金子 みすゞ の世界



  郵便局の椿

あかい椿がさいていた、
郵便局がなつかしい。

いつもすがって雲を見た、
黒い御門がなつかしい。

ちいさな白い前かけに、
赤い椿をひろっては、
郵便さんに笑われた、
いつかのあの日がなつかしい。

あかい椿は伐られたし、
黒い御門もこわされて、

ペンキの匂うあたらしい、
郵便局がたちました。   

T-57




POEM   BY KANEKO MISUZU
PHOTO BY BLUE-RING
監修     POET-RING

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