金子 みすゞ の世界
京都 東福寺にて
落 葉
お背戸にや落ち葉がいつぱいだ、たあれも知らないそのうちに、
こつそり掃いておきましよか。
ひとりでしようと思つたら、
ひとりで嬉しくなつて來た。
さらりと一掃(ひとは)き掃いたとき、
表に樂隊やつて來た。
あとで、あとでと駆け出して、
通りの角までついてつた。
そして、歸つてみた時にや、
誰か、きれいに掃いてゐた、
落葉、のこらずすててゐた。
群馬県 草津町にて
落葉のカルタ
山路に散つたカルタはなんの札。
金と銀との落葉の札に、
蟲くひ流の筆のあと。
山路に散つたカルタは、
誰が讀む。
黒い小鳥が黒い尾はねて、
ちちッ、ちちッ、と啼いてゐる。
山路に散つたカルタは、
誰がとる。
むべ山ならぬこの山かぜが、
さつと一度にさらつてく。
POEM BY KANEKO MISUZU
PHOTO BY BLUE-RING