金子 みすゞ の世界


金にかがろ




光る髪

沈む、沈むよ、
濱にでてみれば、
赤い大きな
夕日の毬が。

光る、光るよ、
金色の絲が、
入り日みてゐる
(みつ)ちやんの髪が。

かがろ、かがろよ、
眞赤
(まつか)な毬を、
金の小絲で
麻の葉にかがろ。

T-44






 喧嘩のあと

ひとりになつた
一人になつた。
むしろの上はさみしいな。

私は知らない
あの子が先よ。
だけどもだけども、さみしいな。

お人形さんも
ひとりになつた。
お人形抱いても、さみしいな。

あんずの花が
ほろほろほろり。
むしろの上はさみしいな



T-91





お堀のそば

お堀のそばで逢うたけど、
知らぬかほして水みてた。

きのふ、けんくわはしたけれど、
けふはなんだかなつかしい。

につと笑つてみたけれど、
知らぬ顔して水みてた。

笑つた顔はやめられず、
つッと、なみだも、止められず、

私はたつたとかけ出した、
小石が縞になるほどに。

 

T-104

 

 


仲なほり

げんげのあぜみち、春がすみ、
むかうにあの子が立つてゐた。

あの子はげんげを持つてゐた、
私も、げんげを摘んでゐた。

あの子が笑ふ、と、氣がつけば、
私も知らずに笑つてた。

げんげのあぜみち、春がすみ、
ピイチク雲雀
(ひばり)が啼いてゐた。


U-145


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