薄の契りや 縹の帯の ただ片結び
彼の声変わりは遅かったしだからこそ、恋愛に疎かったような気もする。
ふと手を挙げる、すぐに彼は気付いてくれるしだから彼に安心して身を任す。彼とは大違いだ。想うたびに胸が痛むような気がする。むしろ、竦んでしまう、あの時の想いに、たっていることもままならないような恥ずかしさと。
『だってそう言われたからそう想っただけだし』
彼は基本的にだからこそ冷酷であり続けた。どんなことだってしたいようにしたし、最後の瞬間まで。
目眩がして目の前の恋人に笑いかけていった。
「大好き、好き、すきだよ」
彼は彼らしく赤くなって、こんな所でいわんでもと呟いた。私はそれがたまらなく愛しくて彼の腕をとって手に絡ませた。
気付けば、この手口、やり口、何と彼に似ていることだろうと。
片結びのように一方的で移りやすい、それは。