて生産すれば採算がとれるのかといったマネジメント能力を身につけるほうが重要である。

野菜の横に、「この野菜は私がつくっています」というメッセージとともに、
生産者の顔写真が掲げられているのをみなさんも見たことがあると思う。
ほとんどの人は「この野菜は安全であるにちがいない」と思い込んでしまうだろう。
だが、現実は必ずしもそうとはいえないのである。
とくに、掲示されている写真が高齢者である場合には……。

私のこれまでの経験から言うと、利益を生み出す農業を行うには、経営者比率25%程度、
つまり経営者ひとりに対して3人の雇用者がいるくらいがちょうどいいと思う。
イメージとしては、経営者と片腕になる副官、そして2人の従業員というのが理想的な構成である。
3ヘクタールくらいの農地経営をするなら、6人以下でやっていくのがもっとも効率のいいやり方だと思う。

会社勤めと農業とどちらが充実しているかと問われれば、
間違いなく農業に携わっている今の仕事をあげる。

土にまみれ、照りつける日差しの中で汗だくにはなるが、そこには深い充実感がある。
自分が流した汗の分だけ結果を得ることができる。
これほどシンプルで、それでいて奥深い分野はそうはない。

楽しい田園生活を夢見ている人には農業はできない。
職を失ったから、とりあえず農業でもやってみるかという人には続かない。
他人とかかわるのが嫌だから、田舎で農業でもやってみようという人には向かない。
現実の農業は厳しい労働と拘束時間が求められ、自分の時間などまず持つことはできない。
定期的な休暇もとれないし、日焼けで真っ黒にもなってしまう。
近隣の農家と仲良くしておかなければ重要な情報も回ってこないから、
コミュニケーション能力も重要だ。
「儲かる農業」嶋崎秀樹


日本人は、食べものの30%も捨てている。

農業の原点は土だから、立派な土づくりから歩み出そうと考えたのです。

流通を考えないで、地産地消をやっても、なかなか効果は期待できないのです。
みんなでつくっても、売るところがないのではダメです。

農作物に付加価値をつけて売ると、まったく違う展開ができます。
たとえば、農家が小麦を生産すると、その小麦を使ってうどんをつくり、
これを売ったほうが利益は高まります。
これが付加価値をつけるということです。

50年間で油の消費量が4倍近くになり、肉の消費量が3倍近くなりました。
逆に、激減したものがあるということです。
それはミネラル(無機質)です。
ミネラルの摂取量が50年間で1/3に減少した。
ミネラル不足によってひじょうに重要な問題がおこります。
それは心の安定にかかわることです。
日本人がいま、こんなにキレた状態になっている原因は、
いったいどういうところにあるのだろうと考えてみると、
どうやらそれはミネラルの不足にあるのではないかと考えられてきたのです。

農業も効率主義になり、堆肥をつくるのはめんどうくさいということになっていきました。
化学肥料の硫安(硫酸アンモニウム)とリン酸カリウムだけを畑にまいて、
穀物や野菜、果物などをつくるようになりました。
そのために、作物は、
さまざまなミネラル(マンガン、マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、リン、鉄、カルシウム、窒素、銅、
ナトリウム、亜鉛、カリウム、塩素、コバルト、ヨウ素、イオウ、スズなど)を栄養素として吸収できず、
満足して育つことができないので、水にプカプカと浮いてくるようになったのです。

魚の脂は血管を強くし、老廃物を出し、老化を制御し、頭のはたらきを活発にするといった、
健康的効能が多いからです。

大豆のタンパク質は、平均してなんと32%もあります。
牛肉のタンパク質は約18%ですから、大豆はたいしたものです。
ただ、牛肉には水分があり、大豆は乾燥しているので、
その大豆に水を加えて牛肉と同じくらいの水分にすると、
ほぼ大豆と牛肉はタンパク質の量が同じになります。

大豆を肉と考えたら、何も具を入れない味噌汁は肉汁です。
味噌は大豆でできているのですから。
そこに豆腐を入れて豆腐の味噌汁にしたら、肉汁に肉を入れたということになります。
さらに、江戸の人たちは、納豆を味噌汁の中に入れて食べるのがほとんどでした。
つまり納豆汁です。
豆腐の味噌汁に納豆を入れると、なんと肉汁に肉を入れて、また肉を入れるとういことになり、
とてもスタミナのつく汁をのんでいたことになります。
江戸の人たちの知恵は驚くべきものです。
「いのちをはぐぐむ農と食」小泉武夫


田んぼは人の手が入らなくなると、雑草だらけになり虫がわいて、
周囲の大迷惑になるというのだ。
さらに、一度休耕田になると、もとの状態に戻すのに2〜3年はかかるという。

自分で一生懸命育てて収穫したものがお金になり、
食べた人に喜ばれることが楽しいのだ。

種から成長して作物が出来上がる過程を知ること。
過程にはストーリーがあり、思いがある。
ベランダで育てたプチトマトが、高級トマトよりおいしく感じられるのは、
味に思い出のスパイスが加わったから。
思い出のスパイスを持てるのがスローライフ。
決して自分の生活がスローになるわけではないのだ。
そう、スローライフは忙しい。

