金子 みすゞ の世界
花のたましい
散ったお花のたましいは、
み佛さまの花ぞのに、
ひとつ残らずうまれるの。
だって、お花はやさしくて、
おてんとさまが呼ぶときに、
ぱっとひらいて、ほほえんで、
蝶々にあまい蜜をやり、
人にゃ匂いをみなくれて、
風がおいでとよぶときに、
やはりすなおについてゆき、
なきがらさえも、ままごとの
御飯になってくれるから。
お花だったら
もしも私がお花なら、
とてもいい子になれるだろ。
ものが言えなきゃ、あるけなきゃ、
なんでおいたをするものか。
だけど、誰かがやって来て、
いやな花だといったなら、
すぐに怒ってしぼむだろ。
もしもお花になったって、
やっばしいい子にゃなれまいな、
お花のようにはなれまいな。
POEM BY KANEKO MISUZU
PHOTO BY BLUE-RING
監修 POET-RING