少年はいった。少年、である。おそらくは。黒目がちの瞳である。何処にでも居ると言うよりはほんの少しだけ普通ではないように、演じている普通の少年。ありがちだ、小さく思う。

 駅への道である。両脇には銀杏の木が植えられている遊歩道。そして今は銀杏の実の腐臭が鼻につく。ごく当たり前の少年である。何処にでも居るような。

「おいで」

 例えば行ってみる、何処かへ。所詮、嘘なのだとは思うモノの何処か、というよりも。

 言ってみる、おいで、と。

 気付く。彼は少女だ。猫を抱えている。彼女は謂う。

「嘘つきの所へは行かないの」

 それこそ嘘だと気付くのだが、哀しみのあまり声も出ず泣き伏す。そして気付く。何故なら彼女の口は四つあるのだ、哀しみとおかしさと哀れみと慈愛をたたえている。いたい、痛いのか、居たいのか、射たいのか。手には猟銃が。これで打てるかどうか解らずそして、猟銃を持つ事は法律違反である。

 仕方ないので少女をそれで殴る。彼女の頭が凹む。あぁ。猫が逃げてしまった。

 猫が逃げてしまったと思ったが、実は其処におり私を見ようともしない。とてつもない居心地の悪さ。そして背後から誰かにウージーで撃たれる。ウージーというのは銃器の一種で誰にでも扱えるのだと、私は撃たれて崩れた脳味噌で考える。