このあわただしい週末農業をはじめてから、心も体も調子がいいのだ。
土に触れて地球の温度を感じ、みずから体を動かして汗をかく。
おまけに腰を曲げた同じ姿勢で何時間も作業をするため、
終わったあとは全身が筋肉痛になる。
それなのに、ひと仕事終えたあとは気分がスッキリしているから不思議だ。

体を動かしたあとは、ご飯もおいしいし夜もよく眠れる。
農業をはじめて、心と体のバランスの取り方が上手になったと思う。

仕事がないって、本当につまらない。
自分の田んぼや畑を耕したり草取りしたり、
たいへんだけどそれが生きがいだから……。

手っ取り早く周囲に溶け込みたいなら、
飲み会や食事会に参加していっしょにお酒を飲むのが、いちばんの方法かもしれない。

農家での飲み会や食事会に誘われたら、都会と同様、手土産持参は常識。
若手にはビール、おじいちゃんおばあちゃんには日本酒を持参すれば、
「おお、気が効くねえ!」と一気に株が上がることは間違いない。
「農家ではお酒が通貨」といわれるだけあって、あらゆるシーンでお酒が潤滑油となる。

おたまじゃくしたちがカエルになると、悪い虫を食べてくれる。

モノを手に取ったり、買ってくださったり、興味を示してもらうには、
商品のストーリーが必要なんだと実感した。
これからの農家さんにとっては、自分の販売ルート作りや、
米作りのストーリーをどう説明するかが、ますます重要になってくると思う。

「おいしくて、安全・安心で、充実感がある」ことは、人生の喜び。
農業にはそれが3拍子そろっている。
ベランダ菜園でも、その喜びは十分感じられるはずだ。
「ちょっと農業してきます」大桃美代子


農地探しはクチコミでの情報収集が大半だ。
地域の農業委員会に耕作放棄地などの情報を教えてもらいに行く手もあるが、
農地の場合、住宅探しとは勝手が違って専門の不動産業者などはいない。
したがって、クチコミでの農地探しの比重が高くなる。

いろいろなことが、まずは基本はクチコミです。
その点で、独身であることは損だなと実感します。
とりわけ地域の農家の男性とのコミュニケーションで、
妻がいれば妻を介して地域の方が気軽に話しかけてくれるものですが、
独身である私一人だとそうはいかないのです。
地元農家の女性の方は気さくに話しかけてくださるのですが、
男性の方はなかなか簡単に声をかけてきては下さいません。
その分、自発的にこちらから積極的に地域の皆さんのなかに入っていくよう
努めなくてはだめです。

農業は人間が好きじゃないと無理。
分からないことは積極的に教えてもらうよう努め、地域で農業の先輩方と情報交換する。
これができないような、いわば引きこもり的な傾向のある人には無理です。

取引先を開拓するための営業以前に、農業技術や、その土地ならではの農産物の栽培方法の工夫など、
地域の農業の先輩や周りの人に聞かなければ分からないことはいくらでもあります。
質問して、意見を聞いたりしなければ、自然を相手に農業をやっていくことは難しい。
独学や自分の努力だけで良い作物ができるようになるわけではない。
だからこそ、コミュニケーション能力が農業には必須なんです。

農業は、日銭は入らない。
ようやくカネが手に入るのは半年後。
だからこそ農業ができれば、
キャッシュフローの回し方をはじめ金銭管理や先を読む力、洞察力や忍耐力といった、
ビジネスで必要となるさまざまな力が身に付く。
単なるルーティンワークと思っている人、
農繁期にも休まず働ける体力のないような人には、農業は無理です。
体力の限界まで気力を振り絞って頑張った経験がないような人には農業は難しい。
農業は決してラクな仕事ではないんです。

日本で農家出身ではない農業従事志願者が、
最も実践的かつ合理的に農業を学ぶには、
本当に次世代の農業生産者を育てようという意志のある、
きちんとした農業法人で働くのが最もオススメだ。
ただ、増え続ける農業法人の全部が全部、
次世代農業従事者を育てるためのノウハウや強い意志を持っているというわけではない。

本書では最終的に農産物が消費される「出口」の確保こそが農業の生き残り、
農業従事者にとって大切だということが一貫したテーマだ。

農業技術というのは、
育てている植物に対して適切な時期に種まきや苗植え・間引き・施肥等をしなくてはならないのはもちろん、
独立して農業を行う場合は肥料一つとってもその成分や分量は自分で考え、
決定しなければいけない。
行政区分で同じ町内にある農地でも、
場所によって土壌の違いがあるのはよくあることだし、
水はけや日当たり、耕作地の傾斜によっても与える水の量や肥料の成分は違ってくる。
農業法人から独立した時に、それら諸条件の違いがあっても、
法人勤務時代に培った知識を応用させることができるだけの基礎をしっかりと
身に付けられるような法人に入らなければ意味がない。

安心安全な食料の調達だけでなく、土にふれる、植物の成長を見守るといった行為は
ストレス社会にとって心安らかになるひと時になるはずだ。
「目標月間販売額20万円!」
のような農業からスタートする必要など全くない。
まずは身近なところに植物を増やしていくことから始めてみてはどうだろう。

給与が少なくそのぶん時間があるのなら
趣味と実益を兼ねた何かに取り組もうと思うのは、
ごく自然な流れだろう。
それがベランダ菜園や農業という仕事、
パソコンモニターから離れた癒し空間としての土や緑とのふれあい需要を高めているのだと思う。
「週1から始める元気な農業」小田公美子