金子 みすゞ の世界



  林檎畑

七つの星のそのしたの、
誰も知らない雪国に、
林檎ばたけがありました。

枝もむすばず、人もいず、
なかの古樹の大枝に、
鐘がかかっているばかり。

  ひとつ林檎をもいだ子は、
  ひとつお鐘をならします。

  ひとつお鐘がひびくとき、
  ひとつお花がひらきます。

 

七つの星のしたを行く
馬橇の上の旅びとは、
とおいお鐘をききました。

とおいその音きくときに、
凍ったこころはとけました、
  みんな泪になりました。


                                                 V-27

POEM BY KANEKO MISUZU
PHOTO BY  新津軽八景
 
        
http://www.infoaomori.ne.jp/~mtos0228/

監修 POET-RING

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